85 / 128
11 トラヴィス伯爵邸にて_16
しおりを挟む
* *
私(英子)は、向こうのテーブルで先ほどからトラヴィス伯爵と話し合いをしている、斎木さんの方をちらりと見た。
すると、斎木さんはこちらの女子陣の話にも耳を配っていたようで、……。
今、こちらではどんな話が行われていたのか、とっくにご存じだった様子。
斎木さんはニコリと笑ってひとつ頷くと、再び伯爵との話し合いに入ってしまった。
ヨシッ! 斎木さんからもゴーサインが出たから、……。もうひとつ、話を前に進めてしまおう!
英子はそう思いながら、奥方様の前のローテーブルの上に、その眼鏡ケースほどの大きさのプラスチックのケースをスッと置いた。
「エイコ様、……。こちらは、……何かしら?」
「はいっ。奥方様が私達の仲間に加わって頂いた際の、最初のプレゼントですっ!」
ちゃんと、事前研修のとおりに上手くご提案できたかな?
日本の官舎の一室で、私が女性の専門官から指南を受けた際、いくつか大事なことを言われている。
決して、相手を辱めるな。
決して、相手の面目を落とすことだけはするな。
必ず、相手の自尊心をくすぐって、こちらの味方に付けろ!
まさに、今が丁度そのタイミングだ。
目の前の女性は、ヤムントでも有力な女性貴族で、夫に権力もあれば、資金も実力も情報力すらある。
昨晩に起こったホブゴブリンの討伐を、ほぼリアルタイムで手下に探らせてから、数時間後には、こうして新たな判断をしてから、敵対勢力である斎木さんを自邸に招き入れた。
その行動力たるや相当なもので、今後こちら側に寝返ったことで起こるデメリットすら、既に計算積みだろう。
なら、こちら側王党派としては、重要人物の参加を大いに歓迎する意思を示さなくてはならない。
「プレゼント、……ですの?」
「はい、奥方様。私達とこれから親しくして頂きたくて、……。日本政府から用意させて頂きました!」
「……。そう、日本政府、……、からなのね」
「はい!」
私は年齢相応に、とても明るく元気よく、愛想よく奥方様に接していた。
これは、外交をしているつもりではないけど、……。
でも、大口客を取り込む、大切な営業行為と思って、ひと踏ん張りしたところだよ。
すると、……。
「見ても、……よろしいかしら?」
「はい! お手に取って頂ければ、幸いです!」
奥方様は、ご息女の方をちらりと見て深く頷かれると、「ワカッたわ」と言いながら、そのプラスチックのケースをお手に取った。
それから、蓋(ふた)を開けて中を見た瞬間、……。
「「!!??」」
目の前の女性2人が、声にならない声を上げた。
「日本の真珠です。こちらでは貴重なものと伺っておりまして、特別に用意させて頂きました!」
奥方様はわなわなと震えながら、その真珠のネックレスをお手に取ると、その両目は今にも星が煌めくように潤んでいた。
「お嬢様には、こちらを! もう少しお歳(とし)を召されたら、相応の物をご用意させて頂きますね!」
こちらはそう言って、真珠のイヤリングをお渡しした。
「「~~~~~!!??~~~~~」」
目の前の女性2人は、喜びを身体(からだ)から絞り出すような声を漏らしている。
うふふふっ。どうやら、完堕(かんお)ちしたみたい、……。
私(英子)は、向こうのテーブルで先ほどからトラヴィス伯爵と話し合いをしている、斎木さんの方をちらりと見た。
すると、斎木さんはこちらの女子陣の話にも耳を配っていたようで、……。
今、こちらではどんな話が行われていたのか、とっくにご存じだった様子。
斎木さんはニコリと笑ってひとつ頷くと、再び伯爵との話し合いに入ってしまった。
ヨシッ! 斎木さんからもゴーサインが出たから、……。もうひとつ、話を前に進めてしまおう!
英子はそう思いながら、奥方様の前のローテーブルの上に、その眼鏡ケースほどの大きさのプラスチックのケースをスッと置いた。
「エイコ様、……。こちらは、……何かしら?」
「はいっ。奥方様が私達の仲間に加わって頂いた際の、最初のプレゼントですっ!」
ちゃんと、事前研修のとおりに上手くご提案できたかな?
日本の官舎の一室で、私が女性の専門官から指南を受けた際、いくつか大事なことを言われている。
決して、相手を辱めるな。
決して、相手の面目を落とすことだけはするな。
必ず、相手の自尊心をくすぐって、こちらの味方に付けろ!
まさに、今が丁度そのタイミングだ。
目の前の女性は、ヤムントでも有力な女性貴族で、夫に権力もあれば、資金も実力も情報力すらある。
昨晩に起こったホブゴブリンの討伐を、ほぼリアルタイムで手下に探らせてから、数時間後には、こうして新たな判断をしてから、敵対勢力である斎木さんを自邸に招き入れた。
その行動力たるや相当なもので、今後こちら側に寝返ったことで起こるデメリットすら、既に計算積みだろう。
なら、こちら側王党派としては、重要人物の参加を大いに歓迎する意思を示さなくてはならない。
「プレゼント、……ですの?」
「はい、奥方様。私達とこれから親しくして頂きたくて、……。日本政府から用意させて頂きました!」
「……。そう、日本政府、……、からなのね」
「はい!」
私は年齢相応に、とても明るく元気よく、愛想よく奥方様に接していた。
これは、外交をしているつもりではないけど、……。
でも、大口客を取り込む、大切な営業行為と思って、ひと踏ん張りしたところだよ。
すると、……。
「見ても、……よろしいかしら?」
「はい! お手に取って頂ければ、幸いです!」
奥方様は、ご息女の方をちらりと見て深く頷かれると、「ワカッたわ」と言いながら、そのプラスチックのケースをお手に取った。
それから、蓋(ふた)を開けて中を見た瞬間、……。
「「!!??」」
目の前の女性2人が、声にならない声を上げた。
「日本の真珠です。こちらでは貴重なものと伺っておりまして、特別に用意させて頂きました!」
奥方様はわなわなと震えながら、その真珠のネックレスをお手に取ると、その両目は今にも星が煌めくように潤んでいた。
「お嬢様には、こちらを! もう少しお歳(とし)を召されたら、相応の物をご用意させて頂きますね!」
こちらはそう言って、真珠のイヤリングをお渡しした。
「「~~~~~!!??~~~~~」」
目の前の女性2人は、喜びを身体(からだ)から絞り出すような声を漏らしている。
うふふふっ。どうやら、完堕(かんお)ちしたみたい、……。
0
あなたにおすすめの小説
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
レクサス転生――ローン付きSUVで始める異世界物流革命
しばたろう
ファンタジー
「馬車では一日かかる。だが、この鉄の馬なら二時間だ」
ローン残高を抱えたまま異世界に転移した新卒社会人・タカセ。
唯一の武器は、レクサスSUVと物流設計の知識。
命を救い、
盗賊を退け、
馬車組合と交渉し、
サスペンションとコンテナ規格で街を変える。
レクサス一台から始まる、リアル成り上がり。
これはチート無双ではない。
仕組みで勝つ物語だ。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
異世界カントリーライフ ~妖精たちと季節を楽しむ日々~
楠富 つかさ
ファンタジー
都会で忙しさに追われる日々を送っていた主人公は、ふと目を覚ますと異世界の田舎にいた。小さな家と畑、そして妖精たちに囲まれ、四季折々の自然に癒されるスローライフが始まる。時間に縛られず、野菜を育てたり、見知らぬスパイスで料理に挑戦したりと、心温まる日々を満喫する主人公。現代では得られなかった安らぎを感じながら、妖精たちと共に暮らす異世界で、新しい自分を見つける物語。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる