天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司

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第一部「ハルコン少年期」

39 サスパニア出張旅行 その2_02

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   *          *

 ハルコンはベッドの上で半ば微睡んだまま、……今日一日の出来事を振り返っていた。

 午前中の緊急案件が解決したらさ、……。その後は、まさかの女盗賊さんとの再会だよ。
 ホンと、ウチの施設の増築工事に、子供の頃から世話になってきた女盗賊さんと、この王都で再び会えるなんてさ。

 確か聞いた話によると、もうセイントーク領の再開発は大体済んでしまっていて、開発の余地がなくなったということだったよね。

 だったら、女盗賊さんが先進的なセイントーク領で磨かれてきたノウハウを武器に、華の王都で一旗揚げようというのは、至極当然な結果なんだと思うんだ。

 だってさ、彼女の傭兵部隊の運営、日雇い労働者の派遣、獣人ネットワーク、そういった強みが、土木や建築業、防衛インフラなどで遺憾なく発揮されていて、そしてこの社会に広く受け容れられているんだからね。

 だから、女盗賊さんとこうして王都で再会できたのも偶然ではなく、むしろ必然。あくまで時間の問題だったということだね。

 そして、その嬉しい再会の後、私はアフターファイブ(実際は夕方4時前後だったようです)に女盗賊さんに連れられて、一度は閉会してしまった集まりに参加することになるんだ。

 それは、私にとっては全く考えの範疇から外れていた事実で、……。
 でも、人の考えることというものを突き詰めていけば、その会合が必要かつ十分な理由で存続されてきたのも、納得できることなんだよね。

 私は嬉しかったんだよ。私が物事をスムーズに進めるためだけに開催していた6人のNPC達との定期会合だけど、私は彼ら彼女らをこちらが一方的に利用しているような気がしてさ。

 だから、敵国コリンドがファイルド国の友好国となって以降、もうこの集まりの存続意義がなくなったことを理由に解散してしまったんだ。

 でもね、……。6人のNPC達、当の本人らは、この会合が本来私の私的目的のみで設立していたにも拘らず、閉会後、互いの能力が高いことを理由に、接点をなくすことなく、ウチウチで存続していたことは、とても納得できる話だったと私には思えたよ。

 そして、今回その6人のNPC達だけのサークルに、再び私を迎え入れてくれたことは、とても嬉しかったな。

 元々、私が聖徳晴子だった頃は、結構な酒豪(本人はそのつもりのようですが、実際は世間的に普通の「呑み助」レベルです)だったんだよ。

 それだから、このファイルド国で最近出回っているエール(実は、ハルコンと協力して、鍛冶師のドワーフの親方が合成醸造を行い、隣国よりも味とアルコール度数の若干高めのエールの製造に成功しています)を浴びるように飲んでいるのを見ていたらさ。

 私も彼らと一緒になって、たらふく酒でのどを潤したいと思ったんだけどね。

 まぁ、今では私も11歳の大人(まだ元服前です)だよ。領地なしの官職貴族とはいえ、子爵位を賜っているしね。

 立場上、私はお堅い人物を演じることで周りからは評価されてきたし、それで物事がスムーズに進むのだから、私は率先してお堅いハルコンを演じてきたんだ。

 だから、この久しぶりの会合でも、慣れた調子でエールではなくウーラン茶を啜っていたら、案の定、笑顔の一級剣士さんに、「つまらんもの飲むな!」と窘められてしまったよ。
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