527 / 542
第二部「ハルコン青年期」
50 帝都での出来事_38
しおりを挟む
* *
「そうですね、……。大変驚きの連続でした!」
私(ハルコン)のその一言に、皇帝陛下や皇族の皆様が「ほぅ」と仰って、大変興味深そうに少し身を前に乗り出されなさった。
「だって、ファイルド国のお好み焼きが、こちらではハルコン焼って呼ばれているんですよ!」
「「「「「「フフフッ」」」」」」
こちらの言葉に、皆様が笑顔になられた。とりあえず、これで掴みはOKかな?
「他にも、ファイルド国のクレープがシルファー巻きっていうのね。ご本人、何とも言えない顔をされてましたよ!」
「「「「「ハハハハハハッッ」」」」」
すると、ステラ殿下が合いの手でそう仰ってくれたから、更に皆様がくだけたご様子になられた。
もしかすると、……。
こうして緊張をしているのは、私だけでなく皇室の方々も同様なのかもしれないとハルコンは思った。
「帝都の街並みは、以前弓使いの女エルフから聞いていたのですが、……。実際何度か歩いてみて、ごみひとつ落ちていなくて、雰囲気も整然としていて、……。かなり、お力を入れなさったのではありませんか?」
「そうですな。これは、主に第二皇子のマルスにやらせております。ハルコン殿にそう言って頂けると、大変光栄ですな!」
陛下はそう仰って、ニコリとお笑いになられた。
そのマルス殿下も、少しだけ嬉しそうにはにかんでいらっしゃった。
「先日、こちらに伺う際、帝都の外壁傍にバラックが立って、多くの難民がいるのかと思っていたのですが、……。それが全くなく、今では畑地に変わっていました。そこにいた人達は、今どうされているのかご存じでしょうか?」
ちょっと、その点は疑問に思っていたんだよね。でも、あまり突(つつ)き過ぎると藪から蛇が出てきかねないから、これまで黙っていたんだけど、……。
「あぁ、それなら、……」
すると、第一皇子のアビル殿下がそう仰って、右手をゆるりとお上げになられた。
「伺ってもよろしいですか?」
「最近石鹸産業が上手くいっているから、新たに工場を増やしたんだ。そこで働いて貰ったり、その利益の剰余金を使って一時金を渡して、元の故郷に帰って貰ったりしました!」
「なるほど、……」
その辺りの話は、ミーティングの際、厚生部の役人達からは一言も出てこなかった。
これって、もしかすると役所主導ではなく、皇室の方々の頑張り(スタンドプレー)で成し遂げたことなのかなぁとハルコンは思った。
「もしかしますと、アビル殿下ご自身が主導されたとか?」
「あぁ、可哀そうで見てらんなくてな! 役人どもに発破をかけても予算がないとかぬかしやがるから、オレが石鹸屋達に金を出させて長屋を作らせて、そこに外壁周りの小屋に住んでいた住人達を移動させて、工場で働かせているんだ!」
「何か、住民達に不平とか不満とかの声は上がりましたか?」
「その点は大丈夫だ。彼らには適材適所に配置させている。バラックで医療をしていた者には、工場お抱えの医師になって貰っているし、会計ができる者には、ファイルド国からきた複式簿記を教えて、それで新しく会計システムを立ち上げさせるのにも協力させた。この前様子を見にいったら、皆イキイキと働いていたよ!」
「ほぅ、……。そんなことが、……」
思わず感心してしまった。
マルス殿下だけでなく、アビル殿下もなかなかのやり手だなぁと思った。
「アビル殿下は、確か軍事面でお強いのではなかったですか?」
「あぁ、それな。オレは普段軍にいるんだが、やはり清潔にしていないと、軍内部に病気が蔓延してしまうんだ。だから、最近は衛生インフラにも興味があって、石鹸産業にも顔を出すようになっているんだ!」
「……」
う~ん。思わず考え込まざるを得ない感じ。
やはり、この国はとにかく上の方が優秀なんだよなぁとハルコンは思った。
「そうですね、……。大変驚きの連続でした!」
私(ハルコン)のその一言に、皇帝陛下や皇族の皆様が「ほぅ」と仰って、大変興味深そうに少し身を前に乗り出されなさった。
「だって、ファイルド国のお好み焼きが、こちらではハルコン焼って呼ばれているんですよ!」
「「「「「「フフフッ」」」」」」
こちらの言葉に、皆様が笑顔になられた。とりあえず、これで掴みはOKかな?
「他にも、ファイルド国のクレープがシルファー巻きっていうのね。ご本人、何とも言えない顔をされてましたよ!」
「「「「「ハハハハハハッッ」」」」」
すると、ステラ殿下が合いの手でそう仰ってくれたから、更に皆様がくだけたご様子になられた。
もしかすると、……。
こうして緊張をしているのは、私だけでなく皇室の方々も同様なのかもしれないとハルコンは思った。
「帝都の街並みは、以前弓使いの女エルフから聞いていたのですが、……。実際何度か歩いてみて、ごみひとつ落ちていなくて、雰囲気も整然としていて、……。かなり、お力を入れなさったのではありませんか?」
「そうですな。これは、主に第二皇子のマルスにやらせております。ハルコン殿にそう言って頂けると、大変光栄ですな!」
陛下はそう仰って、ニコリとお笑いになられた。
そのマルス殿下も、少しだけ嬉しそうにはにかんでいらっしゃった。
「先日、こちらに伺う際、帝都の外壁傍にバラックが立って、多くの難民がいるのかと思っていたのですが、……。それが全くなく、今では畑地に変わっていました。そこにいた人達は、今どうされているのかご存じでしょうか?」
ちょっと、その点は疑問に思っていたんだよね。でも、あまり突(つつ)き過ぎると藪から蛇が出てきかねないから、これまで黙っていたんだけど、……。
「あぁ、それなら、……」
すると、第一皇子のアビル殿下がそう仰って、右手をゆるりとお上げになられた。
「伺ってもよろしいですか?」
「最近石鹸産業が上手くいっているから、新たに工場を増やしたんだ。そこで働いて貰ったり、その利益の剰余金を使って一時金を渡して、元の故郷に帰って貰ったりしました!」
「なるほど、……」
その辺りの話は、ミーティングの際、厚生部の役人達からは一言も出てこなかった。
これって、もしかすると役所主導ではなく、皇室の方々の頑張り(スタンドプレー)で成し遂げたことなのかなぁとハルコンは思った。
「もしかしますと、アビル殿下ご自身が主導されたとか?」
「あぁ、可哀そうで見てらんなくてな! 役人どもに発破をかけても予算がないとかぬかしやがるから、オレが石鹸屋達に金を出させて長屋を作らせて、そこに外壁周りの小屋に住んでいた住人達を移動させて、工場で働かせているんだ!」
「何か、住民達に不平とか不満とかの声は上がりましたか?」
「その点は大丈夫だ。彼らには適材適所に配置させている。バラックで医療をしていた者には、工場お抱えの医師になって貰っているし、会計ができる者には、ファイルド国からきた複式簿記を教えて、それで新しく会計システムを立ち上げさせるのにも協力させた。この前様子を見にいったら、皆イキイキと働いていたよ!」
「ほぅ、……。そんなことが、……」
思わず感心してしまった。
マルス殿下だけでなく、アビル殿下もなかなかのやり手だなぁと思った。
「アビル殿下は、確か軍事面でお強いのではなかったですか?」
「あぁ、それな。オレは普段軍にいるんだが、やはり清潔にしていないと、軍内部に病気が蔓延してしまうんだ。だから、最近は衛生インフラにも興味があって、石鹸産業にも顔を出すようになっているんだ!」
「……」
う~ん。思わず考え込まざるを得ない感じ。
やはり、この国はとにかく上の方が優秀なんだよなぁとハルコンは思った。
10
あなたにおすすめの小説
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる