オープンシーズン ~妖精姫は今日も預かりの騎士にいたずらを仕掛ける~

アルカ

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本編

34 OPEN SEASON 中編 ※

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「んん……」
 髪に隠れた首筋に、ランバルトの唇が軽く触れる。
 抑える暇も無く、レティレナの口から声が漏れた。

 身体は昨夜のほんの僅かな愛撫を思い出して痺れているのに、意識は全く霞んでいかない。より鮮明に、鋭敏になってゆく。昨夜はただただ気持ちよくて、眠くなっていったはずなのに。
 レティレナは予想外の自分の反応に戸惑っていた。
 ランバルトはそんな彼女の首元で小さく笑って、けれど決して手を止めず、喉元からはだけた夜着の際、胸の谷間へと唇で辿っていく。レティレナの肌が、触れられたところから羞恥と熱をはらんで赤く染まる。
 昨日と同じ筈なのに、昨日と全然違う。
 寝台の上で膝を崩して向かい合い愛撫を受けるレティレナは、どうしていいかわからず、はだけた夜着の前を両手で握りしめた。

「レティ」
 ランバルトは僅かに震えるレティレナの乳房に布越しに柔らかく触れ、その先端の飾りを潰すように擦る。

「あっ」
 立ち上がり始めた飾りから全身に甘い痺れが広がり、身体を蕩けさせていく。
 吐き出す息が熱い。あまったるい自分の声に涙目になる。
 そんな潤んだ瞳のレティレナと視線を絡めたまま、ランバルトがシャツを脱ぎ捨てる。そして、レティレナの膝とわだかまった夜着の裾の境界にそっと触れた。

「怖い?」
 昨夜も聞かれたことが繰り返される。

「怖くないわ」
 そう、怖くはないのだ。
 ただ戸惑っている。これから先に何が待ち受けているかわからないから。

「じゃあ全部を俺に見せて、触れさせて。同じように俺を見て、触れて欲しい」
 無言で頷くと、嬉しそうに歯を見せてランバルトが笑ったから、レティレナは戸惑うことを、そこでやめた。

 衣服を取り去ったランバルトの身体の熱さと固さを、最初は蝶の羽のように柔らかく触れて確かめ、次第に大胆に手を這わせ感じる。
 レティレナとはまったく違う身体。違う命。
 それなのに、触れた手を離したくなくなる。こうして触れて、一番近くに居るのが、正しいことに思えた。

 このまま互いに触れているだけで十分幸せを感じるのだけれど、生来の負けず嫌いが主張をする。それに、好奇心も。
 ランバルトがするように、首の筋に添って甘噛みしてみる。固くとがった胸の飾りを強めに爪で引っ掻いたら、びくりと逞しい身体が揺れた。
 どうやら、レティレナが気持ちいいことはランバルトも気持ちいいらしい。
 弱点を見つけたとにんまり笑って攻撃に出ようとしたところで、レティレナの手はランバルトに掴まれ、阻まれた。
 喉の奥から唸るような声を上げたランバルトに、寝台に仰向けで転がされてしまったのだ。

「もう、ランバルトばっかりずるいっ」
「好奇心は猫を殺すって諺は、きっとレティのためのものだ、絶対に」
「触れて欲しいって、言ったのに」
 玩具を取り上げられた子供のように、レティレナが口をとがらす。

「ははっ、まったくその通り。でもごめん、こっちの理性が持ちそうにないんだ」
「それって、私の勝ちってことかしら」
 半ばふざけてレティレナが混ぜ返す。いつだって、勝ち負けじゃないですけどね、と言いつつランバルトはレティレナに勝ちを譲るから。

「ああ、俺の負けだ。深酒で勃たないとか心配したのがあほらしくなる有り様でね。だから哀れな恋人に、今は譲ってくれないか」
 ランバルトが心底参ったというように、愉快そうに笑うから、レティレナの体温が更に上がった。掠れた笑い声はレティレナの体の奥底に、なぜか直接に響く。言っている意味はよく分からなかったけれど。

「仕方ないから、譲ってあげる」
 上から覆い被さるランバルトの言葉に大仰な返事をしながらも、レティレナは内心ほっとしていた。
 ふにゃふにゃと関節がなくなったように蕩けて、あのまま座っているなんてもう無理だったから。

 唇が全身に降ってくる。レティレナが高い声をあげると、重点的にそこに吸い付かれ赤い花が施され、宥めるように舌を這わされる。徐々に下へと、口づけとランバルトの位置が下りてゆく。
 身体の奥底に熱が溜まって、レティレナは無意識に両腿を擦り合わせていた。
 手が、レティレナの足の付け根に伸びる。すでにたっぷりと潤みを帯びていた秘所、そして花芽をゆっくりとひと撫でした。

「えっえっ、待ってランバルト、そんなところ嫌っ」
 昨夜など比にならない直接の快感に煽られて、レティレナは咄嗟に制止を口走る。

「……本当に、嫌?」
 ランバルトの指は問いの間もレティレナの秘裂を優しく往復している。指の動きにつられて滲む蜜がのばされ、花芽に塗りつけられていくのを感じ、何故か恥ずかしくて堪らない。
 動きは止まない。けれどゆっくり、そしてランバルトの灰色の瞳はじっとレティレナを観察している。
 本当に彼女が嫌がれば、きっとやめてしまうのだ。

「嫌じゃ、ない」
 だからレティレナもランバルトを見つめながら言った。
 愛しているから。
 何をされても信じられるから。
 これは、男女の営みとは、なんと誠実と羞恥を求められる儀式なのだろう。

「そう、良かった。俺も愛してます」
 ランバルトはそう言うとへにゃりと笑み崩れた。
 こんな状態なのに相変わらず「好き」も「愛してる」も中々口に出来ない。それでも、レティレナの愛する人はちゃんと彼女の天邪鬼を汲んでくれている。

 レティレナの全身から力が抜けた。心が開いたのと同時に、秘裂からとぷりと愛液が溢れる。
 ランバルトは蜜を掬い指に絡めながら、秘唇を押し広げていく。

「んんうっなんでそんな湿ってるの……恥ずかし……」
「そんなに唇を噛まないで。大丈夫、こうでなければ先に進めないんだ」

 声を耐えようとしていたレティレナの唇を、ランバルトの舌が割った。口づけの心地ちよさと安心感に溺れて、レティレナも夢中で応える。
 レティレナの口内に攻め入り嬌声を吸い取りながら、ランバルトは指を隘路に進める。
 くちゃりと音を立てながら、指がほんの少しずつ蜜壺への侵入を果たす。そのまま上顎を舌で撫でられ、くすぐったさが痺れるような快感に変わる頃、レティレナの隘路も異物感だけではなく、指からもたらされるじれったい痺れを拾っていた。
 ランバルトの器用な中指が腹側に鈎のように曲がったのと同時に、親指に花芽を擦られ、レティレナは初めての頂を駆け上った。


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