264 / 595
第一部「ハルコン少年期」
33 姫君ステラ・コリンドの留学 その2_10
* *
「私ね、本国で弓使いの女エルフと呼ばれる方から、いろいろと教わりましたの。ハルコンが実は『神の御使い』様でいらして、我が国の窮状を憂いてお救いになられたのだと、……」
ステラ殿下はそう仰いながら、笑顔のままこちらに少しずつにじり寄ってこられた。
「いいえっ。私はただの人間ですよ!」
「そんなこと、ございませんっ! 最初、ハルコンの正体について、私の心のウチだけにとどめておくと心に決めておりました。でも、もうこの溢れる思いを抑えることができません!」
殿下はそう熱く語られると、こちらの両手を抱え込むように強く握ってこられた。
「スッ、ステラ殿下っ!?」
間近で殿下のその表情を窺うと、頬を紅潮させて、まるで熱狂的な崇拝者のように、じっとこちらを見つめてこられるのだ。
ハルコンは、先日国王陛下と面談した際に、「女心をワカっていない」と苦言されていた。その時のことが、急に頭の中をよぎったのだが、……まぁ、後の祭りか。
ふと背中から視線というか「圧」を感じ、後方にいるミラとシルファー先輩を見た。
すると、女子2人はお互いに頷き合うと、笑顔だけど目が少しも笑っていない表情で、こちらに歩み寄ってきた。
「ほらほら、ステラさんや、……前言撤回とか、抜け駆けはいけませんぜ!」
そう先輩が張り付いた笑顔で仰ると、ミラと2人がかりで抱き付いたステラ殿下を引き剥がしにかかったのだ。
「お止めになって! お二人とも!」
そう叫びながら必死になって抵抗される殿下だが、数に劣って引き剥がされる。
「えっ!? えっ!?」
思わず、呆気に取られるハルコン。
その場で何とかして、ステラ殿下の言葉を否定しようと思ったのだが、……。
「「いいのよ、ハルコン!」」
笑顔のシルファー先輩とミラ。2人に両脇を抱えられているステラ殿下は、どこかしょんぼりとしている。
「えっ!? えっ!? 一体どういうことですか?」
すると、……シルファー先輩とミラが、口元に手を当ててクスクスと笑い始めたのだ。
「2人とも、どうしてそんな反応っ!?」
「くすくすくす、……あぁ~っ、ご冗談がお上手ですのね、ステラ殿下は!」
シルファー先輩が明朗な笑顔でミラに仰ると、ミラも快活そうにニッコリと相槌して笑った。
そして、ミラはこう優しそうな声で語りかけてきた。
「ハルコン、後は大丈夫。私達で上手くやるから!」
「えっ!? どういうこと?」
ミラの言葉に戸惑いつつ訊ね返すと、シルファー先輩も「いいのよぉ!」と、慈愛に満ちた表情と声で仰った。
何だろう!? 2人の有無を言わさぬ笑顔の迫力に、ハルコンは思わず口を噤まざるを得なかった。
「私ね、本国で弓使いの女エルフと呼ばれる方から、いろいろと教わりましたの。ハルコンが実は『神の御使い』様でいらして、我が国の窮状を憂いてお救いになられたのだと、……」
ステラ殿下はそう仰いながら、笑顔のままこちらに少しずつにじり寄ってこられた。
「いいえっ。私はただの人間ですよ!」
「そんなこと、ございませんっ! 最初、ハルコンの正体について、私の心のウチだけにとどめておくと心に決めておりました。でも、もうこの溢れる思いを抑えることができません!」
殿下はそう熱く語られると、こちらの両手を抱え込むように強く握ってこられた。
「スッ、ステラ殿下っ!?」
間近で殿下のその表情を窺うと、頬を紅潮させて、まるで熱狂的な崇拝者のように、じっとこちらを見つめてこられるのだ。
ハルコンは、先日国王陛下と面談した際に、「女心をワカっていない」と苦言されていた。その時のことが、急に頭の中をよぎったのだが、……まぁ、後の祭りか。
ふと背中から視線というか「圧」を感じ、後方にいるミラとシルファー先輩を見た。
すると、女子2人はお互いに頷き合うと、笑顔だけど目が少しも笑っていない表情で、こちらに歩み寄ってきた。
「ほらほら、ステラさんや、……前言撤回とか、抜け駆けはいけませんぜ!」
そう先輩が張り付いた笑顔で仰ると、ミラと2人がかりで抱き付いたステラ殿下を引き剥がしにかかったのだ。
「お止めになって! お二人とも!」
そう叫びながら必死になって抵抗される殿下だが、数に劣って引き剥がされる。
「えっ!? えっ!?」
思わず、呆気に取られるハルコン。
その場で何とかして、ステラ殿下の言葉を否定しようと思ったのだが、……。
「「いいのよ、ハルコン!」」
笑顔のシルファー先輩とミラ。2人に両脇を抱えられているステラ殿下は、どこかしょんぼりとしている。
「えっ!? えっ!? 一体どういうことですか?」
すると、……シルファー先輩とミラが、口元に手を当ててクスクスと笑い始めたのだ。
「2人とも、どうしてそんな反応っ!?」
「くすくすくす、……あぁ~っ、ご冗談がお上手ですのね、ステラ殿下は!」
シルファー先輩が明朗な笑顔でミラに仰ると、ミラも快活そうにニッコリと相槌して笑った。
そして、ミラはこう優しそうな声で語りかけてきた。
「ハルコン、後は大丈夫。私達で上手くやるから!」
「えっ!? どういうこと?」
ミラの言葉に戸惑いつつ訊ね返すと、シルファー先輩も「いいのよぉ!」と、慈愛に満ちた表情と声で仰った。
何だろう!? 2人の有無を言わさぬ笑顔の迫力に、ハルコンは思わず口を噤まざるを得なかった。
あなたにおすすめの小説
元チート大賢者の転生幼女物語
こずえ
ファンタジー
(※不定期更新なので、毎回忘れた頃に更新すると思います。)
とある孤児院で私は暮らしていた。
ある日、いつものように孤児院の畑に水を撒き、孤児院の中で掃除をしていた。
そして、そんないつも通りの日々を過ごすはずだった私は目が覚めると前世の記憶を思い出していた。
「あれ?私って…」
そんな前世で最強だった小さな少女の気ままな冒険のお話である。
世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~
きよらかなこころ
ファンタジー
シンゴはある日、事故で死んだ。
どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。
転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。
弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
前世で薬漬けだったおっさん、エルフに転生して自由を得る
骸
ファンタジー
ある日突然世界的に流行した病気。
その治療薬『メシア』の副作用により薬漬けになってしまった森野宏人(35)は、療養として母方の祖父の家で暮らしいた。
爺ちゃんと山に狩りの手伝いに行く事が楽しみになった宏人だったが、田舎のコミュニティは狭く、宏人の良くない噂が広まってしまった。
爺ちゃんとの狩りに行けなくなった宏人は、勢いでピルケースに入っているメシアを全て口に放り込み、そのまま意識を失ってしまう。
『私の名前は女神メシア。貴方には二つ選択肢がございます。』
人として輪廻の輪に戻るか、別の世界に行くか悩む宏人だったが、女神様にエルフになれると言われ、新たな人生、いや、エルフ生を楽しむ事を決める宏人。
『せっかくエルフになれたんだ!自由に冒険や旅を楽しむぞ!』
諸事情により不定期更新になります。
完結まで頑張る!
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』