幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

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第7章

失意

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翌日になり同行予定者が全て揃っても水の中精霊ヒュードルは戻って来なかった。
異常自体の原因を探すために大捜索隊が結成され、今日からしばらくはダンジョンの一般入場は中止された。
先行隊の一隊のみが中層や下層にいるパーティやクランの生存確認や異常の有無を聞くために派遣された。
残りは手分けして地図と大きく変わったところがないかなどをマッピングしながら確認作業をしたが、問題があった3階層以外には日常的な範囲以外の異常はなかった。
その3階層さえもスライムと主人が襲われた魔物との戦闘の痕跡以外には異常はなく、下層から戻った先行隊を加えて徹底的に捜索したが、何処からか突然階層に存在し得ないモンスターが現れたとしか思えないという結論しか出なかった。
ヒュードルが帰って来たのは、そのダンジョンの調査結果をレナードが聞いた直後だった。
《遅クナリマシタ。精霊王様方ヨリ伝言ガアリマス》
《大変な事を頼んで申し訳なかったね。
精霊王様方はなんと?》
《闇ト光ノ精霊王達ト連絡ガ取レナイト。ソノタメ確認ガ取レズ時間ガカカリソウダト》
《そういう事は良くあるの?》
《元々アマリ交流ヲシテナイカラ遅イ事ガ多イガ、全ク連絡ガ取レナイ事ハ初メテダト仰ッテイタ》
《そうか、こちらでももう一度ダンジョン内を大捜索してもらったが、痕跡すら見つからなかったよ》
《闇モ光モ、会話ガ成立シニクイ生まれたての小精霊以外ガ見ツカラナイカラ何モ話シガ聞ケナカッタ》
《手掛かりがないのか》
《申シ訳ナイ。マタ戻ッテ情報ヲ得テ来ル》
《こちらこそ申し訳ないけど、精霊の事は精霊が一番詳しいから頼みます》
ヒュードルはまた本来の主人である水の精霊王オンディーヌの元へ戻って行った。
今すぐにも探したくても探すべき場所が分からなくては無駄な時間を過ごすだけ。
それだけではなく、行方不明になった場所がいつ状況が変化するか分からない危険が伴うダンジョン内だったので無闇に滞在する訳にはいかなかった。
精霊と妖精達と火蜥蜴シャンス以外は麒麟アルバと過ごした時間が長いし、シャンスはアルバと同じで生まれた時からの幻獣でかつ、親元から理不尽な理由で小さな時に別れた事がが酷似してかなり依存していたため、捜しに行かずに自宅に帰宅すると告げると探しに行くと大騒ぎになった。

どこかの別のダンジョンへ飛ばされたこと。
そのダンジョンは既存のダンジョンではない可能性が高い事。
ヒュードルが情報を集めているが何もない事。
などを説明して、何か情報が入って来たら必ず捜しに行くからそれまで待って欲しいと説得し、ようやく納得してくれた。
正直なところは幻獣達と同じで、どこでもいいから捜しに行きたいし、それが無理だと分かって帰宅するのは辛い。
このダンジョンの2階層まではあんなに皆んなで楽しく過ごしていたのに。
道中のあれこれも順調とはいえなかったが、初めての他の迷いの森の環境も新鮮だったし、新しい魔法を覚えた子もいれば、今までの魔法を強化出来た子もいた。
次に竜人の国に皆んなで来るのを楽しみにしていたのに、アルバという仲間が行方不明のまま、竜人とエルフやドワーフの研修生達と共に出国するとは想像していなかった。
行きは意気揚々と遠く離れてまで獲物を追っていた狼犬兄弟ソルとルナさえも、レナードが辛うじて目視出来る範囲を越えてまで狩りをしなくなった。
おかげで行きより順調に進んだ。

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