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第二部「ハルコン青年期」
49 コリンドの風景_07
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* *
「それでは、シルファー殿下。ステラ殿下とハルコン殿に、お目通り願えますかな?」
コリンドの騎士団長は、ちらりとこちら、奥の客席の方を見ながらそう言った。
「もぉ~っ、何なのよぉ、……」
私の傍らで、ステラ殿下が小さくぼやきなさったが、……。
こちらとしては、たかが一貴族が隣国のお家事情に介入するワケにはいかないので、とりあえず黙っておくべきだろうなぁとハルコンは思った。
「えぇっ!? ステラ殿下は我々ファイルド国の大切なご客人ですし、ハルコンは我々王国貴族の一翼を担う、貴重な一員なんですよ!」
「……、ハッ、ハッ、ハッ、……。確かにそうですな!」
一方、シルファー団長は、なかなか勇猛果敢だよね。隣国の騎士長相手に、一歩も退かずに応戦されているんだからさ。
「では騎士団長殿、そんな2人にお会いして、これから一体どうなさるおつもりなのですか?」
「えぇ。我々帝国の宮殿の方で、お二方のために特別に『最新鋭』の馬車を用意しております。ぜひ、そちらに移乗して頂きたい!」
「……、ふぅ~ん。うふふふっ、そんなのできません!」
「ほぅ! どうしてですかな?」
「だって、帝国の『最新鋭』と仰いましたが、今ステラ殿下がお乗りになられている馬車こそ、王国の『超最新鋭』なのですからね!」
「ほぅ! それは、我が国よりも技術的に優れていると、シルファー殿下は仰るのですかな?」
「えぇ、そうですわ!」
「ハッ、ハッ、ハッ、……。シルファー殿下は大変なユーモアをお持ちの御仁(ごじん)であらせられる!」
「うふふふふっ、我が国の王都は、近隣諸国全ての技術、文明を背負(しょ)って立つメトロポリタンですよ!」
「ほぅ!」
「貴国のような一地方都市の文明でお作りになられた馬車では、ステラ殿下のかわいいお尻(ヒップ)が、パンパンに腫れ上がってしまいます! とてもお労(いたわ)しいとは思いませんか?」
先ほどより、海千山千のコリンドの宮殿の護衛騎士団長相手に、シルファー団長はしれっと笑顔で対応している。
その傍らには王宮の騎士長アントンが控えていて、じっとそのやり取りを見守っていた。
本来なら、今ファイルド国の王宮は「善隣外交」を目指すべきなのは言うまでもないんだけど、……。
でも、そんな「綺麗事(きれいごと)」を現場でも大真面目に実行するためには、時には王族自らが矢面(やおもて)に立たなければならない。
そんなお覚悟をお示しなさるシルファー団長に、私は余計なことをしてしまったもんだと、ハルコンは少なからず反省した。
「それでは、シルファー殿下。ステラ殿下とハルコン殿に、お目通り願えますかな?」
コリンドの騎士団長は、ちらりとこちら、奥の客席の方を見ながらそう言った。
「もぉ~っ、何なのよぉ、……」
私の傍らで、ステラ殿下が小さくぼやきなさったが、……。
こちらとしては、たかが一貴族が隣国のお家事情に介入するワケにはいかないので、とりあえず黙っておくべきだろうなぁとハルコンは思った。
「えぇっ!? ステラ殿下は我々ファイルド国の大切なご客人ですし、ハルコンは我々王国貴族の一翼を担う、貴重な一員なんですよ!」
「……、ハッ、ハッ、ハッ、……。確かにそうですな!」
一方、シルファー団長は、なかなか勇猛果敢だよね。隣国の騎士長相手に、一歩も退かずに応戦されているんだからさ。
「では騎士団長殿、そんな2人にお会いして、これから一体どうなさるおつもりなのですか?」
「えぇ。我々帝国の宮殿の方で、お二方のために特別に『最新鋭』の馬車を用意しております。ぜひ、そちらに移乗して頂きたい!」
「……、ふぅ~ん。うふふふっ、そんなのできません!」
「ほぅ! どうしてですかな?」
「だって、帝国の『最新鋭』と仰いましたが、今ステラ殿下がお乗りになられている馬車こそ、王国の『超最新鋭』なのですからね!」
「ほぅ! それは、我が国よりも技術的に優れていると、シルファー殿下は仰るのですかな?」
「えぇ、そうですわ!」
「ハッ、ハッ、ハッ、……。シルファー殿下は大変なユーモアをお持ちの御仁(ごじん)であらせられる!」
「うふふふふっ、我が国の王都は、近隣諸国全ての技術、文明を背負(しょ)って立つメトロポリタンですよ!」
「ほぅ!」
「貴国のような一地方都市の文明でお作りになられた馬車では、ステラ殿下のかわいいお尻(ヒップ)が、パンパンに腫れ上がってしまいます! とてもお労(いたわ)しいとは思いませんか?」
先ほどより、海千山千のコリンドの宮殿の護衛騎士団長相手に、シルファー団長はしれっと笑顔で対応している。
その傍らには王宮の騎士長アントンが控えていて、じっとそのやり取りを見守っていた。
本来なら、今ファイルド国の王宮は「善隣外交」を目指すべきなのは言うまでもないんだけど、……。
でも、そんな「綺麗事(きれいごと)」を現場でも大真面目に実行するためには、時には王族自らが矢面(やおもて)に立たなければならない。
そんなお覚悟をお示しなさるシルファー団長に、私は余計なことをしてしまったもんだと、ハルコンは少なからず反省した。
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