魁!断筆姉さん!!

西洋司

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11 トラヴィス伯爵邸にて_02

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「では、お伝えします。英子さんの、このヤムント国で求められている役割は、……。この度(たび)王立学校に新設されることになる、『絵師養成コース』の教師を務められることです!」

「『絵師養成コース』ですか?」

 斎木の言葉に、私(英子)は思わず訊ね返していた。

「えぇ、そうです。現在ヤムント国には、絵師の数が絶対的に足りません。それは、宮廷絵師だけでなく、事件や事故、ありとあらゆる事象を記録するために、絵師を必要としています」

「なるほど、……」

「王立学校は、本来貴族の子女のみが入学を許されておりましたが、……」

 ここで、斎木はちらりとこちらの顔を見て、「そうですな、……」と続けた。

「……」

 何だろ、今の間(ま)は? と、英子は少しだけ疑問を持った。

「その、……これからは、平民のお子さん達も王立学校が受け持つワケですね?」

「えぇ、……。まぁ、有体(ありてい)に言えば、……そうです」

「……」

 あれ? 何だろう? 斎木さん、いつもよりも歯切れが悪いような気がする、と英子は思った。

「英子さんには、現地スタッフと共に、学生達の養成をお願いします!」

「了解です。私は、中学生の美術科目の教職資格を持っていますし。美術予備校でもチューターの仕事を何年もしておりました!」

「ふむ」

「ですので、絵を教えるのはお手の物です!」

 そう言って、軽く腕を絞って力こぶを作ってみせると、……。

「ほぅ、……。それは頼もしいですな!」

 斎木もそう言って、ニコリと笑った。

 でも、……。私は知っている。
 斎木さん達、異世界行きのスタッフ選定メンバーは、私の過去の経歴をず~っと前から調べ尽くしていた。

 時には外部エージェントが私の傍に配置されていた、そんなことも話してくれたので、……。
 その話から推察すると、あの人とあの人は、おそらく外部エージェントだったのかもしれないなぁと予想が立つ。

 多分、親友の緑子(みどりこ)も、そんなエージェントの一人だったんだろうね。

「……。とまぁ、ここヤムントでは、ざっと以上ですな。よろしいですか、英子さん?」

「はっ、はいっ。すみません、……。後の方、少し考え事をしてて。ちょっと聞き漏らしてしまったかもしれなくて、……」

「……、ふぅ~っ」

 あっ、斎木さんにため息吐かれちゃった。
 これはマズったかもと思い、英子は少しだけ顔を顰(しか)めた。
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