23 / 53
本編
22 脱出劇 前編
しおりを挟む
「さて、と」
アイロニーはソファーに右半身を下にした横向きで丸まり、寝息を立て始めた。レティレナの手を掴んだままだったから、そっと外す。
そしてアイロニーのクラバットを慎重に緩めて引き抜いた。
晒された白い首筋に手を当てる。
規則正しい脈と、起きないことを確認してから、クラバットを利用してアイロニーの両手首を縛った。縛り方にはちょっとだけ自信がある。解けない固い結び方を、薬草園の手入れをするときに庭師から学んだのだ。何事も経験は大事ね、などと暢気なことを考えながら。
「あった。これね」
レティレナは更にアイロニーの上着の右ポケットをごそごそ探り、目当てのものを見つけ出した。
鈍色の鍵。
持ち手の所の飾り彫りは見事だが、鍵穴に差し込む部分はそう複雑でもなさそうだ。
先程お茶が運ばれてきたとき、アイロニーはこの鍵で部屋の扉を開けた。この宿屋の扉は、どちらからも鍵を差し込んで錠を開閉できるタイプだ。鍵さえ手に入れてしまえば、こちらのもの。
ついでに左のポケットも探ったけれど、こちらには何もなかった。残念ながら、タンジェの部屋の鍵をアイロニーが所持している訳ではないようだ。きっと姿を見せない従者だという男が側についているのだろう。二階まで一緒に上ったのは確かなのだから。
鍵を使ってそっと錠を開け、ノブを回す。
薄く開いた扉の隙間からのぞく廊下は薄暗い。レティレナの居る部屋が一番奥で一番大きいようだ。部屋はあと三つ並んでいる。
廊下の先には階段があるのだろう、光が覗える。
「逃げ道は窓か階段よね」
手っ取り早いのは部屋の窓だけれど、一人で降りられる自信はなかった。それにまずは、タンジェを探して無事を確認しないと。
首を引っ込めると、レティレナは顎に人差し指をあてて、ほんの少し考える。
窓辺に寄れば、外はすっかり夜の帳と雨だれに支配されている。
窓に頬を付けて側面の様子に目を凝らせば、一つ部屋を挟んだ先の窓からわずか明かりが漏れている。あちらは木戸を閉められているので、ほんの少しの線のような光だけれど。
この窓から庇を伝って、部屋の様子を見に行ければいいのだけれど。そこまで考えて、レティレナの身体がぶるりと震えた。
――あんな狭い庇なんてむりっ。それに雨で滑ってしまうもの。
ぎゅっと一度目を瞑り、その選択肢をすぐさま却下する。庇を使っての脱出と偵察を諦め別の策で行くことにした。部屋をきょろきょろと見回して、手頃なのは椅子かと狙いを定める。
眠っているアイロニーが起きないように、念のため両耳にハンカチの切れ端を丸めて詰めた。即席の耳栓だ。
書き物机と対になっている木製の椅子を、両手で掴んで持ち上げる。引きずらないように窓辺まで運ぶと、両腕に力を込めて窓の高さまで掲げた。
――せえの!
心中のかけ声と共に、椅子を思いきりガラス窓へと打ち付けた。
ガラスは思ったほど派手には割れなかった。
木枠に嵌まった格子ガラスの、椅子の脚が当たった数枚だけが、すっかり暮れた夜の闇へと向かってぱらぱら欠片になって砕け落ちる。
レティレナだってガラス窓を割るなんて経験は初めてなのだから、派手にいかなくても仕方ない。何ごとにも最初がある。次はもっと上手く音を立てて割れるはずだ。
……そこまで考えて、次があってはいけないんだと流石に思い直す。
少し離れた所から、慌ただしい物音がした。
急いで扉を開ける音、そして荒い靴音。階下でも階段を上る足音が聞こえる。
レティレナは椅子を急いで放り出し、扉の横にぴたりと張り付いた。
深呼吸をして、タイミングを計る。
(ぎゃっ)
荒々しいノックと共に勢いよく開いた扉が鼻先まで迫って、レティレナの顔は危うく潰れるところだった。声を殺したレティレナを、誰か褒めほしい。
内開きの扉を力任せに開けた男は窓の惨状を見て固まり、そしてソファーで動かない主を見つけて狼狽した。
「フローレンス様!」
アイロニーではなく、ガーシュでもなく、フローレンスと呼んだのは。身分を隠しているからなのか。
それとも、咄嗟の判断でいつもの呼び方になったのか。
そんなことを考えながらも、姿勢を低くして猫のようにすばしっこく前転する勢いで扉をくぐる。
急いで、急いで。でも焦ってはだめっ。
素早く扉を閉めて、アイロニーから奪った鍵を鍵穴に差し込み、左にカチリと回す。
慌てて扉に取りすがる音と、がちゃがちゃとノブを動かす音が聞こえたけれど、何とか間に合った。
第一関門突破だ。どっと緊張が解けて、息を吐く。
扉の向こうから、くぐもった悪態が聞こえた。
宿屋の扉が頑丈だと良いなと思いながら、身体を起こして男がやって来た方の廊下へ目を凝らす。
さっきの男が飛び出してきたせいで、半開きになっている扉。一か八かだったけれど、こちらも狙い通りだ。
目的の扉はほんのふたつ先の部屋。でも今度は階段から上ってくる人影。
助けを求めて良いのか、それとも完全なるアイロニーの陣営なのか。はっきり言ってさっぱり分からない。そもそも灯りのない廊下は暗いし。まいった。
どっちにしても扉を目指すならば階段に、つまり男の方へ向かって走らなければならない。反対側は突き当たりの壁だ。
だから迷ったのは一瞬。
腹を括って、レティレナは扉に向かって走った。
丁度扉の前に辿り着いた時、階段を上り終わったやせぎすの男と目が合う。宿屋の者というより、従者の格好だ。
「ご機嫌よう」
目的の扉の前で急停止したレティレナは、男に向かってにっこりと微笑み、こちらから声を掛けた。
――先手必勝。いつも通り堂々とするのよ、レティ!
そう自分に言い聞かせる。
心臓が口から出てきそうなほど緊張してるなんて、おくびにも出さない。だって猫かぶりは筋金入り。ザーク叔父だって綺麗に騙せていたし、ランバルトへの悪戯の秘匿なんて、この道六年のベテラン。城に帰り着いたら、この分野の権威でも名乗ってみようか。
いや、お説教と久々に兄に大目玉をくらいそうだから、やっぱりやめておこう。
あんまりにも堂々と自然に挨拶をするものだから、相手の男はぽかんとした後、慌てて廊下の端に控え深く礼をとった。
きっと条件反射のようなものなのだ。
レティレナはその隙を存分に使い、開いたままの扉に滑り込んで閉めた。
顔を上げた男は目をまん丸にして、レティレナが逃げ込んだあとの扉を見て首傾げる。奥の部屋から扉を叩く音を聞いて、彼は急いでそちらへ駆け寄った。
アイロニーはソファーに右半身を下にした横向きで丸まり、寝息を立て始めた。レティレナの手を掴んだままだったから、そっと外す。
そしてアイロニーのクラバットを慎重に緩めて引き抜いた。
晒された白い首筋に手を当てる。
規則正しい脈と、起きないことを確認してから、クラバットを利用してアイロニーの両手首を縛った。縛り方にはちょっとだけ自信がある。解けない固い結び方を、薬草園の手入れをするときに庭師から学んだのだ。何事も経験は大事ね、などと暢気なことを考えながら。
「あった。これね」
レティレナは更にアイロニーの上着の右ポケットをごそごそ探り、目当てのものを見つけ出した。
鈍色の鍵。
持ち手の所の飾り彫りは見事だが、鍵穴に差し込む部分はそう複雑でもなさそうだ。
先程お茶が運ばれてきたとき、アイロニーはこの鍵で部屋の扉を開けた。この宿屋の扉は、どちらからも鍵を差し込んで錠を開閉できるタイプだ。鍵さえ手に入れてしまえば、こちらのもの。
ついでに左のポケットも探ったけれど、こちらには何もなかった。残念ながら、タンジェの部屋の鍵をアイロニーが所持している訳ではないようだ。きっと姿を見せない従者だという男が側についているのだろう。二階まで一緒に上ったのは確かなのだから。
鍵を使ってそっと錠を開け、ノブを回す。
薄く開いた扉の隙間からのぞく廊下は薄暗い。レティレナの居る部屋が一番奥で一番大きいようだ。部屋はあと三つ並んでいる。
廊下の先には階段があるのだろう、光が覗える。
「逃げ道は窓か階段よね」
手っ取り早いのは部屋の窓だけれど、一人で降りられる自信はなかった。それにまずは、タンジェを探して無事を確認しないと。
首を引っ込めると、レティレナは顎に人差し指をあてて、ほんの少し考える。
窓辺に寄れば、外はすっかり夜の帳と雨だれに支配されている。
窓に頬を付けて側面の様子に目を凝らせば、一つ部屋を挟んだ先の窓からわずか明かりが漏れている。あちらは木戸を閉められているので、ほんの少しの線のような光だけれど。
この窓から庇を伝って、部屋の様子を見に行ければいいのだけれど。そこまで考えて、レティレナの身体がぶるりと震えた。
――あんな狭い庇なんてむりっ。それに雨で滑ってしまうもの。
ぎゅっと一度目を瞑り、その選択肢をすぐさま却下する。庇を使っての脱出と偵察を諦め別の策で行くことにした。部屋をきょろきょろと見回して、手頃なのは椅子かと狙いを定める。
眠っているアイロニーが起きないように、念のため両耳にハンカチの切れ端を丸めて詰めた。即席の耳栓だ。
書き物机と対になっている木製の椅子を、両手で掴んで持ち上げる。引きずらないように窓辺まで運ぶと、両腕に力を込めて窓の高さまで掲げた。
――せえの!
心中のかけ声と共に、椅子を思いきりガラス窓へと打ち付けた。
ガラスは思ったほど派手には割れなかった。
木枠に嵌まった格子ガラスの、椅子の脚が当たった数枚だけが、すっかり暮れた夜の闇へと向かってぱらぱら欠片になって砕け落ちる。
レティレナだってガラス窓を割るなんて経験は初めてなのだから、派手にいかなくても仕方ない。何ごとにも最初がある。次はもっと上手く音を立てて割れるはずだ。
……そこまで考えて、次があってはいけないんだと流石に思い直す。
少し離れた所から、慌ただしい物音がした。
急いで扉を開ける音、そして荒い靴音。階下でも階段を上る足音が聞こえる。
レティレナは椅子を急いで放り出し、扉の横にぴたりと張り付いた。
深呼吸をして、タイミングを計る。
(ぎゃっ)
荒々しいノックと共に勢いよく開いた扉が鼻先まで迫って、レティレナの顔は危うく潰れるところだった。声を殺したレティレナを、誰か褒めほしい。
内開きの扉を力任せに開けた男は窓の惨状を見て固まり、そしてソファーで動かない主を見つけて狼狽した。
「フローレンス様!」
アイロニーではなく、ガーシュでもなく、フローレンスと呼んだのは。身分を隠しているからなのか。
それとも、咄嗟の判断でいつもの呼び方になったのか。
そんなことを考えながらも、姿勢を低くして猫のようにすばしっこく前転する勢いで扉をくぐる。
急いで、急いで。でも焦ってはだめっ。
素早く扉を閉めて、アイロニーから奪った鍵を鍵穴に差し込み、左にカチリと回す。
慌てて扉に取りすがる音と、がちゃがちゃとノブを動かす音が聞こえたけれど、何とか間に合った。
第一関門突破だ。どっと緊張が解けて、息を吐く。
扉の向こうから、くぐもった悪態が聞こえた。
宿屋の扉が頑丈だと良いなと思いながら、身体を起こして男がやって来た方の廊下へ目を凝らす。
さっきの男が飛び出してきたせいで、半開きになっている扉。一か八かだったけれど、こちらも狙い通りだ。
目的の扉はほんのふたつ先の部屋。でも今度は階段から上ってくる人影。
助けを求めて良いのか、それとも完全なるアイロニーの陣営なのか。はっきり言ってさっぱり分からない。そもそも灯りのない廊下は暗いし。まいった。
どっちにしても扉を目指すならば階段に、つまり男の方へ向かって走らなければならない。反対側は突き当たりの壁だ。
だから迷ったのは一瞬。
腹を括って、レティレナは扉に向かって走った。
丁度扉の前に辿り着いた時、階段を上り終わったやせぎすの男と目が合う。宿屋の者というより、従者の格好だ。
「ご機嫌よう」
目的の扉の前で急停止したレティレナは、男に向かってにっこりと微笑み、こちらから声を掛けた。
――先手必勝。いつも通り堂々とするのよ、レティ!
そう自分に言い聞かせる。
心臓が口から出てきそうなほど緊張してるなんて、おくびにも出さない。だって猫かぶりは筋金入り。ザーク叔父だって綺麗に騙せていたし、ランバルトへの悪戯の秘匿なんて、この道六年のベテラン。城に帰り着いたら、この分野の権威でも名乗ってみようか。
いや、お説教と久々に兄に大目玉をくらいそうだから、やっぱりやめておこう。
あんまりにも堂々と自然に挨拶をするものだから、相手の男はぽかんとした後、慌てて廊下の端に控え深く礼をとった。
きっと条件反射のようなものなのだ。
レティレナはその隙を存分に使い、開いたままの扉に滑り込んで閉めた。
顔を上げた男は目をまん丸にして、レティレナが逃げ込んだあとの扉を見て首傾げる。奥の部屋から扉を叩く音を聞いて、彼は急いでそちらへ駆け寄った。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
働かないつもりでしたのに、気づけば全部うまくいっていました ――自由に生きる貴族夫人と溺愛旦那様』
鷹 綾
恋愛
前世では、仕事に追われるだけの人生を送り、恋も自由も知らないまま終わった私。
だからこそ転生後に誓った――
「今度こそ、働かずに優雅に生きる!」 と。
気づけば貴族夫人、しかも結婚相手は冷静沈着な名門貴族リチャード様。
「君は何もしなくていい。自由に過ごしてくれ」
――理想的すぎる条件に、これは勝ち確人生だと思ったのに。
なぜか気づけば、
・屋敷の管理を改善して使用人の待遇が激変
・夫の仕事を手伝ったら経理改革が大成功
・興味本位で教えた簿記と珠算が商業界に革命を起こす
・商人ギルドの顧問にまで祭り上げられる始末
「あれ? 私、働かない予定でしたよね???」
自分から出世街道を爆走するつもりはなかったはずなのに、
“やりたいことをやっていただけ”で、世界のほうが勝手に変わっていく。
一方、そんな彼女を静かに見守り続けていた夫・リチャードは、
実は昔から彼女を想い続けていた溺愛系旦那様で――。
「君が選ぶなら、私はずっとそばにいる」
働かないつもりだった貴族夫人が、
自由・仕事・愛情のすべてを“自分で選ぶ”人生に辿り着く物語。
これは、
何もしないはずだったのに、幸せだけは全部手に入れてしまった女性の物語。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【完結】平凡OL(β)ですが、同期の末っ子御曹司(α)に溺愛されています
神無月りく
恋愛
日本外食産業の一翼を担う『川嶋フーズ』で秘書としてOL黒田鞠花(くろだまりか)は、同期で社長令息の川嶋隼人(川嶋はやと)に入社以来恋に似た憧れを抱いていた。
しかし、そもそもの身分が違う上に自分はβで、彼はα。
ただの同期以上の関係になれないまま、五年の月日が流れた。
ある日、Ωのヒートに巻き込まれて発情した彼を介抱するため一夜を共にし、それがきっかけで両思いだったことが発覚して交際がスタート。
意外に庶民的でたまに意地悪なスパダリ彼氏に溺愛され、順調にデートを重ねて幸せな日々を送っていた鞠花だったが、自分の母親からαの交際を反対されたり、彼の運命の番を自称するΩ令嬢が登場したりと、恋路を妨げる波乱に見舞われるように……
※ムーンライトノベルズ(小説家になろう)様で同一作品を連載中ですが、こちらが若干先行公開となっております。
※一応R18シーンには☆マークがついています。
*毎週土日および祝日の不定時に更新予定(ただし、1月1日~5日までは連日更新)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる