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第一部「ハルコン少年期」
31 王ラスキンと神の御使い_04
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ハルコンは、現地の宮殿に滞在している女エルフの目を通して、この第三皇女殿下の人となりをよく知っている。
彼女の名は、ステラ・コリンド。シルファー先輩と同じ年齢で、現在10歳。
明るく朗らかで、素直な性格。最近はすっかり体調を良くしておられて、活発になさっていらっしゃる、健康的な美少女だ。
ステラ第三皇女殿下の件以降、ハルコンと隣国の皇室との関係は、現在も継続中だ。
当初は、ステラ様の健康面にのみ着手する予定だったけど、どうやら皇室の方々も同様の病に苦しんでおられた。
ハルコンは、仙薬エリクサー「プロトタイプB」、「ハルコンタイプB」を継続的に適量投与することで、皇室の方々の体質改善に大いに寄与した。
ハルコンが現地にいくことはなかったが、隣国での評価は極めて高い。
ハルコンは、現地に残っている女エルフを介することで、隣国の指導を行った。
隣国コリンドの医療面だけでなく、衛生環境、更にはインフラ整備に至るまで、様々に意見を求められたのだ。
「そうですねぇ、皇帝陛下。先ずは全国民に向けて、石鹸を無償配布されては如何でしょう?」
「石鹸? ハルコン殿、……あんな高価なものを全国民に配るのは、ムリが過ぎますぞ!」
「いいえ。材料は安価なものです。これから石鹸の製造方法をお教えしますので、このやり方で進めて頂けますか?」
「……、ワカりました。『神の御使い』殿、……その案に従いましょう!」
ハルコンは隣国に「手洗い」の習慣がなかったことを重視し、先ずはそれを励行させた。
その際に、ハルコンは石鹸の製造レシピを提供している。
その製造方法は、極めてシンプルだ。
苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)と油脂と水を混ぜ合わせることで、石鹸の素を作ることができるのだ。
当初、苛性ソーダだけはこちらで用意した。
中年の商人さんのところで取り扱いをしていたため、原料を大量に仕入れると、チートスキル「マジックハンド」で現地に送ったのだ。
苛性ソーダは強アルカリの劇物だ。決して直接肌に触れることのないよう、現地での指導を徹底して行い、ごく短時間で大量の石鹸を製造することができた。
そして、その石鹸は隣国コリンドの国民全員の手に届けられた。
更には、インフラの整備について、様々な現代日本の知識に基づいた情報や物資の提供をすることで、徐々にではあるが、現地の状況は改善されつつある。
当初、ハルコンはこの件に関し、自国の王宮には一切黙っていたのだが、……。
でも、王宮が隣国の宮殿に極秘で送り込んでいた女官達から齎された情報で、ハルコンが現地で「神の御使い」として称えられていることが、直ぐに伝わったようだ。
だが、王ラスキン陛下や宰相、王宮は、どうやって隣国コリンドが大量の苛性ソーダを入手することができたのか、その輸送手段が最後までワカらなかったようだ。
まぁ、……王宮からハルコンに対し、何か問い質されることもなかったし、ハルコンの方からわざわざバラすようなマネも、一切しなかった。
「ラスキン国王陛下、……第三皇女殿下の留学の件、ぜひ受け容れるべきかと思います。この国の良きところを存分にご覧になって頂き、良い印象を持って頂くのがよろしいかと」
「よかろう。ハルコン、その提案に従ってみよう!」
面会後直ぐに、隣国コリンドに向けて、王宮から一通の書簡が送られることになった。
ハルコンは、現地の宮殿に滞在している女エルフの目を通して、この第三皇女殿下の人となりをよく知っている。
彼女の名は、ステラ・コリンド。シルファー先輩と同じ年齢で、現在10歳。
明るく朗らかで、素直な性格。最近はすっかり体調を良くしておられて、活発になさっていらっしゃる、健康的な美少女だ。
ステラ第三皇女殿下の件以降、ハルコンと隣国の皇室との関係は、現在も継続中だ。
当初は、ステラ様の健康面にのみ着手する予定だったけど、どうやら皇室の方々も同様の病に苦しんでおられた。
ハルコンは、仙薬エリクサー「プロトタイプB」、「ハルコンタイプB」を継続的に適量投与することで、皇室の方々の体質改善に大いに寄与した。
ハルコンが現地にいくことはなかったが、隣国での評価は極めて高い。
ハルコンは、現地に残っている女エルフを介することで、隣国の指導を行った。
隣国コリンドの医療面だけでなく、衛生環境、更にはインフラ整備に至るまで、様々に意見を求められたのだ。
「そうですねぇ、皇帝陛下。先ずは全国民に向けて、石鹸を無償配布されては如何でしょう?」
「石鹸? ハルコン殿、……あんな高価なものを全国民に配るのは、ムリが過ぎますぞ!」
「いいえ。材料は安価なものです。これから石鹸の製造方法をお教えしますので、このやり方で進めて頂けますか?」
「……、ワカりました。『神の御使い』殿、……その案に従いましょう!」
ハルコンは隣国に「手洗い」の習慣がなかったことを重視し、先ずはそれを励行させた。
その際に、ハルコンは石鹸の製造レシピを提供している。
その製造方法は、極めてシンプルだ。
苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)と油脂と水を混ぜ合わせることで、石鹸の素を作ることができるのだ。
当初、苛性ソーダだけはこちらで用意した。
中年の商人さんのところで取り扱いをしていたため、原料を大量に仕入れると、チートスキル「マジックハンド」で現地に送ったのだ。
苛性ソーダは強アルカリの劇物だ。決して直接肌に触れることのないよう、現地での指導を徹底して行い、ごく短時間で大量の石鹸を製造することができた。
そして、その石鹸は隣国コリンドの国民全員の手に届けられた。
更には、インフラの整備について、様々な現代日本の知識に基づいた情報や物資の提供をすることで、徐々にではあるが、現地の状況は改善されつつある。
当初、ハルコンはこの件に関し、自国の王宮には一切黙っていたのだが、……。
でも、王宮が隣国の宮殿に極秘で送り込んでいた女官達から齎された情報で、ハルコンが現地で「神の御使い」として称えられていることが、直ぐに伝わったようだ。
だが、王ラスキン陛下や宰相、王宮は、どうやって隣国コリンドが大量の苛性ソーダを入手することができたのか、その輸送手段が最後までワカらなかったようだ。
まぁ、……王宮からハルコンに対し、何か問い質されることもなかったし、ハルコンの方からわざわざバラすようなマネも、一切しなかった。
「ラスキン国王陛下、……第三皇女殿下の留学の件、ぜひ受け容れるべきかと思います。この国の良きところを存分にご覧になって頂き、良い印象を持って頂くのがよろしいかと」
「よかろう。ハルコン、その提案に従ってみよう!」
面会後直ぐに、隣国コリンドに向けて、王宮から一通の書簡が送られることになった。
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