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第二部「ハルコン青年期」
50 帝都での出来事_03
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* *
そう言えば、……さ。私(ハルコン)がこのコリンドの帝国宮殿に入ったのは、ホンと初めてなんだよなぁ。
かつて、ステラ殿下の病状回復のため、弓使いの女エルフに依頼して、しばらくの間、ここの宮殿で手元(てもと)作業をお願いしたことがあった。
そのおかげで、こちらもスキル「マジックハンド」を使って、ファイルド国から帝国の宮殿まで、直行便で緊急用の物資を次々と送ることができたんだ。
その際、女エルフの視野を借りて、現地の皇族の方々や役人達と様々な打ち合わせをしていてさ。
そんなワケでさ、……。初めてここにきたというのに、どこに何があるのか大体把握しているんだよ。
「へぇーっ、結構こちらの宮殿も広いんだね?」
隣りでシルファー団長が、率直な感想を漏らされた。
実は、ただ広いというだけではないんだ。内部は様々な個所に大理石を敷き、光魔石を随所に配置していて、とても豪華なんだ。
その辺りは、ファイルド国では王ラスキンが質素倹約を旨とされる賢王だからさ。
そのご息女であるシルファー団長の目には、かなり豪奢なものに思われたのではないかな。
「ステラ殿下の住まわれた宮殿は、とっても豪勢なんですね?」
ミラが率直に殿下に感想を述べたところ、……。
殿下は、「ウチの国はホンの少し前まで、超貧乏でしたのにね!」とぼそりとこぼされた。
その辺りが、帝国が帝国たる所以(ゆえん)であって、……。
たとえその内実がどうであろうと、見栄(みば)えをかなり気にするお国柄が偲ばれるのだった。
「シルファー団長、ステラ殿下、ハルコン子爵、……。長旅、大変お疲れ様でございました。部屋をご用意致しましたので、こちらまでいらして頂けますか?」
このコリンドでも有数の美女と思われる女官が、にこやかに案内してきた。
シルファー団長は、「ありがとうございます!」と相手に負けない美貌で笑顔を作って応じられると、ステラ殿下と頷き合って、その女官の後に続いた。
女官とプレートアーマー姿の護衛騎士数名に案内されて、来賓室に皆で入った。
すると、しばらくして、……。
「ステラ殿下、3年ぶりのご帰国、大変お疲れ様でございました」
数名の女官を伴って、上級役人風の身なりの中年男が部屋に入ってきた。
「えぇ、お迎えありがとうございます」
ステラ殿下がニッコリと微笑むと、相手の役人は笑顔でうんうんと頷いた。
その様子を見ていたら、ふとミラの視線に気が付いた。
「ねぇ、……。本来なら、先(ま)ず最初に来賓のシルファー団長にお声がけするべきじゃないのかなぁ?」と、その目が語っていた。
だから、こちらも「そうだね」と同意してひとつ頷く。
「我々宮殿がご用意致しました最新鋭の馬車は、乗り心地は如何でございましたか?」
その言葉に、ステラ殿下だけでなく、シルファー団長やミラが思わずピクリと固まったのがワカった。
「そ、そうですねぇ、……。ご用意して頂いて、大変感謝しておりますよ」
「良かった、良かった。あの馬車なら、これから我々帝国が周辺各国に自信をもって輸出できますからな!」
どうやら、この国の馬車には、そもそもサスペンションはおろか、板バネというものも存在しないらしい。
傍らでシルファー団長とミラが、2人揃って「「うぇ~~っ!」」とやっているというのに、その役人はまるで一顧だにしない様子だった。
そう言えば、……さ。私(ハルコン)がこのコリンドの帝国宮殿に入ったのは、ホンと初めてなんだよなぁ。
かつて、ステラ殿下の病状回復のため、弓使いの女エルフに依頼して、しばらくの間、ここの宮殿で手元(てもと)作業をお願いしたことがあった。
そのおかげで、こちらもスキル「マジックハンド」を使って、ファイルド国から帝国の宮殿まで、直行便で緊急用の物資を次々と送ることができたんだ。
その際、女エルフの視野を借りて、現地の皇族の方々や役人達と様々な打ち合わせをしていてさ。
そんなワケでさ、……。初めてここにきたというのに、どこに何があるのか大体把握しているんだよ。
「へぇーっ、結構こちらの宮殿も広いんだね?」
隣りでシルファー団長が、率直な感想を漏らされた。
実は、ただ広いというだけではないんだ。内部は様々な個所に大理石を敷き、光魔石を随所に配置していて、とても豪華なんだ。
その辺りは、ファイルド国では王ラスキンが質素倹約を旨とされる賢王だからさ。
そのご息女であるシルファー団長の目には、かなり豪奢なものに思われたのではないかな。
「ステラ殿下の住まわれた宮殿は、とっても豪勢なんですね?」
ミラが率直に殿下に感想を述べたところ、……。
殿下は、「ウチの国はホンの少し前まで、超貧乏でしたのにね!」とぼそりとこぼされた。
その辺りが、帝国が帝国たる所以(ゆえん)であって、……。
たとえその内実がどうであろうと、見栄(みば)えをかなり気にするお国柄が偲ばれるのだった。
「シルファー団長、ステラ殿下、ハルコン子爵、……。長旅、大変お疲れ様でございました。部屋をご用意致しましたので、こちらまでいらして頂けますか?」
このコリンドでも有数の美女と思われる女官が、にこやかに案内してきた。
シルファー団長は、「ありがとうございます!」と相手に負けない美貌で笑顔を作って応じられると、ステラ殿下と頷き合って、その女官の後に続いた。
女官とプレートアーマー姿の護衛騎士数名に案内されて、来賓室に皆で入った。
すると、しばらくして、……。
「ステラ殿下、3年ぶりのご帰国、大変お疲れ様でございました」
数名の女官を伴って、上級役人風の身なりの中年男が部屋に入ってきた。
「えぇ、お迎えありがとうございます」
ステラ殿下がニッコリと微笑むと、相手の役人は笑顔でうんうんと頷いた。
その様子を見ていたら、ふとミラの視線に気が付いた。
「ねぇ、……。本来なら、先(ま)ず最初に来賓のシルファー団長にお声がけするべきじゃないのかなぁ?」と、その目が語っていた。
だから、こちらも「そうだね」と同意してひとつ頷く。
「我々宮殿がご用意致しました最新鋭の馬車は、乗り心地は如何でございましたか?」
その言葉に、ステラ殿下だけでなく、シルファー団長やミラが思わずピクリと固まったのがワカった。
「そ、そうですねぇ、……。ご用意して頂いて、大変感謝しておりますよ」
「良かった、良かった。あの馬車なら、これから我々帝国が周辺各国に自信をもって輸出できますからな!」
どうやら、この国の馬車には、そもそもサスペンションはおろか、板バネというものも存在しないらしい。
傍らでシルファー団長とミラが、2人揃って「「うぇ~~っ!」」とやっているというのに、その役人はまるで一顧だにしない様子だった。
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