346 / 500
第一部「ハルコン少年期」
39 サスパニア出張旅行 その2_09
しおりを挟む
* *
「よろしい。では、次にサスパニア出張について、お話をしましょうか?」
「は、はいっ、……」
すると、先ほどとは打って変わって、女神様はニッコリと笑顔をお作りになられた。
最初にお会いした時の女神様は、もっとこう、……美しくも威厳のある、まさに女神たらんとした存在感をお持ちだったように思われたのだが、……。
でも、今目の前にいらっしゃる女神様は、ソフィア母上やサリナ姉様のように、どこか家族的な雰囲気なのだ。
「あらっ、晴子さん。うふふっ、ホンとの私はね、こっちが素なんですよ!」
「そうなんですか?」
「はいっ。そうなんです」
こちらが多少面食らっていると、その表情を見ておかしく思われたのか、女神様はクスクスとお笑いになられている。
でも、だからといって、私までくだけた態度をしてしまっては、女神様に失礼に当たるはず。
とりあえず、……一度ニッコリと笑って、サスパニア出張の件で女神様のご要望をお聞きしようとハルコンは思った。
「女神様、……今回のサスパニア出張の件ですが、表向き王宮からは、『ハルコンBの販売促進を目的に、現地でその営業活動をせよ!』とのお達しです」
「なるほど。サスパニアの皆さんも、ハルコンBを輸入したがってますからね。それに、ファイルド国もまた、まだ見ぬサスパニアの商材に大変関心が高いワケですからね」
「そうなんです。その件については、他の近隣諸国と大して違いがないと言えますね」
「でも今回、晴子さん本人にも、現地にきて欲しいワケですよね?」
「はい。これまではキャスパー殿下ら王族の皆様が現地に赴くことで、先方も体面を保つことができていたのですが、……。それが、サスパニアについては、仙薬エリクサーの開発者の私自らが出向くよう打診してきたワケなので、……」
「その点を含めて、王宮から要請されているのですね?」
「はい。昼間頂いた手紙には、そう記してあります。先ずは明日一番に、王宮でその件も含めて話を伺ってこようと思っています」
「それがよろしいですね」
こちらの言葉に、女神様は笑顔で頷かれた。
「ただ、……女神様のお話では、現地には元日本人がいて、その人達が私にどうしても会いたがっていると仰られているように感じました」
「そうですね、……私からは、彼らに晴子さんがファイルド国にいらっしゃることをお伝えしてはいないですね」
「なら、私の行った何かが、彼らの心の琴線に触れた可能性があると見ていいのかなぁ、……」
「晴子さん、……何か、お心当たりでも?」
「数年前、ここの学生寮の裏庭で花火大会を催したんです。もしかすると、それかもしれませんね?」
「ふぅ~ん」
女神様は顎に手をやりながらそう呟かれると、目をいっそう細められた。
おそらく、このファルコニアという異世界で初の花火大会。
その女神様のご様子を見て、……花火の材料である「火薬」の匂いに、彼ら元日本軍人が引き寄せられたのではないかと、ハルコンは直感的に悟った。
「よろしい。では、次にサスパニア出張について、お話をしましょうか?」
「は、はいっ、……」
すると、先ほどとは打って変わって、女神様はニッコリと笑顔をお作りになられた。
最初にお会いした時の女神様は、もっとこう、……美しくも威厳のある、まさに女神たらんとした存在感をお持ちだったように思われたのだが、……。
でも、今目の前にいらっしゃる女神様は、ソフィア母上やサリナ姉様のように、どこか家族的な雰囲気なのだ。
「あらっ、晴子さん。うふふっ、ホンとの私はね、こっちが素なんですよ!」
「そうなんですか?」
「はいっ。そうなんです」
こちらが多少面食らっていると、その表情を見ておかしく思われたのか、女神様はクスクスとお笑いになられている。
でも、だからといって、私までくだけた態度をしてしまっては、女神様に失礼に当たるはず。
とりあえず、……一度ニッコリと笑って、サスパニア出張の件で女神様のご要望をお聞きしようとハルコンは思った。
「女神様、……今回のサスパニア出張の件ですが、表向き王宮からは、『ハルコンBの販売促進を目的に、現地でその営業活動をせよ!』とのお達しです」
「なるほど。サスパニアの皆さんも、ハルコンBを輸入したがってますからね。それに、ファイルド国もまた、まだ見ぬサスパニアの商材に大変関心が高いワケですからね」
「そうなんです。その件については、他の近隣諸国と大して違いがないと言えますね」
「でも今回、晴子さん本人にも、現地にきて欲しいワケですよね?」
「はい。これまではキャスパー殿下ら王族の皆様が現地に赴くことで、先方も体面を保つことができていたのですが、……。それが、サスパニアについては、仙薬エリクサーの開発者の私自らが出向くよう打診してきたワケなので、……」
「その点を含めて、王宮から要請されているのですね?」
「はい。昼間頂いた手紙には、そう記してあります。先ずは明日一番に、王宮でその件も含めて話を伺ってこようと思っています」
「それがよろしいですね」
こちらの言葉に、女神様は笑顔で頷かれた。
「ただ、……女神様のお話では、現地には元日本人がいて、その人達が私にどうしても会いたがっていると仰られているように感じました」
「そうですね、……私からは、彼らに晴子さんがファイルド国にいらっしゃることをお伝えしてはいないですね」
「なら、私の行った何かが、彼らの心の琴線に触れた可能性があると見ていいのかなぁ、……」
「晴子さん、……何か、お心当たりでも?」
「数年前、ここの学生寮の裏庭で花火大会を催したんです。もしかすると、それかもしれませんね?」
「ふぅ~ん」
女神様は顎に手をやりながらそう呟かれると、目をいっそう細められた。
おそらく、このファルコニアという異世界で初の花火大会。
その女神様のご様子を見て、……花火の材料である「火薬」の匂いに、彼ら元日本軍人が引き寄せられたのではないかと、ハルコンは直感的に悟った。
66
あなたにおすすめの小説
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた
季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】
気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。
手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!?
傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。
罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚!
人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる