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やっと揃った……。
全書に記された生成候補のページを眺めながら、思わずそう心の中で呟く。
――――――――――
【エスカ式自動重兵人形・壁剣将軍】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
エスカ軍式灰鉄兜 200%/100%
エスカ軍式灰鉄鎧 100%/100%
エスカ軍式重大剣 100%/100%
瘴気 1500%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
――――――――――
例の蜘蛛ー備える森蜘蛛ーにより痛い目にあわされてから一週間ほどが経った。その間何をしていたかというと、今のままで森の探索を続けるのは危険だと判断し、新たな戦力を手に入れるべく、古都の探索を行っていたのだ。探索の結果、最終的に探索の鍵となる【骨人形】は十五体に、【エスカ式自動剣歩兵人形】をはじめとした戦闘要員となる自動人形は十二体まで増え、さらにそれらをフルに利用することで、探索の効率は目覚ましく向上していた。
そうして探索を行った成果が、この【エスカ式自動重兵人形・壁剣将軍】である。以前の探索で見つけていた【エスカ軍式重大剣】を消費することに若干の躊躇いはあるものの、戦力の強化と、なによりまだ見ぬ物品を手に入れられるという事実に興奮を隠せない。
さっそく生成を行うと、いつものように目の前の空間が湾曲するとともに、仁王立ちする屈強な全身鎧が現れた。
全身鎧の身長は二メートルを超えるほどだ。その体は隙間なく分厚い甲冑に覆われており、その重量たるや想像もできない。鎧のデザインは他の【エスカ式自動人形】を踏襲したものになっているようだが、ところどころ意匠が加えられていたり豪奢になっていたりと、かつての地位の高さが感じられる。
とりあえずは”ジルラド”と呼ぶことにしよう。少し簡単な指示をしてみたところ、他の自動人形と比べて若干ではあるものの詳細な命令を理解できるようだ。動きにも異常はないようだし、さっそく森の探索に連れて行ってみることにしたが、その性能は期待を大きく上回るものだった。
まさか備える森蜘蛛の頭部を一撃で粉砕するほどとは思っていなかった。素材をありがたく回収しながら、ジルラドを引き連れて更に探索を進める。森の奥に進むにつれて木々の密度が増していき、周囲も薄暗くなってきた。さらに泥濘なども目につくようになり、じめじめとした空気が皮膚にまとわりつくようだ。
だが、そんな中でもジルラドをはじめとする自動人形たちは淡々と前に進んでいく。何回目かの戦闘を終えたところで気づいたのだが、ジルラドを使い始めてから他の自動人形たちが、指示もしていないのに陣形のようなものをとって行動しているように見える。現に今はジルラドを先頭に、その少し後ろに剣歩兵が一体配置されており、さらに後方左右に槍歩兵が二体陣取ることで、持ち主である自分を守りながらも周囲を警戒しつつ先に進んでいるように思われた。
この形になってからの探索はまさに順調そのもので、前方に現れた魔物はジルラドに即座に討伐され、後ろや横から現れた魔物も槍歩兵が抑えている間にジルラドが駆け付け、一刀のもとに切り伏せてしまう。
そして少し前まで魔物だった素材をありがたく収集するという訳である。
――――――――――
【備える森蜘蛛の甲殻】を収集しました
【備える森蜘蛛の牙)】を収集しました
【備える森蜘蛛の複眼】を収集しました
【備える森蜘蛛の唾液】を収集しました
【備える森蜘蛛の白糸】を収集しました
【捻じれる根食蛇の木質革】を収集しました
【捻じれる根食蛇の樹骨】を収集しました
【カケツダケ】を収集しました
【ガシアの若木】を収集しました
【ガシアの毒蜜】を収集しました
【ガシアの蜜塊】を収集しました
【腐湧水】を収集しました
――――――――――
捻じれる根食蛇というのは、太い落ち枝に擬態している蛇のような魔物だ。全書によれば蛇のくせに雑食なようで、擬態で獲物を待ち伏せて捕食することもあれば木の根を食い尽くして立ち枯れさせてしまうこともあるらしい。だが、ジルラドやほかの自動人形たちはどういう原理かこの擬態を簡単に見破れるらしく、じっとしている根食蛇をあっけなく両断してしまった。
そういうわけで以前の探索の時の苦戦が嘘のように、森の奥へ奥へと進んでいく。それに従って周囲はより暗く、そして不気味に感じるほどに鬱蒼としていった。
さらにここまでくると魔物だけでなく見つかる素材の傾向も変わってくる。
――――――――――
【カケツダケ】
分類:植物・菌糸
詳細:血のようなどす黒く赤い笠が特徴的な毒キノコ。キノコ自体と胞子は強い毒性を持ち、接種した生物の内臓を激しく傷つける。
――――――――――
――――――――――
【ガシアの若木】
分類:植物・樹木
詳細:幹から分泌される樹液や花粉により周囲の生物の身体を弛緩させ、そのまま息絶えた生物の死骸から栄養を得る食肉樹木の一種。
――――――――――
――――――――――
【ガシアの毒蜜】
分類:液体・樹液
詳細:ガシアの幹から分泌される樹液。摂取した生物の身体を弛緩させる効果を持つ。
――――――――――
――――――――――
【ガシアの蜜塊】
分類:植物・果実
詳細:毒蜜の塊の中に大量のガシアの種子が入っている果実。毒蜜により弛緩した宿主の身体を養分として、種子が発芽、成長する。蜜塊自体は非常に美味であり、毒素と種子を無力化した蜜塊は高額で取引される。
――――――――――
――――――――――
【腐湧水】
分類:液体・毒水
詳細:異臭を放つ湧き水。腐敗しているわけではなく、土地特有の土壌成分を含んでおり、飲用には適さない。
――――――――――
周囲が暗くなっていくのに比例して、漂う空気まで毒に冒されているような気がしてくる。実際、【ガシアの若木】の説明を見る限り、目には見えない花粉までもが有害であるらしい。自動人形たちには影響はなさそうだが、このまま生身のまま進むのは危ないかもしれない。
何か有用なものがないかと、一度生成候補を確認してみることにする。
――――――――――
【ガシアの蜜飴】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
ガシアの蜜塊 800%/100%
未熟なイムズミ 500%/100%
ガミルの清水 2500%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
――――――――――
――――――――――
【琥珀蜜刀】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
ガシアの毒蜜 200%/100%
ガシアの若木 200%/100%
腐湧水 500%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
――――――――――
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【弛緩の琥珀水】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
ガシアの毒蜜 200%/100%
ガミルの清水 2500%/100%
腐湧水 1000%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
――――――――――
名前だけ見ても使い道が分からないものばかりだ。幸いすべて収集したもので生成できるようなので、とりあえず一つずつ生成してみて情報を見てみるとしよう。
――――――――――
【ガシアの蜜飴】
分類:薬品・飴
等級:D-
詳細: 【ガシアの蜜塊】から抽出した薬効成分を【未熟なイムズミ】で強化した薬飴。これを舐めている間、ガシアが及ぼす人体への影響を抑制することができる。
――――――――――
――――――――――
【琥珀蜜刀】
分類:武器・短刀
等級:D
権能:【弛毒】
詳細: 固めた【ガシアの毒蜜】で刃部分が構成された毒短刀。刃で切りつけた傷口から蜜が侵入し、敵の身体から力を奪う。
――――――――――
――――――――――
【弛緩の琥珀水】
分類:液体・毒水
詳細: 【ガシアの毒蜜】を薄めた毒水。 効果が弱くなった分、取り回しがしやすい。
――――――――――
三つとも興味深い物品だが、中でも【ガシアの蜜飴】は探索を続けるために必須になりそうだ。早速試しに生成した【ガシアの蜜飴】を口に放り込む。飴にしては柔らかく、思わず歯を立てたくなる食感だ。味は蜜の甘さと薬らしい苦みが共存しており、舐めていられないことはない、という感じである。
一個が溶けきるのに三十分はかからなさそうなので、自動人形たちに命令して【ガシアの若木】を重点的に探させることにしよう。
【琥珀蜜刀】は刀身が琥珀色に輝く、まるで美術品のような短刀だ。武器の扱い方を知らない素人でも取り回しがしやすいサイズで、刃の切れ味もそれほどいいわけではないため、武器の威力としてはあまり期待できなさそうだ。
毒の効果もそれほど強力ではなさそうなので、護身用くらいに思っておいた方がいいだろう。持ち手はガシアの木材でできており、同じ材質の鞘もついているので、ズボンのウエストにさしておく。
これで探索を続けることができそうだ。【ガシアの蜜飴】を舐めながら引き続き森を進んでいくが、森の深部に向かうほど植生の多様性がなくなっていくようで、すでにあたりに生えている樹木はすべて【ガミルの樹】に取って代わられている。また、この辺りの魔物の優占種は【備える森蜘蛛】と【捻じれる根食蛇】であるようで、遭遇するのはほとんどこの二体だ。
浅部と比べてそれぞれの個体が大きくなり手強くなっているようだが、やはり自動人形たちはそれほど苦戦もせずに魔物を討伐していく。
――――――――――
【備える森蜘蛛の六つ足】を収集しました
【捻じれる根食蛇の腐毒牙】を収集しました
【捻じれる根食蛇の灰樹革】を収集しました
【ガシアの腐樹】を収集しました
【腐淀水】を収集しました
【ドクアミソウ】を収集しました
――――――――――
個体が強力になったせいか、素材にも変化が出てきた。だが、根食蛇は強力になる分その個体数が減り、代わりに森蜘蛛の割合が爆発的に増えてきたように感じる。少し進めば周囲や樹上からひっきりなしに森蜘蛛が現れるようになり、だんだんと足を止める頻度も増えてきた。
探索のスピードは落ちるものの、その分森蜘蛛の素材も大量に手に入る。ということは、その素材を使った生成物品も作れるようになるということである。
――――――――――
【森蜘蛛の複眼面】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
備える森蜘蛛の複眼 300%/100%
備える森蜘蛛の牙 1000%/100%
備える森蜘蛛の甲殻 2500%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
――――――――――
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【森蜘蛛の糸鎧】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
備える森蜘蛛の白糸 800%/100%
備える森蜘蛛の甲殻 2500%/100%
備える森蜘蛛の唾液 500%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
――――――――――
――――――――――
【森蜘蛛の手套】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
備える森蜘蛛の白糸 800%/100%
備える森蜘蛛の唾液 500%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
――――――――――
――――――――――
【森蜘蛛の腰服】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
備える森蜘蛛の白糸 800%/100%
備える森蜘蛛の甲殻 2500%/100%
備える森蜘蛛の牙 1000%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
――――――――――
――――――――――
【森蜘蛛の糸靴】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
備える森蜘蛛の甲殻 2500%/100%
備える森蜘蛛の白糸 800%/100%
備える森蜘蛛の唾液 500%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
――――――――――
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【琥珀弓・音無】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
備える森蜘蛛の白糸 800%/100%
備える森蜘蛛の六つ足 100%/100%
捻じれる根食蛇の腐毒牙 100%/100%
ガシアの腐樹 150%/100%
弛緩の琥珀水 150%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
――――――――――
備える森蜘蛛の素材からは、【森蜘蛛シリーズ】ともいうべき全身各所の防具が作れるようだ。さらに備える森蜘蛛の素材以外のものを組み合わせた弓も作れるらしい。
今ある素材で一通り作れるようだが、まず武器を作りたくなるのはなんの性だろうか。【琥珀弓・音無】は|弓幹(ゆがら)部分が【備える森蜘蛛の六つ足】で作られており、弦はおそらくは【弛緩の琥珀水】で染められた【備える森蜘蛛の白糸】で形成されている。
――――――――――
【琥珀弓・音無】
分類:武器・短弓
等級:D
権能:【静腐】
詳細:弦から染み出る琥珀水と矢じりに仕込まれた腐毒牙により射抜いた敵から力を奪い、内部から腐らせる毒短弓。強靭な森蜘蛛の白糸により射出された矢は、無音のうちに標的を貫く。
――――――――――
収集品としては初めてとなる遠距離用の武器だ。周りに敵がいないうちに試しに矢を一本打ってみるが、まっすぐに飛ばすこともできず使える気がしない。
気を取り直して、【森蜘蛛シリーズ】を作ってみよう。素材としては主に白糸が使用されているようで、要所を甲殻や牙で補強しているような形だ。甲殻の鮮やかな緑色と糸の純白の対照が何とも美しい。
早速身に着けてみるのもいいのだが、一式を作ったところで新たな生成候補が現れた。
――――――――――
【時森の怪軽兵】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
森蜘蛛の複眼面 100%/100%
森蜘蛛の糸鎧 100%/100%
森蜘蛛の手套 100%/100%
森蜘蛛の腰服 100%/100%
森蜘蛛の糸靴 100%/100%
琥珀弓・音無 100%/100%
琥珀蜜刀 100%/100%
瘴気 2000%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
――――――――――
迷わず生成を行うと、目の前に現れたのは奇怪な見た目の自動人形だった。他の自動人形と比べて細身な見た目だが、腕と足が極端に長く、背丈であればジルラドとそれほど変わらないだろう。頭部は【森蜘蛛の複眼面】でできているため、蜘蛛の八つの複眼が冷たく光っており、【森蜘蛛シリーズ】でできた全身は備える森蜘蛛を無理やり人型に押し込めたような印象を受ける。
腰には【琥珀蜜刀】と【琥珀弓・音無】が下げられ、背には【琥珀弓・音無】を生成する際に一緒に現れていた矢筒が背負われている。軽兵とあるように、主に弓と短刀を使って戦うのだろう。
色々と試した結果、命令に対しての理解度は他の自動人形たちと変わらないものの、その攻撃範囲と索敵能力はずば抜けて高いということが分かった。ジルラドたちも確認できない遠方の敵をいち早く察知し、【琥珀弓・音無】でもって即座に打ち抜く。
毒の効果により敵がこちらに近づいてくるころには動きに精彩を欠くほどに弱っており、森での戦闘は先ほどよりもはるかにスムーズになった。
【時森の怪軽兵】の活躍によりさらに進行速度を上げた結果、日が暮れる前にかなりの深部まで進むことができた。集めた素材でさらにもう一体の【時森の怪軽兵】を作ったころ、ここまでの道中とは打って変わって開けた場所に足を踏み入れる。
そこにはこれまで目にしたどれよりも巨大な【ガシアの大樹】とまるで悪夢を具現化したような化け物が鎮座していた。
全書に記された生成候補のページを眺めながら、思わずそう心の中で呟く。
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【エスカ式自動重兵人形・壁剣将軍】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
エスカ軍式灰鉄兜 200%/100%
エスカ軍式灰鉄鎧 100%/100%
エスカ軍式重大剣 100%/100%
瘴気 1500%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
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例の蜘蛛ー備える森蜘蛛ーにより痛い目にあわされてから一週間ほどが経った。その間何をしていたかというと、今のままで森の探索を続けるのは危険だと判断し、新たな戦力を手に入れるべく、古都の探索を行っていたのだ。探索の結果、最終的に探索の鍵となる【骨人形】は十五体に、【エスカ式自動剣歩兵人形】をはじめとした戦闘要員となる自動人形は十二体まで増え、さらにそれらをフルに利用することで、探索の効率は目覚ましく向上していた。
そうして探索を行った成果が、この【エスカ式自動重兵人形・壁剣将軍】である。以前の探索で見つけていた【エスカ軍式重大剣】を消費することに若干の躊躇いはあるものの、戦力の強化と、なによりまだ見ぬ物品を手に入れられるという事実に興奮を隠せない。
さっそく生成を行うと、いつものように目の前の空間が湾曲するとともに、仁王立ちする屈強な全身鎧が現れた。
全身鎧の身長は二メートルを超えるほどだ。その体は隙間なく分厚い甲冑に覆われており、その重量たるや想像もできない。鎧のデザインは他の【エスカ式自動人形】を踏襲したものになっているようだが、ところどころ意匠が加えられていたり豪奢になっていたりと、かつての地位の高さが感じられる。
とりあえずは”ジルラド”と呼ぶことにしよう。少し簡単な指示をしてみたところ、他の自動人形と比べて若干ではあるものの詳細な命令を理解できるようだ。動きにも異常はないようだし、さっそく森の探索に連れて行ってみることにしたが、その性能は期待を大きく上回るものだった。
まさか備える森蜘蛛の頭部を一撃で粉砕するほどとは思っていなかった。素材をありがたく回収しながら、ジルラドを引き連れて更に探索を進める。森の奥に進むにつれて木々の密度が増していき、周囲も薄暗くなってきた。さらに泥濘なども目につくようになり、じめじめとした空気が皮膚にまとわりつくようだ。
だが、そんな中でもジルラドをはじめとする自動人形たちは淡々と前に進んでいく。何回目かの戦闘を終えたところで気づいたのだが、ジルラドを使い始めてから他の自動人形たちが、指示もしていないのに陣形のようなものをとって行動しているように見える。現に今はジルラドを先頭に、その少し後ろに剣歩兵が一体配置されており、さらに後方左右に槍歩兵が二体陣取ることで、持ち主である自分を守りながらも周囲を警戒しつつ先に進んでいるように思われた。
この形になってからの探索はまさに順調そのもので、前方に現れた魔物はジルラドに即座に討伐され、後ろや横から現れた魔物も槍歩兵が抑えている間にジルラドが駆け付け、一刀のもとに切り伏せてしまう。
そして少し前まで魔物だった素材をありがたく収集するという訳である。
――――――――――
【備える森蜘蛛の甲殻】を収集しました
【備える森蜘蛛の牙)】を収集しました
【備える森蜘蛛の複眼】を収集しました
【備える森蜘蛛の唾液】を収集しました
【備える森蜘蛛の白糸】を収集しました
【捻じれる根食蛇の木質革】を収集しました
【捻じれる根食蛇の樹骨】を収集しました
【カケツダケ】を収集しました
【ガシアの若木】を収集しました
【ガシアの毒蜜】を収集しました
【ガシアの蜜塊】を収集しました
【腐湧水】を収集しました
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捻じれる根食蛇というのは、太い落ち枝に擬態している蛇のような魔物だ。全書によれば蛇のくせに雑食なようで、擬態で獲物を待ち伏せて捕食することもあれば木の根を食い尽くして立ち枯れさせてしまうこともあるらしい。だが、ジルラドやほかの自動人形たちはどういう原理かこの擬態を簡単に見破れるらしく、じっとしている根食蛇をあっけなく両断してしまった。
そういうわけで以前の探索の時の苦戦が嘘のように、森の奥へ奥へと進んでいく。それに従って周囲はより暗く、そして不気味に感じるほどに鬱蒼としていった。
さらにここまでくると魔物だけでなく見つかる素材の傾向も変わってくる。
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【カケツダケ】
分類:植物・菌糸
詳細:血のようなどす黒く赤い笠が特徴的な毒キノコ。キノコ自体と胞子は強い毒性を持ち、接種した生物の内臓を激しく傷つける。
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【ガシアの若木】
分類:植物・樹木
詳細:幹から分泌される樹液や花粉により周囲の生物の身体を弛緩させ、そのまま息絶えた生物の死骸から栄養を得る食肉樹木の一種。
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【ガシアの毒蜜】
分類:液体・樹液
詳細:ガシアの幹から分泌される樹液。摂取した生物の身体を弛緩させる効果を持つ。
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【ガシアの蜜塊】
分類:植物・果実
詳細:毒蜜の塊の中に大量のガシアの種子が入っている果実。毒蜜により弛緩した宿主の身体を養分として、種子が発芽、成長する。蜜塊自体は非常に美味であり、毒素と種子を無力化した蜜塊は高額で取引される。
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【腐湧水】
分類:液体・毒水
詳細:異臭を放つ湧き水。腐敗しているわけではなく、土地特有の土壌成分を含んでおり、飲用には適さない。
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周囲が暗くなっていくのに比例して、漂う空気まで毒に冒されているような気がしてくる。実際、【ガシアの若木】の説明を見る限り、目には見えない花粉までもが有害であるらしい。自動人形たちには影響はなさそうだが、このまま生身のまま進むのは危ないかもしれない。
何か有用なものがないかと、一度生成候補を確認してみることにする。
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【ガシアの蜜飴】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
ガシアの蜜塊 800%/100%
未熟なイムズミ 500%/100%
ガミルの清水 2500%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
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【琥珀蜜刀】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
ガシアの毒蜜 200%/100%
ガシアの若木 200%/100%
腐湧水 500%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
――――――――――
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【弛緩の琥珀水】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
ガシアの毒蜜 200%/100%
ガミルの清水 2500%/100%
腐湧水 1000%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
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名前だけ見ても使い道が分からないものばかりだ。幸いすべて収集したもので生成できるようなので、とりあえず一つずつ生成してみて情報を見てみるとしよう。
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【ガシアの蜜飴】
分類:薬品・飴
等級:D-
詳細: 【ガシアの蜜塊】から抽出した薬効成分を【未熟なイムズミ】で強化した薬飴。これを舐めている間、ガシアが及ぼす人体への影響を抑制することができる。
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【琥珀蜜刀】
分類:武器・短刀
等級:D
権能:【弛毒】
詳細: 固めた【ガシアの毒蜜】で刃部分が構成された毒短刀。刃で切りつけた傷口から蜜が侵入し、敵の身体から力を奪う。
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【弛緩の琥珀水】
分類:液体・毒水
詳細: 【ガシアの毒蜜】を薄めた毒水。 効果が弱くなった分、取り回しがしやすい。
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三つとも興味深い物品だが、中でも【ガシアの蜜飴】は探索を続けるために必須になりそうだ。早速試しに生成した【ガシアの蜜飴】を口に放り込む。飴にしては柔らかく、思わず歯を立てたくなる食感だ。味は蜜の甘さと薬らしい苦みが共存しており、舐めていられないことはない、という感じである。
一個が溶けきるのに三十分はかからなさそうなので、自動人形たちに命令して【ガシアの若木】を重点的に探させることにしよう。
【琥珀蜜刀】は刀身が琥珀色に輝く、まるで美術品のような短刀だ。武器の扱い方を知らない素人でも取り回しがしやすいサイズで、刃の切れ味もそれほどいいわけではないため、武器の威力としてはあまり期待できなさそうだ。
毒の効果もそれほど強力ではなさそうなので、護身用くらいに思っておいた方がいいだろう。持ち手はガシアの木材でできており、同じ材質の鞘もついているので、ズボンのウエストにさしておく。
これで探索を続けることができそうだ。【ガシアの蜜飴】を舐めながら引き続き森を進んでいくが、森の深部に向かうほど植生の多様性がなくなっていくようで、すでにあたりに生えている樹木はすべて【ガミルの樹】に取って代わられている。また、この辺りの魔物の優占種は【備える森蜘蛛】と【捻じれる根食蛇】であるようで、遭遇するのはほとんどこの二体だ。
浅部と比べてそれぞれの個体が大きくなり手強くなっているようだが、やはり自動人形たちはそれほど苦戦もせずに魔物を討伐していく。
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【備える森蜘蛛の六つ足】を収集しました
【捻じれる根食蛇の腐毒牙】を収集しました
【捻じれる根食蛇の灰樹革】を収集しました
【ガシアの腐樹】を収集しました
【腐淀水】を収集しました
【ドクアミソウ】を収集しました
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個体が強力になったせいか、素材にも変化が出てきた。だが、根食蛇は強力になる分その個体数が減り、代わりに森蜘蛛の割合が爆発的に増えてきたように感じる。少し進めば周囲や樹上からひっきりなしに森蜘蛛が現れるようになり、だんだんと足を止める頻度も増えてきた。
探索のスピードは落ちるものの、その分森蜘蛛の素材も大量に手に入る。ということは、その素材を使った生成物品も作れるようになるということである。
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【森蜘蛛の複眼面】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
備える森蜘蛛の複眼 300%/100%
備える森蜘蛛の牙 1000%/100%
備える森蜘蛛の甲殻 2500%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
――――――――――
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【森蜘蛛の糸鎧】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
備える森蜘蛛の白糸 800%/100%
備える森蜘蛛の甲殻 2500%/100%
備える森蜘蛛の唾液 500%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
――――――――――
――――――――――
【森蜘蛛の手套】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
備える森蜘蛛の白糸 800%/100%
備える森蜘蛛の唾液 500%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
――――――――――
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【森蜘蛛の腰服】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
備える森蜘蛛の白糸 800%/100%
備える森蜘蛛の甲殻 2500%/100%
備える森蜘蛛の牙 1000%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
――――――――――
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【森蜘蛛の糸靴】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
備える森蜘蛛の甲殻 2500%/100%
備える森蜘蛛の白糸 800%/100%
備える森蜘蛛の唾液 500%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
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【琥珀弓・音無】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
備える森蜘蛛の白糸 800%/100%
備える森蜘蛛の六つ足 100%/100%
捻じれる根食蛇の腐毒牙 100%/100%
ガシアの腐樹 150%/100%
弛緩の琥珀水 150%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
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備える森蜘蛛の素材からは、【森蜘蛛シリーズ】ともいうべき全身各所の防具が作れるようだ。さらに備える森蜘蛛の素材以外のものを組み合わせた弓も作れるらしい。
今ある素材で一通り作れるようだが、まず武器を作りたくなるのはなんの性だろうか。【琥珀弓・音無】は|弓幹(ゆがら)部分が【備える森蜘蛛の六つ足】で作られており、弦はおそらくは【弛緩の琥珀水】で染められた【備える森蜘蛛の白糸】で形成されている。
――――――――――
【琥珀弓・音無】
分類:武器・短弓
等級:D
権能:【静腐】
詳細:弦から染み出る琥珀水と矢じりに仕込まれた腐毒牙により射抜いた敵から力を奪い、内部から腐らせる毒短弓。強靭な森蜘蛛の白糸により射出された矢は、無音のうちに標的を貫く。
――――――――――
収集品としては初めてとなる遠距離用の武器だ。周りに敵がいないうちに試しに矢を一本打ってみるが、まっすぐに飛ばすこともできず使える気がしない。
気を取り直して、【森蜘蛛シリーズ】を作ってみよう。素材としては主に白糸が使用されているようで、要所を甲殻や牙で補強しているような形だ。甲殻の鮮やかな緑色と糸の純白の対照が何とも美しい。
早速身に着けてみるのもいいのだが、一式を作ったところで新たな生成候補が現れた。
――――――――――
【時森の怪軽兵】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
森蜘蛛の複眼面 100%/100%
森蜘蛛の糸鎧 100%/100%
森蜘蛛の手套 100%/100%
森蜘蛛の腰服 100%/100%
森蜘蛛の糸靴 100%/100%
琥珀弓・音無 100%/100%
琥珀蜜刀 100%/100%
瘴気 2000%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
――――――――――
迷わず生成を行うと、目の前に現れたのは奇怪な見た目の自動人形だった。他の自動人形と比べて細身な見た目だが、腕と足が極端に長く、背丈であればジルラドとそれほど変わらないだろう。頭部は【森蜘蛛の複眼面】でできているため、蜘蛛の八つの複眼が冷たく光っており、【森蜘蛛シリーズ】でできた全身は備える森蜘蛛を無理やり人型に押し込めたような印象を受ける。
腰には【琥珀蜜刀】と【琥珀弓・音無】が下げられ、背には【琥珀弓・音無】を生成する際に一緒に現れていた矢筒が背負われている。軽兵とあるように、主に弓と短刀を使って戦うのだろう。
色々と試した結果、命令に対しての理解度は他の自動人形たちと変わらないものの、その攻撃範囲と索敵能力はずば抜けて高いということが分かった。ジルラドたちも確認できない遠方の敵をいち早く察知し、【琥珀弓・音無】でもって即座に打ち抜く。
毒の効果により敵がこちらに近づいてくるころには動きに精彩を欠くほどに弱っており、森での戦闘は先ほどよりもはるかにスムーズになった。
【時森の怪軽兵】の活躍によりさらに進行速度を上げた結果、日が暮れる前にかなりの深部まで進むことができた。集めた素材でさらにもう一体の【時森の怪軽兵】を作ったころ、ここまでの道中とは打って変わって開けた場所に足を踏み入れる。
そこにはこれまで目にしたどれよりも巨大な【ガシアの大樹】とまるで悪夢を具現化したような化け物が鎮座していた。
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