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第一部「ハルコン少年期」
28 思えば、遠くにまできたもんだね_04
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* *
「実はな、ハルコン。オレは一級剣士の師匠から、こう命じられているんだ。オマエとは絶対仲良くしろとな!」
「ふぅ~ん。そうなの」
つい気のない返事をしたせいか、ノーマンは露骨に表情を顰めた。
そう言えば、中年の一級剣士さん、……今はロスシルド領に常駐しているんだっけか。
「まぁいい。とにかく、師匠が仰るんだ。ハルコン、オマエほどの男はこの世にそうそういないのだから、額を地面に擦り付けてでもして、何としても友人に成れとな!」
「へぇ~、何で一級剣士さん、そんなこと言うんですかねぇ、……」
すると、ノーマンは身を少しだけ前に乗り出して、こちらの耳元に囁いた。
「師匠は、オマエのことを『聖人君子』だと仰るんだ!」
ふむ。それにしても、ノーマンからこちらが「聖人君子」呼ばわりされるのは、何だかこそばゆくなるな。
それって、いわゆる「褒め殺し」ってヤツじゃん!
他にも引っかかることと言えば、ノーマンのヤツ、中年の一級剣士さんのことを「師匠」と呼ぶのなんてさ。
あの人、こんなボンクラを一々弟子にするかなぁ?
ロスシルドの屋敷に一級剣士さんが常駐しているから、勝手に師匠呼びしているのがホンとのところなんじゃないかなぁ。
まぁ、……十分あり得る可能性として、先日の学内武闘大会で、ノーマンがミラから一撃必殺、脳天直撃でダウンさせられたことが、相当ショックだったのだろう。
そして、そんなミラに、薙刀術と合気術を教えたのが、この私だからなぁ、……。
学内で、兄達のセイントーク流合気術のサークルでもトレーニングできるけどさ。
でも、今さら恥を忍んで入会することもできなかったんだろうね。
今、兄達のサークルは評判が良くて、人気サークルだ。
だから、なおさら悔しくて堪らなかったのだろうね。
それで、ノーマンがロスシルド領に戻った際、一級剣士さんに泣き付いたのだろう。
このアホタレが一級剣士さんに、「師匠、オレに剣技を一から教えてくれっ!」とかムリを言ったに決まっている。
一級剣士さんにとって、ノーマンは形式的には雇い主の一人息子だ。
しばらく、そこそこ訓練の相手をしてやったら、後は年齢の近い私に丸投げする方が無難と踏んだのかもなぁ、……とハルコンは思った。
今目の前にいるノーマンは、これまでの行いに改心して、こちらに頭を下げにやってきたワケではない。
とにかく、こちらにすり寄って、自分は味方なんだぞ、友人になってやるから感謝しろよ、……そういった驕りのようなものが、チラチラと垣間見られるのだ。
だから、私はあえてこう言うつもりだ。
「何ですか、口説いているんですか? ごめんなさい、ちょっと狙い過ぎだし、ホンと気持ち悪くてムリです!」とね。
「実はな、ハルコン。オレは一級剣士の師匠から、こう命じられているんだ。オマエとは絶対仲良くしろとな!」
「ふぅ~ん。そうなの」
つい気のない返事をしたせいか、ノーマンは露骨に表情を顰めた。
そう言えば、中年の一級剣士さん、……今はロスシルド領に常駐しているんだっけか。
「まぁいい。とにかく、師匠が仰るんだ。ハルコン、オマエほどの男はこの世にそうそういないのだから、額を地面に擦り付けてでもして、何としても友人に成れとな!」
「へぇ~、何で一級剣士さん、そんなこと言うんですかねぇ、……」
すると、ノーマンは身を少しだけ前に乗り出して、こちらの耳元に囁いた。
「師匠は、オマエのことを『聖人君子』だと仰るんだ!」
ふむ。それにしても、ノーマンからこちらが「聖人君子」呼ばわりされるのは、何だかこそばゆくなるな。
それって、いわゆる「褒め殺し」ってヤツじゃん!
他にも引っかかることと言えば、ノーマンのヤツ、中年の一級剣士さんのことを「師匠」と呼ぶのなんてさ。
あの人、こんなボンクラを一々弟子にするかなぁ?
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まぁ、……十分あり得る可能性として、先日の学内武闘大会で、ノーマンがミラから一撃必殺、脳天直撃でダウンさせられたことが、相当ショックだったのだろう。
そして、そんなミラに、薙刀術と合気術を教えたのが、この私だからなぁ、……。
学内で、兄達のセイントーク流合気術のサークルでもトレーニングできるけどさ。
でも、今さら恥を忍んで入会することもできなかったんだろうね。
今、兄達のサークルは評判が良くて、人気サークルだ。
だから、なおさら悔しくて堪らなかったのだろうね。
それで、ノーマンがロスシルド領に戻った際、一級剣士さんに泣き付いたのだろう。
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一級剣士さんにとって、ノーマンは形式的には雇い主の一人息子だ。
しばらく、そこそこ訓練の相手をしてやったら、後は年齢の近い私に丸投げする方が無難と踏んだのかもなぁ、……とハルコンは思った。
今目の前にいるノーマンは、これまでの行いに改心して、こちらに頭を下げにやってきたワケではない。
とにかく、こちらにすり寄って、自分は味方なんだぞ、友人になってやるから感謝しろよ、……そういった驕りのようなものが、チラチラと垣間見られるのだ。
だから、私はあえてこう言うつもりだ。
「何ですか、口説いているんですか? ごめんなさい、ちょっと狙い過ぎだし、ホンと気持ち悪くてムリです!」とね。
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