天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司

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第一部「ハルコン少年期」

23 王都の森_07

   *          *

「ありがとうございました。おかげで貴重なサンプルを集めることができました!」

 ハルコンは、手伝ってくれたギルマスとミルコ女史、ミラに礼を述べた。

 4人がかりで一斉に作業を行ったことで、昼前には必要なもの全ての回収を終えられた。

 このまま学生寮のハルコンの研究室兼居室に、直ぐさま帰りたいのも山々だが、……。
 でも、せっかくだから、手伝ってくれたギルマスとミルコ女史にも、研究の一端をお見せしようとハルコンは思った。

 祠の近くにある訪問者用の石のテーブルの上に、ハルコンは光学顕微鏡を設置した。

 先程の土壌サンプルを、小さじですくってシャーレに載せ、点滴器で水を垂らす。
 少しだけ揺らした後、その液をすくってスライドガラスに垂らし、慣れた手つきでカバーガラスを載せた。

「いつ見ても、ハルコン上手だねぇ!」

 ミラが興味深そうに見つめている。ギルマスとミルコ女史は、初めて見る器材に目を丸くしていた。

 それから、しばらく調節ネジでレンズのピントを合わせると、大人達にニコリと笑った。

「お待たせしました。準備ができましたので、ご覧になって頂けますか?」

「ほぅ! 見たところ、その器材は先日貰った拡大鏡と同じ役割をしているのかな? ならばワシよりも先に、研究者のミルコ女史が見るといい!」

「ありがとうございますっ!」

 ミルコ女史は、興味津々で顕微鏡のある席に座った。

「ここを、こう覗くといいのですよ!」

「はいっ、こうですねっ、……ウワッ、ウワワワワワッ、何ですかこれはっ!?」

 ミルコ女史が、レンズ越しに土壌サンプルを見て、足をバタバタさせている。
 でも、決してレンズから目を離そうとはせず、じっと見つめているのは、さすが研究者だなぁとハルコンは思った。

「アハハ、大丈夫ですよ。この動いているのは土の中に含まれる微生物、髪の毛の先よりも小さい生き物達ですね! 目に飛び込んできたりしませんから、安心してご覧になって下さい!」

「了解です、……ふむ、……これは凄い!!」

 ミルコ女史はそう呟くと、しばらくの間、夢中になってレンズ越しのミクロの世界を堪能していた。

 ハルコンはギルマスを待たせないよう、直ぐに「回生の木」の花のサンプルをひとつ取り出すと、ピンセットで手早くおしべやめしべ、がく、花びらとパーツ分けし始めた。

 そして、慣れた手つきでメスを入れると、その断面が見え易いように、再びスライドガラスとカバーガラスでサンドイッチする。

「ギルマスは、こちらをご覧になって下さい!」

「おぉ、スマンな!」

 ハルコンは携帯用の簡易顕微鏡キットに設置すると、それをギルマスに手渡した。
 ギルマスは、嬉しそうにレンズを覗き込む。

「ほぅ、……これは、なかなか興味深い!」

 思わず、ギルマスの口から感嘆の声が漏れた。
 それは、この国の科学技術の数百年先を進む、ここだけの世界だった。
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