天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司

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第二部「ハルコン青年期」

51 オニキス関門まで_18

   *          *

「つまり、ハルコン、……。今回の旅団の行った交渉は、ファイルド国とコリンド国の間でやっぱり痛み分けってこと?」

 ファイルド王宮を離れて早々、「半次郎」が訊ねてきた。

「……」

 私(ハルコン)は、その件に付いて彼女に軽々に話していいものか、一瞬思案した。
 そうしたら、「ん~っ、どうなのぉ?」って感じで、こちらを興味深そうに見つめてくる。

 まぁ、「半次郎」はサスパニア国の人とはいえ、今ではファイルド国の食客だ。
 同じ飯を食べる仲間として、彼女にもこちらの本音を伝えておこうと思った。

 元女盗賊も、口にこそ出さないものの、こちらが苦戦した様子を傍でずっと見ていたから、同じく気になるようだ。

「そうですねぇ、……。お二人には、私の見解を伝えておきます!」

「「……」」

 その言葉に、元女盗賊も「半次郎」も興味深そうにこくりと頷く。

「両国の商業ルートの件ですが、……。コリンド側の交渉相手であるコジカ辺境伯が、シルファー団長とステラ殿下に屈服している時点で、既に決着しています。新ルートの代表は、シルファー団長とステラ殿下ということになります!」

「でもさ、……。ハルコンは、そんなこと、ひと言もいってなかったじゃないか?」

 すると、その交渉現場に立ち会っていた「半次郎」が、尤もらしく訊ねてきた。

「そりゃぁ、そうですよ。私がコジカ辺境伯をこちらの陣営に従えたと、ズバリ言ったとしたら、コリンドの皇室の皆様の面目がなくなるでしょ?」

「「!?」」

「だから、私はその件に付いては、終始黙っていました。同様にシルファー団長もその件について黙っていましたのは、団長なりの計算でしょうね!」

「ほぅ、……。ハルコン、そこんとこ詳しく!」

「つまり、団長もまたステラ殿下の立ち位置がコリンド国内で定まるまで、いったん留保したというのが真相でしょうね!」

「なるほど、……」

 すると、元女盗賊が何かに気付いたように「ハルコン殿!」というため、こちらもひとつ頷く。

「そうです。今頃コリンド側では、コジカ辺境伯に事情聴取をしていることでしょう。そこで、もう既に結論が出ていることに気が付いて、考えを改めざるを得なくなる、……」

「なら、ハルコン殿。新ルートば、シルファー団長とステラ殿下で決まりやんしぇ?」

「そうなります。シルファー団長とステラ殿下のお手柄ですよ!」

「「凄い、凄いっ!!」」

 元女盗賊と「半次郎」はそう言って、ニッコリと笑った。

 王宮の外壁の傍で空を見ると、茜が差して、もう直ぐ日の出を迎えそうだ。

「では、私達も旅団の許に戻りますよ。今の時分なら、まだ宿営地にいるはずです!」

「「おぅっ!!」」

 その言葉を合図に、私達は再び旅団のいる河川敷まで転移(ジャンプ)した。
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