39 / 595
第一部「ハルコン少年期」
07 迫りくる危機_07
* *
瞬くウチに、半年程が経過した。季節は春と夏を終え、間もなく秋となる。
ハルコンは、相変わらずベッドから抜け出すことはできないのだが、赤子の不自由な身体にも漸く慣れてきたといった感じだ。
両親や兄姉達は、毎日代わりばんこにベッドの傍にやってきては、ニコニコと笑顔で見守ってくれる。
そんなある時のことだ。
「ハルコン、……あなたって、もしかして神の御使い様なの?」
姉のサリナが、笑顔で訊ねてきたことがあった。
「キャッ、キャッ、キャハッ」
もちろん、ハルコンは赤ん坊なので、返事なんてできるワケがない。
しばらく、じっと様子を見ていたサリナだったが、次にこう告げてきた。
「あなたが何者だろうと、ハルコンは私のかわいい弟なの。だから、何かあったら姉様に頼りなさいね」
それから、ハルコンの手にそっと優しく触れた。
ハルコンは、NPC達との接し方にも、次第に慣れてきたのかなぁと思ったりしている。
NPC達に様々な「天啓」を送り、適材適所にバランスよく作業が進むのを、思念を同調させながら確認する、そんな毎日。
ホンと、……今思うと目まぐるしい日々を送ったものだ。
最近では、NPC達が、セイントーク領や周辺各地で重要な役割を担うまでになってきている。
前世に引き続き、ハルコンはこの世界でも大変忙しい日々を送ることになってしまっているが、彼に後悔の気持ちは全くない。
元々ハルコンは、思考の並列作業を得意とする天才だ。
退屈なスローライフなど、最初から望んでいないのだ。
自分から役割を見つけ、粛々とこなしてゆく。それこそがハルコンの本質だ。
エリクサーの開発は、まだ道具が揃わないので諦める。
でも、そのウチだけど、……ドワーフの親方に「天啓」を送って、少しずつでもいいから前に進めていこう。
セイントーク領は、これから益々発展していくよ。
だからさ、……ひとつひとつ気を引き締めてかからないとね。
* *
秋が深まってきた、とある深夜。
馴染みの酒場で子分達と眠りこけていた女盗賊が、異変を察してパチリと目を覚ます。
「こは如何にっ!? 一体、何ぞっ!?」
突然叫び声を上げるので、子分達も慌てて目を覚ました。
「お頭っ、一体どうなすったっ!?」
そう訊ねつつ、子分達は不安そうに彼女のことをじっと見つめている。
「どうやら、ハルコン殿が夜盗の手に落ったようでやす。屋敷から誘拐されんちまったっ!」
「「「「「お頭っ!」」」」」
男達の怒声が、狭い酒場内に響き渡る。
「あぁっ! 舐めた真似ばしくさってっ! 皆殺しにしてやんすよっ!!」
女盗賊は、酔い覚ましに水を一気に呷ると、コップをタンッとテーブルに叩きつけるように置いた。
「いくでやす。オメェら、ついてこいっ!!」
瞬くウチに、半年程が経過した。季節は春と夏を終え、間もなく秋となる。
ハルコンは、相変わらずベッドから抜け出すことはできないのだが、赤子の不自由な身体にも漸く慣れてきたといった感じだ。
両親や兄姉達は、毎日代わりばんこにベッドの傍にやってきては、ニコニコと笑顔で見守ってくれる。
そんなある時のことだ。
「ハルコン、……あなたって、もしかして神の御使い様なの?」
姉のサリナが、笑顔で訊ねてきたことがあった。
「キャッ、キャッ、キャハッ」
もちろん、ハルコンは赤ん坊なので、返事なんてできるワケがない。
しばらく、じっと様子を見ていたサリナだったが、次にこう告げてきた。
「あなたが何者だろうと、ハルコンは私のかわいい弟なの。だから、何かあったら姉様に頼りなさいね」
それから、ハルコンの手にそっと優しく触れた。
ハルコンは、NPC達との接し方にも、次第に慣れてきたのかなぁと思ったりしている。
NPC達に様々な「天啓」を送り、適材適所にバランスよく作業が進むのを、思念を同調させながら確認する、そんな毎日。
ホンと、……今思うと目まぐるしい日々を送ったものだ。
最近では、NPC達が、セイントーク領や周辺各地で重要な役割を担うまでになってきている。
前世に引き続き、ハルコンはこの世界でも大変忙しい日々を送ることになってしまっているが、彼に後悔の気持ちは全くない。
元々ハルコンは、思考の並列作業を得意とする天才だ。
退屈なスローライフなど、最初から望んでいないのだ。
自分から役割を見つけ、粛々とこなしてゆく。それこそがハルコンの本質だ。
エリクサーの開発は、まだ道具が揃わないので諦める。
でも、そのウチだけど、……ドワーフの親方に「天啓」を送って、少しずつでもいいから前に進めていこう。
セイントーク領は、これから益々発展していくよ。
だからさ、……ひとつひとつ気を引き締めてかからないとね。
* *
秋が深まってきた、とある深夜。
馴染みの酒場で子分達と眠りこけていた女盗賊が、異変を察してパチリと目を覚ます。
「こは如何にっ!? 一体、何ぞっ!?」
突然叫び声を上げるので、子分達も慌てて目を覚ました。
「お頭っ、一体どうなすったっ!?」
そう訊ねつつ、子分達は不安そうに彼女のことをじっと見つめている。
「どうやら、ハルコン殿が夜盗の手に落ったようでやす。屋敷から誘拐されんちまったっ!」
「「「「「お頭っ!」」」」」
男達の怒声が、狭い酒場内に響き渡る。
「あぁっ! 舐めた真似ばしくさってっ! 皆殺しにしてやんすよっ!!」
女盗賊は、酔い覚ましに水を一気に呷ると、コップをタンッとテーブルに叩きつけるように置いた。
「いくでやす。オメェら、ついてこいっ!!」
あなたにおすすめの小説
元チート大賢者の転生幼女物語
こずえ
ファンタジー
(※不定期更新なので、毎回忘れた頃に更新すると思います。)
とある孤児院で私は暮らしていた。
ある日、いつものように孤児院の畑に水を撒き、孤児院の中で掃除をしていた。
そして、そんないつも通りの日々を過ごすはずだった私は目が覚めると前世の記憶を思い出していた。
「あれ?私って…」
そんな前世で最強だった小さな少女の気ままな冒険のお話である。
世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~
きよらかなこころ
ファンタジー
シンゴはある日、事故で死んだ。
どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。
転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。
弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
前世で薬漬けだったおっさん、エルフに転生して自由を得る
骸
ファンタジー
ある日突然世界的に流行した病気。
その治療薬『メシア』の副作用により薬漬けになってしまった森野宏人(35)は、療養として母方の祖父の家で暮らしいた。
爺ちゃんと山に狩りの手伝いに行く事が楽しみになった宏人だったが、田舎のコミュニティは狭く、宏人の良くない噂が広まってしまった。
爺ちゃんとの狩りに行けなくなった宏人は、勢いでピルケースに入っているメシアを全て口に放り込み、そのまま意識を失ってしまう。
『私の名前は女神メシア。貴方には二つ選択肢がございます。』
人として輪廻の輪に戻るか、別の世界に行くか悩む宏人だったが、女神様にエルフになれると言われ、新たな人生、いや、エルフ生を楽しむ事を決める宏人。
『せっかくエルフになれたんだ!自由に冒険や旅を楽しむぞ!』
諸事情により不定期更新になります。
完結まで頑張る!
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』