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本編
11 夕食はウナギ怪獣さんです②
しおりを挟む更に夕食はカオスと化しました。
舞雪さんの旦那さんが迎えに来るので、じゃあいっしょに夕ご飯を! とお誘いしたら。
家庭菜園の君がオプションで付いて来ました! しかもどうしておじいちゃんまで一緒!?
お兄さんと舞雪さんの旦那さんは一緒にお仕事だったそうです。
おじいちゃんは……外でチャイムを鳴らすタイミングをずっと見計らっていたようです。ヒーロー協会はこの人が総帥で大丈夫なのでしょうか?
いつもは三人の食卓がいきなり七人に。しかも我が家には胃袋ブラックホール(弟)が標準装備だというのにっ! ご飯が、ご飯が足りないよ! 母に泣き付いて、急遽麺類追加です。「急に来るな」と、祖父だけ母に怒られていました。ごめんねおじいちゃん、停戦協定で出入りできるようになったから嬉しいんだね。でもタイミング悪すぎます。
ウナギ怪獣さんは蒲焼きとドジョウ鍋風を両方用意して、弟が泣いて頼むのでエビガ二怪獣さんでエビフライも作りました。みんな大好きから揚げだって二キロも揚げました! もちろんお兄さんから頂いた野菜もサラダに副菜その他もろもろ大活躍。我が家の冷蔵庫はとっても見通しが良くなりました。
乾き物とお酒類は弟が祖父と一緒にお使いです。財布はおじいちゃんなので、私は高級アイスのストロベリーを所望します!
私と龍弥、お兄さん以外は全員酔っ払いの出来上がり。
部屋の熱気に充てられて、外で涼んでいたらお兄さんに声を掛けられた。
そういえばてんてこ舞いで会話もろくにしてなかったです。
「お兄さん……。えっと、これからはお名前呼んでもいいですか?」
舞雪さんも旦那さんの朔也さんも『ヒロ』って呼んでた。
便乗して呼んでみようかとも思ったけど、馴れ馴れしいと思われるのも嫌で確認してみる。
「もちろん。あー……そういえばきちんと自己紹介もしてなかったか。狭山緋路だ」
がしがしと頭をかいて困ったように笑うから、涼みにきたのに体温が上がった気がします。
良かった……名前、私がうっかり聞き逃していた訳じゃなかったんですねっ。
フルネームと漢字を教えて貰って、そんな些細な事が嬉しくてたまらない。もっと色々知りたいと思うのは何でだろう。
「もうご存知かもしれませんけど、私の名前は円奈ですよ。まどなの円の字を取って円ってあだ名なんです。」
このあだ名も好きだけど、緋路さんにはあだ名だけじゃなくって、きちんと名前を伝えたかった。こんな小さな事でさえ私の事を知って欲しくて。
「そうか、いい名前だな。じゃあ俺も円奈って、呼んでいい?」
一つ心臓が跳ねた気がした。
「もちろんです! 私も緋路さんって呼びますね? ……でも、『俺も』って?」
やけに強調されたけど、私を『まどな』って呼ぶのは祖父に母くらい。弟は『姉ちゃん』だし。ん? 今この家の中なら確率三分の一だから高確率?
「学校の先輩がそう呼ぶんだろ? 円奈さんって」
「ああ! 先輩ですね。でもそんな話しましたっけ?」
「…………この間、そんな話になっただろ」
う~ん。そうでしたっけ? 首を捻っていたら「嫌か?」と聞かれたので急いで否定する。
「まさかっ! どうぞ、どうぞっ。よろしくお願いします!」
「こっちこそ宜しく」とポンポンと頭を軽く撫でられて、嬉しくて照れくさい気持ちと、子ども扱いに拗ねる気持ちが絡み合う。くすぐったくて温かい。体温上昇が止まりそうにないのですが。今日は熱帯夜予報出てたかな!?
「この間は一方的に決めつけて悪かった。もし一人で買い物に行かなければならない事があったら、連絡貰えれば俺が一緒に行くから」
ま、まさかこれは世に言うデートのお誘い!? いやいや違うただの買い物、落ち着きましょう私。
我が友人の、どちらかというと常識人寄りの方こと、陽菜さーん! 聞こえたら今すぐ私にアドバイスをっ!
あうっ念話とかどうして人類には出来ないかなっ。
「こんなおっさんが荷物持ちじゃ嫌かもしれないけどな」
あまりにフリーズ時間が長すぎて誤解された! 苦笑いなんて浮かべないでぇっ。
「緋路さんはおじさんなんかじゃありません! 推定年齢ですが二十代ですよね!? 大丈夫! まだまだ若人ですよ。そして私の方こそ制服着た小娘ですが宜しいのですか!?」
緋路さんは絶句したあと大笑いを始めてしまった。舞雪さんの事言えないよ、これ。
「推定……年齢って! 俺が二十代じゃなかったらどうすんの? いや、二十七だけど。
それに自分のこと小娘……ぶはっ」
「……笑い過ぎだと思います。ちなみに私は十七歳、高校二年生ですよ」
緋路さんといい、舞雪さんといい、ツボが分からないです。
憮然とした私の顔が面白かったのか、緋路さんはさらに笑い続けた。
その笑顔が少しだけ幼く見えて、歳が近づいた気がして嬉しかったのは秘密。
祖父は迎えの車で、三人は飲まなかった緋路さんの運転で帰って行きました。
緋路さんとはもちろん携帯の番号とアドレスを交換した。ショッピングモール襲撃の件が落ち着いてから、という事で日は決めなかったけど出掛ける約束もした。
舞雪さんともばっちり交換しましたよ。緋路さんの恥ずかし情報とか、極秘情報とか流してくれるそうです。あとついでに旦那さんのスリーサイズも教えてくれるそうです。いりません。
話してみたらとってもさばさばした素敵なお姉さんだった。めちゃくちゃ構ってくるけど。あの猫の目をされるとちょっぴり及び腰になる。
ちなみにおじいちゃんが涙目で見てたけど、アドレスは教えませんよ。
お母さんと早く完全に仲直りしてね?
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