155 / 595
第一部「ハルコン少年期」
23 王都の森_07
* *
「ありがとうございました。おかげで貴重なサンプルを集めることができました!」
ハルコンは、手伝ってくれたギルマスとミルコ女史、ミラに礼を述べた。
4人がかりで一斉に作業を行ったことで、昼前には必要なもの全ての回収を終えられた。
このまま学生寮のハルコンの研究室兼居室に、直ぐさま帰りたいのも山々だが、……。
でも、せっかくだから、手伝ってくれたギルマスとミルコ女史にも、研究の一端をお見せしようとハルコンは思った。
祠の近くにある訪問者用の石のテーブルの上に、ハルコンは光学顕微鏡を設置した。
先程の土壌サンプルを、小さじですくってシャーレに載せ、点滴器で水を垂らす。
少しだけ揺らした後、その液をすくってスライドガラスに垂らし、慣れた手つきでカバーガラスを載せた。
「いつ見ても、ハルコン上手だねぇ!」
ミラが興味深そうに見つめている。ギルマスとミルコ女史は、初めて見る器材に目を丸くしていた。
それから、しばらく調節ネジでレンズのピントを合わせると、大人達にニコリと笑った。
「お待たせしました。準備ができましたので、ご覧になって頂けますか?」
「ほぅ! 見たところ、その器材は先日貰った拡大鏡と同じ役割をしているのかな? ならばワシよりも先に、研究者のミルコ女史が見るといい!」
「ありがとうございますっ!」
ミルコ女史は、興味津々で顕微鏡のある席に座った。
「ここを、こう覗くといいのですよ!」
「はいっ、こうですねっ、……ウワッ、ウワワワワワッ、何ですかこれはっ!?」
ミルコ女史が、レンズ越しに土壌サンプルを見て、足をバタバタさせている。
でも、決してレンズから目を離そうとはせず、じっと見つめているのは、さすが研究者だなぁとハルコンは思った。
「アハハ、大丈夫ですよ。この動いているのは土の中に含まれる微生物、髪の毛の先よりも小さい生き物達ですね! 目に飛び込んできたりしませんから、安心してご覧になって下さい!」
「了解です、……ふむ、……これは凄い!!」
ミルコ女史はそう呟くと、しばらくの間、夢中になってレンズ越しのミクロの世界を堪能していた。
ハルコンはギルマスを待たせないよう、直ぐに「回生の木」の花のサンプルをひとつ取り出すと、ピンセットで手早くおしべやめしべ、がく、花びらとパーツ分けし始めた。
そして、慣れた手つきでメスを入れると、その断面が見え易いように、再びスライドガラスとカバーガラスでサンドイッチする。
「ギルマスは、こちらをご覧になって下さい!」
「おぉ、スマンな!」
ハルコンは携帯用の簡易顕微鏡キットに設置すると、それをギルマスに手渡した。
ギルマスは、嬉しそうにレンズを覗き込む。
「ほぅ、……これは、なかなか興味深い!」
思わず、ギルマスの口から感嘆の声が漏れた。
それは、この国の科学技術の数百年先を進む、ここだけの世界だった。
「ありがとうございました。おかげで貴重なサンプルを集めることができました!」
ハルコンは、手伝ってくれたギルマスとミルコ女史、ミラに礼を述べた。
4人がかりで一斉に作業を行ったことで、昼前には必要なもの全ての回収を終えられた。
このまま学生寮のハルコンの研究室兼居室に、直ぐさま帰りたいのも山々だが、……。
でも、せっかくだから、手伝ってくれたギルマスとミルコ女史にも、研究の一端をお見せしようとハルコンは思った。
祠の近くにある訪問者用の石のテーブルの上に、ハルコンは光学顕微鏡を設置した。
先程の土壌サンプルを、小さじですくってシャーレに載せ、点滴器で水を垂らす。
少しだけ揺らした後、その液をすくってスライドガラスに垂らし、慣れた手つきでカバーガラスを載せた。
「いつ見ても、ハルコン上手だねぇ!」
ミラが興味深そうに見つめている。ギルマスとミルコ女史は、初めて見る器材に目を丸くしていた。
それから、しばらく調節ネジでレンズのピントを合わせると、大人達にニコリと笑った。
「お待たせしました。準備ができましたので、ご覧になって頂けますか?」
「ほぅ! 見たところ、その器材は先日貰った拡大鏡と同じ役割をしているのかな? ならばワシよりも先に、研究者のミルコ女史が見るといい!」
「ありがとうございますっ!」
ミルコ女史は、興味津々で顕微鏡のある席に座った。
「ここを、こう覗くといいのですよ!」
「はいっ、こうですねっ、……ウワッ、ウワワワワワッ、何ですかこれはっ!?」
ミルコ女史が、レンズ越しに土壌サンプルを見て、足をバタバタさせている。
でも、決してレンズから目を離そうとはせず、じっと見つめているのは、さすが研究者だなぁとハルコンは思った。
「アハハ、大丈夫ですよ。この動いているのは土の中に含まれる微生物、髪の毛の先よりも小さい生き物達ですね! 目に飛び込んできたりしませんから、安心してご覧になって下さい!」
「了解です、……ふむ、……これは凄い!!」
ミルコ女史はそう呟くと、しばらくの間、夢中になってレンズ越しのミクロの世界を堪能していた。
ハルコンはギルマスを待たせないよう、直ぐに「回生の木」の花のサンプルをひとつ取り出すと、ピンセットで手早くおしべやめしべ、がく、花びらとパーツ分けし始めた。
そして、慣れた手つきでメスを入れると、その断面が見え易いように、再びスライドガラスとカバーガラスでサンドイッチする。
「ギルマスは、こちらをご覧になって下さい!」
「おぉ、スマンな!」
ハルコンは携帯用の簡易顕微鏡キットに設置すると、それをギルマスに手渡した。
ギルマスは、嬉しそうにレンズを覗き込む。
「ほぅ、……これは、なかなか興味深い!」
思わず、ギルマスの口から感嘆の声が漏れた。
それは、この国の科学技術の数百年先を進む、ここだけの世界だった。
あなたにおすすめの小説
元チート大賢者の転生幼女物語
こずえ
ファンタジー
(※不定期更新なので、毎回忘れた頃に更新すると思います。)
とある孤児院で私は暮らしていた。
ある日、いつものように孤児院の畑に水を撒き、孤児院の中で掃除をしていた。
そして、そんないつも通りの日々を過ごすはずだった私は目が覚めると前世の記憶を思い出していた。
「あれ?私って…」
そんな前世で最強だった小さな少女の気ままな冒険のお話である。
世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~
きよらかなこころ
ファンタジー
シンゴはある日、事故で死んだ。
どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。
転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。
弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
前世で薬漬けだったおっさん、エルフに転生して自由を得る
骸
ファンタジー
ある日突然世界的に流行した病気。
その治療薬『メシア』の副作用により薬漬けになってしまった森野宏人(35)は、療養として母方の祖父の家で暮らしいた。
爺ちゃんと山に狩りの手伝いに行く事が楽しみになった宏人だったが、田舎のコミュニティは狭く、宏人の良くない噂が広まってしまった。
爺ちゃんとの狩りに行けなくなった宏人は、勢いでピルケースに入っているメシアを全て口に放り込み、そのまま意識を失ってしまう。
『私の名前は女神メシア。貴方には二つ選択肢がございます。』
人として輪廻の輪に戻るか、別の世界に行くか悩む宏人だったが、女神様にエルフになれると言われ、新たな人生、いや、エルフ生を楽しむ事を決める宏人。
『せっかくエルフになれたんだ!自由に冒険や旅を楽しむぞ!』
諸事情により不定期更新になります。
完結まで頑張る!
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』