198 / 485
第一部「ハルコン少年期」
27 隣国の姫君の回復_01
しおりを挟む
しばらくの間、ハルコンは女エルフの視野を借りながら、隣国の姫君の様子を窺った。
すると、姫君は自らの体内に沸き立つパワーに心が躍ったのか、ベッドから起き上がって、床に立ち上がった。
そのまま数歩先まで歩くと、ふらりとしたところで父君の皇帝陛下に、しっかりと抱き締められている。
本人だけでなく、皇帝陛下も傍に仕える侍従や侍女達も、皆、目に涙を浮かべている。
そろそろ、……かな?
ハルコンは、さっそく女エルフに念話を送った。
「女エルフさん、そちらの様子はどんな具合でしょうか?」
『はい。私の見たところ、お持ちした薬剤が姫様に大変効果があったように思われます』
「そうですね。それは良かった!」
『はい。さすがはハルコン様のお作りになられた薬剤です。我が目を疑う程の薬効に、驚かざるを得ません!』
「ハハハッ。買い被り過ぎですよ」
『いいえ。さすがは我らの崇拝する「神の御使い」ハルコン様です。今後とも、我ら人類にお慈悲を賜らんことを!』
「タハハ、……持ち上げ過ぎです!」
どうやら、栄養剤と軽度の回復薬である「タイプB」だけで、今回のケースは上手くいったようだ。
だが、今回の場合次第では、試したい施術があったとハルコンは考えている。
おそらく、数日中に仙薬エリクサー「タイプA」が完成する。
それは、……まさに命がけで生み出した奇跡の薬剤だ。
以前なら、この仙薬エリクサー「タイプA」を「タイプB」と同様に飲み薬として開発しようとハルコンは計画していた。
だが、今はもうスーパーチートスキル「マジックハンド」がある。
このスキルで何が凄いかといえば、NPCが触れる物質を、こちらまで転送できることだ。
その際、触れた物体に対し、「任意」で細部に至る物質を選択して、転送することが可能なのだ。
例えば、NPCが癌患者の身体に触れると、私の脳内にはその患部の正確なイメージが伝わってくる。
その際に患部のみを選択、摘出して転送させることが可能なんだよね。
早朝、女エルフがニジマスを捕っているところを利用して、試しに臓物と血液をピンポイントで転送させることにも成功しているよ。
地球の現在の科学レベルでは到達しようのない、……まさに神のみの為せる技だよね。
今回の姫君の件では、手術が必要な場合も想定していた。
女エルフの手を借りて、先ず姫君の症状を悪化させる患部の摘出。
その後、完成したばかりの「タイプA」をこちらから転送して、患部を取り除いたポイントに直接塗布し続ける。
前世の晴子の時代、私は研究の協力者だった医官達と雑談をよくしたものだ。
その際に話題に上がったのは、こんな具合に切らない施術があったらいいのにねぇといったものだった。
なるほどねぇ。今の私は、そんな神域にまで到達しつつあるんだなぁと、……ハルコンはしみじみ思った。
すると、姫君は自らの体内に沸き立つパワーに心が躍ったのか、ベッドから起き上がって、床に立ち上がった。
そのまま数歩先まで歩くと、ふらりとしたところで父君の皇帝陛下に、しっかりと抱き締められている。
本人だけでなく、皇帝陛下も傍に仕える侍従や侍女達も、皆、目に涙を浮かべている。
そろそろ、……かな?
ハルコンは、さっそく女エルフに念話を送った。
「女エルフさん、そちらの様子はどんな具合でしょうか?」
『はい。私の見たところ、お持ちした薬剤が姫様に大変効果があったように思われます』
「そうですね。それは良かった!」
『はい。さすがはハルコン様のお作りになられた薬剤です。我が目を疑う程の薬効に、驚かざるを得ません!』
「ハハハッ。買い被り過ぎですよ」
『いいえ。さすがは我らの崇拝する「神の御使い」ハルコン様です。今後とも、我ら人類にお慈悲を賜らんことを!』
「タハハ、……持ち上げ過ぎです!」
どうやら、栄養剤と軽度の回復薬である「タイプB」だけで、今回のケースは上手くいったようだ。
だが、今回の場合次第では、試したい施術があったとハルコンは考えている。
おそらく、数日中に仙薬エリクサー「タイプA」が完成する。
それは、……まさに命がけで生み出した奇跡の薬剤だ。
以前なら、この仙薬エリクサー「タイプA」を「タイプB」と同様に飲み薬として開発しようとハルコンは計画していた。
だが、今はもうスーパーチートスキル「マジックハンド」がある。
このスキルで何が凄いかといえば、NPCが触れる物質を、こちらまで転送できることだ。
その際、触れた物体に対し、「任意」で細部に至る物質を選択して、転送することが可能なのだ。
例えば、NPCが癌患者の身体に触れると、私の脳内にはその患部の正確なイメージが伝わってくる。
その際に患部のみを選択、摘出して転送させることが可能なんだよね。
早朝、女エルフがニジマスを捕っているところを利用して、試しに臓物と血液をピンポイントで転送させることにも成功しているよ。
地球の現在の科学レベルでは到達しようのない、……まさに神のみの為せる技だよね。
今回の姫君の件では、手術が必要な場合も想定していた。
女エルフの手を借りて、先ず姫君の症状を悪化させる患部の摘出。
その後、完成したばかりの「タイプA」をこちらから転送して、患部を取り除いたポイントに直接塗布し続ける。
前世の晴子の時代、私は研究の協力者だった医官達と雑談をよくしたものだ。
その際に話題に上がったのは、こんな具合に切らない施術があったらいいのにねぇといったものだった。
なるほどねぇ。今の私は、そんな神域にまで到達しつつあるんだなぁと、……ハルコンはしみじみ思った。
168
あなたにおすすめの小説
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました
竹桜
ファンタジー
誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。
その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。
男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。
自らの憧れを叶える為に。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる