天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司

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第二部「ハルコン青年期」

50 帝都での出来事_23

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「ルーテア国か? バルコニア国か? それとも、……」

 皇帝陛下はそう仰って、近隣国の名前をひととおり挙げなさった。
 私(ハルコン)としても、本来ならそこは誠実にお伝えすべきところなんだろうけど、……。

「陛下は、もしやサスパニアのことを疑っておられるのでしょうか?」

 こちらの問いかけに対し、陛下は苦い表情を浮かべられた。

「断言はできませんが、……」

「実際のところ、どうでしょうね? 我が国の王立療養所に収容されていた患者は、そのサスパニアの隊商のメンバー達でしたよ!」

「ほぅ、……。では、ハルコン殿。貴殿は、まさかサスパニアの上層部が自国民を巻き込んだりはしない、……。そうお考えなのだろうか?」

 陛下のお言葉に対し、何と答えるのが正解なのかなぁと思っていると、……。
 傍らでお話しを聞かれていたステラ殿下が、こちらを見て、ニコッとお笑いになられた。

 実を言うと、私は事の真相を知っている。
 新生サスパニアの石原中佐が、王国を滅ぼされたメリッサ元姫殿下の意を汲み、コリンドに報復したという事実だ。

 石原中佐らは、近代戦のエキスパートだ。中世ヨーロッパ文明レベルくらいのコリンドなど、簡単に滅亡させることもできたはずだ。
 でも、……。あえて、そうはしなかった。

 どうやら、私、ハルコン・セイントークと有利に交渉するため、残忍な性質を露(あらわ)にすることを控えたということらしい。

 その辺りの話は、石原中佐本人からではなく、その側近の一人だった「半次郎」から、間接的に聞いた話だ。
 まぁ、先ず彼女の言ったことで、ほぼ間違いないんだろうなぁとハルコンは思った。

「いえ、陛下……。私は、ただその可能性を示唆(しさ)したのみです」

「ふむ、そうでしたか……」

「ハルコン殿の見立てでは、……我がコリンドは、今後サスパニアに勝てますかね?」

「私には、ワカりかねます」

「ふむ、……」

 実際の話、あの時もし私が薬剤を緊急手配していなかったら、今頃ここコリンドの宮殿は、一体どうなっていたことだろうか?

 皇帝陛下やステラ殿下と、こうして話をしたりすることも叶わなかったのではないか。

 そう考えると、確かに遺恨は残るのだろうけど、……。
 私は、やはりラスキン国王陛下の提唱された「善隣外交」を、ここで強く推すべきなのではないかと、……。

 私自身、ラスキン陛下のお考えに強く賛同していることを、コリンド側にもちゃんとお伝えしなければならないと、ハルコンは思った。
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