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第二部「ハルコン青年期」
48 ハルコン、王都に帰還する_03
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* *
「なるほど、……。つまり、『半次郎』殿はサスパニアのイッシャラー首相の送った、友好特使と考えていいということか、……」
「そういうことになります、父上」
ハルコンは、父カイルズに「半次郎」が凄腕の「殺し屋」だということは伝えていない。
でも、彼女の目つきや所作、振る舞いなどに常人離れした何かがある。ただ者ではないことだけは、言わずともワカるだろうとハルコンは思った。
そうこう話をしていると、王宮がそろそろ見えてきた。
馬車にはセイントーク家を示す旗がたなびいているので、検問はほぼフリーパスで跳ね橋を渡っていくと、……。
馬車を降りたところで個室に移動して、そこで軽い手荷物検査が行われた。
「これは、何かね?」
ハーフアーマー姿の検査官の咎める声がするので、そちらをちらりと見たら、……。
えぇっ!? マジかよ!?
なんと、「半次郎」の手荷物の中に、ピストルが含まれていたんだよ。
コイツ、こっちの世界の人間が知らないものだからさ。平気で現代の「武器」なんか持ち込んじゃってさ。
すると、当の「半次郎」は、さもしれっとした表情でスナップを利かせながら軽く構えた後、……。
「十四年式拳銃ですよ」
そう、あっさりと白状するんだからね。
「ほぅ、……。使用目的は?」
「お守りかな?」
ニコリとかわいらしく笑う「半次郎」に、検査官は少しだけ片眉を吊り上げた。
「だが、……こちらで、預からせて貰っても構わないかね?」
「えぇよぉ」
そう言って、「半次郎」は特に思い入れもないのか、スッと差し出した。
検査官は、そのピストルを受け取ると、木箱に収納する。
一方で、元女盗賊もナイフをいくつも懐に仕込んでいたようで、……。
「こちらも預からせて貰うぞ!」
そう言って、もう一人の検査官が数本のナイフを回収して、別の木箱に収納した。
「我々は、よろしいのかね?」
父カイルズがそう訊ねると、……。
「いえ、お二方はそのままお通り下さい」
すると、検査官らの上役らしき身なりの男が、恭しく頭を下げてくる。
「ふむ」
父カイルズはひとつ頷いた後、こちらの手を取って先を促した。
促されるまま奥の通路に入ったところで、父カイルズにそっと耳打ちされる。
「先ほどの、……。『半次郎』殿のケンジュウ? とやらは、……。あれって、サスパニアの最新鋭の武器じゃないのか?」
「え、えぇ……。まぁ、……」
どうやら、父上には先刻お見通しだったようだ。
「なるほど、……。つまり、『半次郎』殿はサスパニアのイッシャラー首相の送った、友好特使と考えていいということか、……」
「そういうことになります、父上」
ハルコンは、父カイルズに「半次郎」が凄腕の「殺し屋」だということは伝えていない。
でも、彼女の目つきや所作、振る舞いなどに常人離れした何かがある。ただ者ではないことだけは、言わずともワカるだろうとハルコンは思った。
そうこう話をしていると、王宮がそろそろ見えてきた。
馬車にはセイントーク家を示す旗がたなびいているので、検問はほぼフリーパスで跳ね橋を渡っていくと、……。
馬車を降りたところで個室に移動して、そこで軽い手荷物検査が行われた。
「これは、何かね?」
ハーフアーマー姿の検査官の咎める声がするので、そちらをちらりと見たら、……。
えぇっ!? マジかよ!?
なんと、「半次郎」の手荷物の中に、ピストルが含まれていたんだよ。
コイツ、こっちの世界の人間が知らないものだからさ。平気で現代の「武器」なんか持ち込んじゃってさ。
すると、当の「半次郎」は、さもしれっとした表情でスナップを利かせながら軽く構えた後、……。
「十四年式拳銃ですよ」
そう、あっさりと白状するんだからね。
「ほぅ、……。使用目的は?」
「お守りかな?」
ニコリとかわいらしく笑う「半次郎」に、検査官は少しだけ片眉を吊り上げた。
「だが、……こちらで、預からせて貰っても構わないかね?」
「えぇよぉ」
そう言って、「半次郎」は特に思い入れもないのか、スッと差し出した。
検査官は、そのピストルを受け取ると、木箱に収納する。
一方で、元女盗賊もナイフをいくつも懐に仕込んでいたようで、……。
「こちらも預からせて貰うぞ!」
そう言って、もう一人の検査官が数本のナイフを回収して、別の木箱に収納した。
「我々は、よろしいのかね?」
父カイルズがそう訊ねると、……。
「いえ、お二方はそのままお通り下さい」
すると、検査官らの上役らしき身なりの男が、恭しく頭を下げてくる。
「ふむ」
父カイルズはひとつ頷いた後、こちらの手を取って先を促した。
促されるまま奥の通路に入ったところで、父カイルズにそっと耳打ちされる。
「先ほどの、……。『半次郎』殿のケンジュウ? とやらは、……。あれって、サスパニアの最新鋭の武器じゃないのか?」
「え、えぇ……。まぁ、……」
どうやら、父上には先刻お見通しだったようだ。
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