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第一部「ハルコン少年期」
41 サスパニア出張旅行 その4_07
* *
さて、……と。
今、所長室の備え付けの魔石時計をちらりと見たら、22時を少し回っていた。
室内には私(ハルコン)の他、元女盗賊さん、秘書長のシリア女史とカルソン教授、強力助っ人として急遽サスパニア出張旅行団に入団の決まったゴリネルとトラコの、……計6名がいた。
来客用のテーブルの上には、即席の宴会のために用意したブランデーの酒瓶が10数本と、サンドイッチやスモークサーモン、スモークチーズといった東方3領の特産品が散らばっていた。
私はまだ11歳の子供だからさ。まぁ、自粛させて貰ったんだけどね、……。
見ると、大人達は滅多に市場には出回らない高級食材に心を奪われてしまい、もう今ではすっかり酔ってしまって、気持ちよさそうにうたた寝をしていた。
まぁ、……そうだろうなぁ。これらの食材って、上級貴族の当主クラスでないと口にできないものばかりだからね。
ハルコンはそんなことを思いながら、床のカーペットの上でいびきをかいて寝ているゴリネルら大人達を踏みつけないようにして、テキパキと酒瓶や皿を片付けて回った。
「ハルコン殿、……主賓がお片付けされちゃぁ、締まりがねぇでやす。後はアタイに任せてでやんしぃ!」
すると、こちらの気配に目を覚ました元女盗賊さんが、上半身を起こしながら笑顔で声をかけてきた。
「いいえ、構いませんよ。今晩の酒席は、私が皆さんに普段の感謝を込めて開いたものですから。元女盗賊さんも、ゆっくり休んで下さいね!」
「そんなワケ、いかあんべぇ!」
元女盗賊さんはそう言って起き上がると、「うぅ~んっ!」と軽い伸びをひとつして、そのまま手伝いを始めてくれた。
2人がかりのため、片付けは直ぐに終わった。
「ありがとうございます。もう大丈夫ですよ!」
こちらが礼を述べたら、元女盗賊さんは「お安いこってす!」といって、ニコリとひとつ頷いた。
窓を開け、夜の帳の下りた庭先の風景を、ふと眺めた。
日中は、30度を超える暑さだったのだが、……。
でも、もうこんな夜更けの時間ともなると、夜の暗闇の先から涼しげな風がそよそよと静かに吹いてくるのを感じられた。
そうして、所長室内のアルコール濃度が徐々に中和されていくのを感じていると、……。
「ハルコン殿、……これから、ひとりでおゆきなさるんで?」
そう、元女盗賊さんがこちらの心を見透かすように、……。でも、穏やかな表情で訊ねてきた。
なら、正直に返事をするべきだと思った。
「はい。今回はシルファー殿下、ステラ殿下、VIPのお二方が参加されます。もし間違いがあれば、国際問題に発展します。ですから、私は『マジックハンド(ハルコンのチートスキルのひとつ)』を使って、サスパニアまで先行偵察してこようと思っていました」
「……、なるほど!」
元女盗賊さんは、こちらの言葉を聞くと、腕組みをして、難しい顔をしながら考え込んでしまった。
そうしてしばらくの後、ハッとひらめいた顔をすると、……。
「よかよ。アタイッちゃぁ、ハルコン殿をば護衛をするお役目でやす! こちとら、偵察ちゃぁお手のもんでやす。アタイば、共に連れてっておくんなせぇよ!」
そう言って、元女盗賊さんはグッと拳を握りしめて、ニッコリと励ますように笑った。
さて、……と。
今、所長室の備え付けの魔石時計をちらりと見たら、22時を少し回っていた。
室内には私(ハルコン)の他、元女盗賊さん、秘書長のシリア女史とカルソン教授、強力助っ人として急遽サスパニア出張旅行団に入団の決まったゴリネルとトラコの、……計6名がいた。
来客用のテーブルの上には、即席の宴会のために用意したブランデーの酒瓶が10数本と、サンドイッチやスモークサーモン、スモークチーズといった東方3領の特産品が散らばっていた。
私はまだ11歳の子供だからさ。まぁ、自粛させて貰ったんだけどね、……。
見ると、大人達は滅多に市場には出回らない高級食材に心を奪われてしまい、もう今ではすっかり酔ってしまって、気持ちよさそうにうたた寝をしていた。
まぁ、……そうだろうなぁ。これらの食材って、上級貴族の当主クラスでないと口にできないものばかりだからね。
ハルコンはそんなことを思いながら、床のカーペットの上でいびきをかいて寝ているゴリネルら大人達を踏みつけないようにして、テキパキと酒瓶や皿を片付けて回った。
「ハルコン殿、……主賓がお片付けされちゃぁ、締まりがねぇでやす。後はアタイに任せてでやんしぃ!」
すると、こちらの気配に目を覚ました元女盗賊さんが、上半身を起こしながら笑顔で声をかけてきた。
「いいえ、構いませんよ。今晩の酒席は、私が皆さんに普段の感謝を込めて開いたものですから。元女盗賊さんも、ゆっくり休んで下さいね!」
「そんなワケ、いかあんべぇ!」
元女盗賊さんはそう言って起き上がると、「うぅ~んっ!」と軽い伸びをひとつして、そのまま手伝いを始めてくれた。
2人がかりのため、片付けは直ぐに終わった。
「ありがとうございます。もう大丈夫ですよ!」
こちらが礼を述べたら、元女盗賊さんは「お安いこってす!」といって、ニコリとひとつ頷いた。
窓を開け、夜の帳の下りた庭先の風景を、ふと眺めた。
日中は、30度を超える暑さだったのだが、……。
でも、もうこんな夜更けの時間ともなると、夜の暗闇の先から涼しげな風がそよそよと静かに吹いてくるのを感じられた。
そうして、所長室内のアルコール濃度が徐々に中和されていくのを感じていると、……。
「ハルコン殿、……これから、ひとりでおゆきなさるんで?」
そう、元女盗賊さんがこちらの心を見透かすように、……。でも、穏やかな表情で訊ねてきた。
なら、正直に返事をするべきだと思った。
「はい。今回はシルファー殿下、ステラ殿下、VIPのお二方が参加されます。もし間違いがあれば、国際問題に発展します。ですから、私は『マジックハンド(ハルコンのチートスキルのひとつ)』を使って、サスパニアまで先行偵察してこようと思っていました」
「……、なるほど!」
元女盗賊さんは、こちらの言葉を聞くと、腕組みをして、難しい顔をしながら考え込んでしまった。
そうしてしばらくの後、ハッとひらめいた顔をすると、……。
「よかよ。アタイッちゃぁ、ハルコン殿をば護衛をするお役目でやす! こちとら、偵察ちゃぁお手のもんでやす。アタイば、共に連れてっておくんなせぇよ!」
そう言って、元女盗賊さんはグッと拳を握りしめて、ニッコリと励ますように笑った。
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