天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司

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第二部「ハルコン青年期」

48 ハルコン、王都に帰還する_04

   *          *

 衛士の後に続きながら、ハルコン達一行は王宮内の入り組んだ廊下を歩いていく。
 まだ明け六つ(朝6時)の頃だが、窓からは夏の日差しが入ってきて、眩しい。

 とりあえず、……だ。
 現在、旅団はフォリア山中腹の宿営地を出て、国境を越えた頃かなぁとハルコンは思う。

 中年の一級剣士の視覚野を拝借して様子を見るに、特段問題もなく移動しているようだ。

『もう直ぐ国境の関門であるな。ハルコン殿は、その頃までには戻ってくるのだろうか?』

 中年の一級剣士さんは、馬の背に跨って揺られながら、そんなことを思っているらしい。

 おやぁ?
 その一方で、先ほどより、先をゆく女騎士の尻の辺りに、視線がず~っと集中しているんだけどさ。

 ほぉ~んと、この人って、致し方ないというか、……。
 思わず、こめかみをグイグイと親指で押していると、……。

「どうした、ハルコン? そんなに眉間に皺を寄せて、……」

「いぇ、父上。少しだけ考え事をしていたものですから、……」

「そうか、……」

 そんなやり取りを、元女盗賊と「半次郎」がちらりと見ている。
 だが、特に何かコメントするでもなく、また先をゆく衛士の背に目をやっていた。

 廊下の突き当りを曲がって直ぐのところで、衛士は立ち止まった。
 簡易的な敬礼の後、ハルコンを先頭にその個室に入っていく。

 中は地球のモジュールで20畳ほどの部屋で、簡易的にソファとローテーブルの設置された王室のプライベートルームだ。

 窓の風景から、先日入った部屋とは廊下を挟んで反対側に位置するのではないかなぁとハルコンは思った。

「おぉ、早朝より申しワケない。ハルコン殿、……旅団の様子はどうですかね?」

 ハルコンが席に着くなり、王ラスキンが率直に訊ねてきた。
 でも、……。もう、父カイルズの前だろうと、王の体裁を保つ気はないらしい。

「えぇ。今のところ順調です。現在はフォリア山の中腹の宿営地を出て、国境の関門の手前まで進んでいるようですね」

「そうか、……。それにしても、こうして途中で単身とんぼ返りできるのだから、大変ありがたいものですな」

「はい」

 ハルコンは笑顔で王ラスキンに応じたが、相手は更にこう話を付け加えてこられた。

「いざという時、シルファーだけでも帰還させることができるワケですな?」

「えぇ、そのとおりです、陛下」

「ふむ」

 その言葉に、王ラスキンと宰相がニッコリと微笑む。
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