バンドはじめました!

マジマ縞子

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俺たちの冠番組。

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デビューして半年も経っていないというのに俺たちになんと冠番組が決まった。
時間帯は深夜帯ながらも、まさかの冠番組。

内容は音楽関係なく普通にバラエティ。
ここまで来たら本当に俺バンドなのかわかんなくなってきたかも。


そして今日はその一発目のロケ。
隔週二人ずつが外でロケをしてきて、それをスタジオで全員で見るような感じらしい。

今回のロケは俺と仁のペアだ。


仁はデビューから半年たっても元ヤン臭が拭えない。というか、変わっていない。
バラエティ番組では基本的に愛想は悪いし、夏音以外のメンバーにはすぐ突っかかってくる。
テレビ局の人にはちゃんとあいさつしなさい、とかれこれ何十回もいっているがズボンの中に突っ込んだ手を抜く気はないらしい。


「今日のロケはなんだろうね、仁何か聞いてる?」

「知らね」

「もう、すぐそれなんだから。
でも仁ってなんか夏音には優しいよね?なんで?好きなの?」

あまりにもそっけない態度が続くので、ちょっとからかってみる。
そしたら意外とウブな反応が返ってきた。

「ちげえ!そんなんじゃ…ねえよ」

顔を真っ赤にさせて照れる姿を初めて見た。え、めっちゃ可愛いところあるじゃん仁。

「へぇ~、好きなのかー。ライバルが多くて大変そうだねえ」

「だから!本当にちげえって」

観念したように頭を掻きむしって、仁は一回大きく息を吸い込む。

「俺はあいつの作った…「南雲さん、宇吹さん出番ですー!」

「あ、いいところだったのにー!はーい!今行きまーす。
ごめん仁ちゃん、また今度聞かせて!」

「あ、ああ…。いや、絶対言わねえ!」


なんだ、意外とかわいいやつじゃないか。
元々根が悪いやつじゃないってことは分かっていたけれど、純粋そうなところが見えてちょっと嬉しくなる。
お兄さん、若者の恋路を応援しちゃおうかな。

そういえば仁って22歳だったかな、うん俺より年上だったなそういえば。
ま、細かいころは気にしない。


それにしても、あいつの作った… なんだったんろう?

作るものだから、お菓子とか料理とかだろうか。
でも夏音がうちのキッチンに立っているところを一度も見たことがない。大体文治に作らせているのは見るけど。
バラエティ番組でも危なっかしい手つきで包丁を握っていたし、料理系の線は薄そうだ。

それならなんだろう、工芸…手先不器用だしなあ。

うーん、と悩んでいたらスタッフに心配されてしまった。
いけないいけない、まじめに仕事しなくっちゃね!


ところで今日ってなんのロケなんだろう?
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