119 / 133
第十章 仮面のキス
第六話 ホテル
しおりを挟む
菊花のメッセージに、蘭は上手く応えられない。
本当は――菊花と仲直りしたかった。
しかし蘭にとって一冴は、不快な好意を向けてくる者であり、恋敵でもある。しかも男のくせに女子寮にまぎれ込んでいる。そんな彼と仲直りしてほしいと言われても――簡単ではない。
女子寮へ帰れば彼と顔を合わせる――それが厭だ。
加えて、タイミングが遅すぎた。
従順な娘を蘭は演じ続けてきた。葉月王の好意に蘭が応え、転校することを祐介は望んでいる。今さらそれを反故することは難しい。端的に言えば――祐介のことが怖かった。
ホテルへ戻り、スマートフォンへと目をやる。
菊花から新たなメッセージが入っていた。
「一冴が白山に入ったのは、本人の意思じゃないんです。」
続いて、入学することとなった経緯が書かれていた――父親に借金があることや、麦彦の命令であることなどが。
冷ややかな視線でその文面を蘭は眺めた。
菊花は一冴に好意を持っている。だからこそ庇うのだ。しかし和解を勧められれば勧められるほど、その好意が自分に向いていない事実が胸に刺さる。比喩ではなく、きりきりとした痛みを実際に感じる。
やがて、蘭は次のように返信した。
「さうでしたか。」「ありがたうございました。」
菊花から返信はなかった。
本当は――菊花と仲直りしたかった。
しかし蘭にとって一冴は、不快な好意を向けてくる者であり、恋敵でもある。しかも男のくせに女子寮にまぎれ込んでいる。そんな彼と仲直りしてほしいと言われても――簡単ではない。
女子寮へ帰れば彼と顔を合わせる――それが厭だ。
加えて、タイミングが遅すぎた。
従順な娘を蘭は演じ続けてきた。葉月王の好意に蘭が応え、転校することを祐介は望んでいる。今さらそれを反故することは難しい。端的に言えば――祐介のことが怖かった。
ホテルへ戻り、スマートフォンへと目をやる。
菊花から新たなメッセージが入っていた。
「一冴が白山に入ったのは、本人の意思じゃないんです。」
続いて、入学することとなった経緯が書かれていた――父親に借金があることや、麦彦の命令であることなどが。
冷ややかな視線でその文面を蘭は眺めた。
菊花は一冴に好意を持っている。だからこそ庇うのだ。しかし和解を勧められれば勧められるほど、その好意が自分に向いていない事実が胸に刺さる。比喩ではなく、きりきりとした痛みを実際に感じる。
やがて、蘭は次のように返信した。
「さうでしたか。」「ありがたうございました。」
菊花から返信はなかった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる