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第2章 いきなりロボットアニメみたいな世界に放り込まれたんですけど
19:炎の檻の中、満身創痍。
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滅線の直撃を受けてメツトリが爆散する。メツトリの胸元から大きな塊がズルリと滑り落ちていく。おそらくはコックピットだ。
「イヅメ、飛ぶよ」
メツトリはもう終わりだ。
私は建御名方で空高く跳躍する。去り行く夜が薄ら明るい朝を連れて来る街の全景が上空から見下ろせる。
その街の只中に炎の柱が高くそびえていた。シリウスだ。
赤々と燃えるその光に、彼がまだ生きているという希望が揺らめいていた。
シリウスの方に意識を集中する。建御名方ごと空間を跳躍して、炎の壁に囲まれた真上に飛び出した。
「シリウス!」
そう叫ぶ眼下で、悪魔のような姿になったシリウスが2機の骨骼兵器とひとりの謎の男を相手に青い炎を振りかざしていた。だが、その身体は傷だらけで、血のように炎が噴き出している。
空間の向こうから異形の剣を引きずり出して、空中で急降下する。得体のしれない力で私は加速して、1機の骨骼兵器の頭上から剣を振り下ろした。
肩口に直撃した剣が骨骼兵器の腕ごと刈り取る。腕が轟音を上げて地面に叩きつけられた。
「なんで戻って来た……!」
シリウスの燃える赤と金の瞳が私を射る。
「シリウスを助けたい! それだけ!」
「お前がボクの世界へ戻りさえすればよかったんだ!」
「私の気持ちも知らないで、勝手なこと言わないで!」
腕を失った骨骼兵器を蹴り飛ばす。
謎の男がこちらを見てニヤリと笑うのが遠くからでも分かった。男はシリウスの顔のそばまで素早く空中を滑り、光の球をぶつけた。凄まじい爆発音がして、シリウスは鈍色の硬い皮膚片をばら撒きながら、崩れ落ちた。
「シリウス!」
建御名方で突撃しようとするが、背後からもう1機の骨骼兵器の銃撃を受ける。振り向いて、モニターでそちらを見ようとする私の眼前にイヅメの背中が立ち上がる。
「藍綬、儂を外へ出せ」
「で、でも、もう身体がボロボロ──」
「出せえっ!!!」
イヅメが振り返らずに叫んだ。想像していない怒号に、私は心芯から恐怖が滲み出るのを感じていた。
開けたコックピットの口からイヅメが素早く飛び出していく。機関銃を構える骨骼兵器へ真っ直ぐ跳躍したイヅメは目にも止まらない剣さばきで機関銃を真っ二つにした。
すぐに周囲全てがモノクロになり、極彩色の斬撃が骨骼兵器を直撃する。色が戻り、イヅメは返す刀で敵の首を一閃して落とした。
あまりにもハイスピードの攻撃に茫然としていると、イヅメが頭を失った骨骼兵器の肩に着地してこちらに身体を向けた。
「あとはあの男だけだ! 藍綬!」
ハッとして、シリウスの方を振り返る。イヅメが建御名方の肩を足場に謎の男の方へ加速した。
謎の男が、ふう、と溜息をつく。嫌な予感がした。
「イヅメ、待って!」
謎の男から放射状に光の波が発せられた。それに巻き込まれたイヅメが吹き飛ばされる。
「この姿は見せたくなかったのだがな」
謎の男がそう呟くと、その身体がメキメキとひび割れて、鈍色の身体が巨大化していく。シリウスと同じだ。彼が膝を突いて問い掛けた。
「何者だ、アンタ……?」
大きな羽根に鋭い一本の角。両肩のそばに浮遊する球体。彫刻のような筋肉は鈍色に輝いている。謎の男はニィッと笑みを浮かべた。
「我こそは第七魔王」
「第七──」
シリウスの言葉を無視するように第七魔王と名乗った巨体が建御名方の懐に飛び込んで来て、足を振り上げた。回避する暇もなく、蹴り上げられる。モニター映像がブレる。
「藍綬!」
シリウスが炎で剣を作り上げて第七魔王の背後へ斬りつけたが、斬撃は空を裂くだけだった。
第七魔王はシリウスの背後に一瞬で移動して、浮遊する球体から無数のビームを発射する。放たれたビームは触手のように曲がって、全てがシリウスへ殺到した。鈍色の破片が飛び散って、シリウスの背中から炎が迸った。
私の中で絶望が首をもたげていた。
「イヅメ、飛ぶよ」
メツトリはもう終わりだ。
私は建御名方で空高く跳躍する。去り行く夜が薄ら明るい朝を連れて来る街の全景が上空から見下ろせる。
その街の只中に炎の柱が高くそびえていた。シリウスだ。
赤々と燃えるその光に、彼がまだ生きているという希望が揺らめいていた。
シリウスの方に意識を集中する。建御名方ごと空間を跳躍して、炎の壁に囲まれた真上に飛び出した。
「シリウス!」
そう叫ぶ眼下で、悪魔のような姿になったシリウスが2機の骨骼兵器とひとりの謎の男を相手に青い炎を振りかざしていた。だが、その身体は傷だらけで、血のように炎が噴き出している。
空間の向こうから異形の剣を引きずり出して、空中で急降下する。得体のしれない力で私は加速して、1機の骨骼兵器の頭上から剣を振り下ろした。
肩口に直撃した剣が骨骼兵器の腕ごと刈り取る。腕が轟音を上げて地面に叩きつけられた。
「なんで戻って来た……!」
シリウスの燃える赤と金の瞳が私を射る。
「シリウスを助けたい! それだけ!」
「お前がボクの世界へ戻りさえすればよかったんだ!」
「私の気持ちも知らないで、勝手なこと言わないで!」
腕を失った骨骼兵器を蹴り飛ばす。
謎の男がこちらを見てニヤリと笑うのが遠くからでも分かった。男はシリウスの顔のそばまで素早く空中を滑り、光の球をぶつけた。凄まじい爆発音がして、シリウスは鈍色の硬い皮膚片をばら撒きながら、崩れ落ちた。
「シリウス!」
建御名方で突撃しようとするが、背後からもう1機の骨骼兵器の銃撃を受ける。振り向いて、モニターでそちらを見ようとする私の眼前にイヅメの背中が立ち上がる。
「藍綬、儂を外へ出せ」
「で、でも、もう身体がボロボロ──」
「出せえっ!!!」
イヅメが振り返らずに叫んだ。想像していない怒号に、私は心芯から恐怖が滲み出るのを感じていた。
開けたコックピットの口からイヅメが素早く飛び出していく。機関銃を構える骨骼兵器へ真っ直ぐ跳躍したイヅメは目にも止まらない剣さばきで機関銃を真っ二つにした。
すぐに周囲全てがモノクロになり、極彩色の斬撃が骨骼兵器を直撃する。色が戻り、イヅメは返す刀で敵の首を一閃して落とした。
あまりにもハイスピードの攻撃に茫然としていると、イヅメが頭を失った骨骼兵器の肩に着地してこちらに身体を向けた。
「あとはあの男だけだ! 藍綬!」
ハッとして、シリウスの方を振り返る。イヅメが建御名方の肩を足場に謎の男の方へ加速した。
謎の男が、ふう、と溜息をつく。嫌な予感がした。
「イヅメ、待って!」
謎の男から放射状に光の波が発せられた。それに巻き込まれたイヅメが吹き飛ばされる。
「この姿は見せたくなかったのだがな」
謎の男がそう呟くと、その身体がメキメキとひび割れて、鈍色の身体が巨大化していく。シリウスと同じだ。彼が膝を突いて問い掛けた。
「何者だ、アンタ……?」
大きな羽根に鋭い一本の角。両肩のそばに浮遊する球体。彫刻のような筋肉は鈍色に輝いている。謎の男はニィッと笑みを浮かべた。
「我こそは第七魔王」
「第七──」
シリウスの言葉を無視するように第七魔王と名乗った巨体が建御名方の懐に飛び込んで来て、足を振り上げた。回避する暇もなく、蹴り上げられる。モニター映像がブレる。
「藍綬!」
シリウスが炎で剣を作り上げて第七魔王の背後へ斬りつけたが、斬撃は空を裂くだけだった。
第七魔王はシリウスの背後に一瞬で移動して、浮遊する球体から無数のビームを発射する。放たれたビームは触手のように曲がって、全てがシリウスへ殺到した。鈍色の破片が飛び散って、シリウスの背中から炎が迸った。
私の中で絶望が首をもたげていた。
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