前世の記憶そのままのオッサンが転生したら

ぬっこさん。

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 翌朝、大きな伸びをしてテントから出ると雲がチラホラあるものの快晴であった。

 昨晩はどこで誰が寝るかなど揉め……る訳無かった。

ジミが火の番をしながら外で寝ると自ら申し出てくれたからだ。
 ただ、ちょっとそれが問題と言えば問題だったのがティナであった。
要はトイレ問題。
 うら若い乙女がおっさんと兄ちゃんの眼がある所で、しかも遮蔽物の無い荒野でとなると、恥ずかしさが先走って、姿が豆粒になるまで遠くに行き用を足していた(笑)


「ティナはわかってない!」

「ですねぇ……」

(え?俺が言いたい事分かってんのかい?)

マサキの思っていた事に答えるかの様に
「余り遠くに行くのは逆効果デース。」

(おっ!解ってた!)

「それだよ!全くその通り!」

「遠くに行けば行くほど注視してしまいますからねぇ。まぁ私が居なければ、流石にあそこまで遠くには行かないと思いますが……(ニヤリ)」

「いや……まぁ……」
(そこでニヤリじゃねーよ!)

「確かにな。離れれば離れただけ危険があった時、対応が遅れるのが分かってるから、見てはいけなくても、違った意味で見てるよな。」

「ですねぇ……」

 朝食前の一時、何だか久しぶりに男同志の会話をした気分になったマサキだった。

(よく考えたら、こっちの世界に来て初めてかもなぁ……殆ど人に会わず山に水汲みと、後はティナの家に引きこもってたからなぁ……異世界来ても引きこもりな俺。ぷぷぷ…)

 そうそう人間は変わらないという事を悟ったマサキである。

「お待たせ~!直ぐご飯作るからお湯沸かしてて!」
(スッキリした顔しちゃってからに!)

「手ぇ洗ったのかぁ~?」

「いっ!今から洗うわよっ!バカ!」
(へへ~ん!俺は洗わないぜ!めんどくさいもんな!)

ちょいちょいとティナに手招きされる。

「何?」
(何か用事か?)

「洗いなさい。」

「えっ?何を?」

「手を。」

「いやいやいや!俺は良いって!」

「洗いなさい。ほら!私ぃ~、マサキが手を洗ってるの見た事が無いんだけどなぁ~。(冷笑)」

「ハイ……洗います……」

渋々手を洗った。

「女性とparty(巻舌)を組んで旅するのは色々と大変そうですねぇ……」
と戻ったマサキに話し掛ける。

「ま~最初の内だけだよ!慣れればどってことない!(サムアップ)」


 朝食の時はジミから色々な話を聞いた。
王都の上層部と下士官との確執。無理難題を押し付けられ神経を削りながら奔走する現場。(アレだな、
事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で~……て奴だ。)
他にも魔法の事やモアの種類の事。
 ジミが兵隊で使っていたと言う500系、実はデチューンされて払い下げで売られているとの事。現在最新のN700系も実は二年後に引退が決まって居てチラホラ払い下げを放出してるらしいとの情報も貰えた。

「マサキさん!あれだけ乗れるんですから1羽くらい持っててもイインジャナイデスカ~?普段の脚にもなりますし、今回の様な長距離の移動手段にもなりますし……」

「いゃ……まぁ、そうかもなんだけど…お金が……ね……(白目)」
(ぶっちゃけニートでヒモで引きこもりなんて言えねぇ~!)

「だよねぇ……取り敢えず稼がないとねぇ……」
(ツッコミありがとう……ティナ。)

「兵隊の払い下げは希に良いタマも有りますが、基本的に酷使した物が流れるのでゆっくり吟味した方がイイデスヨ~!」

「あ、そうだ、故障?とかモアの場合は怪我なのかな?そう言った場合はどうすんの?」

「そういう場合、幾ら正式手続きを、して買った物でもオフィシャルな所には持って行けないので、兵隊が出してる下請けの下請け等の民間か、マニアが出す競りに行って少しづつ部品を集めるしか無いですねぇ。」

「なるほど……」
(マニアックな店を探すかオークションって事か。)


会話が一区切りになった所でティナが言った。
「ハイハイ、そろそろ出発の準備するよぉ~!」

普段聞けない話だったので尻に根が生えていた。
男どもは言われた通りにいそいそと荷物をモアに積み込んで出発の支度をした。

(ジミも一日で板に着いてきたななぁ……(笑)

最終日の帰路が始まった。



乗り分け編成は昨日と同じでジミが一人で乗りティナと俺がタンデムと言った感じだ。
 「よくこんなちっさい身体でキリン程あるギガントモアに乗ってたよな」と目の前に座って居る
ティナを見ながら関心する。

「なぁ、モアの乗り方も昔に旅してた時覚えたのか?」

「ん?そ~だよぉ~!なんで?」

「いや、意味は無いけど普通に何時覚えたんだろう?て思ってな。」

「そっか!そっか!昔はおとうさんとずっと旅してたらねぇ~……」

 ティナの父親は1年程前から帰って来てないと聞く。大事な娘を置いて旅に出たのか、それとも直ぐ帰るつもりで帰れない事情になったのか……最初に父親の事を口に出した時のティナの表情が眼に浮かぶ。

(聞いて良いもんやら聞かん方が良いもんやら……さっぱりわからん。)

 低速なのでエアカットは使用せずに走って居る。

フワフワとティナの髪の毛が揺れて微かな香りが鼻孔をくすぐる。

「ティナ、なんかつけてるの?」

「え?なんかって?」
斜め後ろに上目遣いで振り返るティナ。

「ティナ、いい匂いする。」
(ぶはっ!今の表情頂きましたァ~!名前を付けて脳内保存!)

思わず照れ隠しにそっぽを向くマサキ。

「あ~……まぁ……ハーブの匂い袋とか、香水とか作る元々の素材で櫛とか作ってあるからね。だって旅の間ってお風呂入れないでしょ?」

「なるほど……それでいい匂いするんだな!クンクン……」
(そういう事か……色々おっさんとは気の使い所が違うわな……)

「ちょっ!バカ!匂い嗅がないでよ!変態!バカっ!」

「もっと言って!もっと罵って!半分以上違う年の差の女子に罵られるの背徳的でエキサイティン!ハァハァ……」

「バカ!何なら今すぐにでも降りてもらうよっ!(ジト目)」

「ちょっ!嘘だって!ごめんごめん!」

「シー……ザッ……先程からそちらのモアの軌道がおかしいんだが何か問題発生か?」

突然ジミから連絡が入り焦るマサキ。
(ティナをからかってて蛇行運転になっていたとは言い難い。)

「ザッ……何でもない。何も問題は発生していない。以上!」
(焦った~……)

「ザザッ……了解。交信終了。」

少しだけ振り返りティナが言った。

「ほら、ジミさんに変に思われちゃったでしょ?真面目に運転してよね!」

「アイ!マン!(CV○村○道)」

そんなくだらないやり取りをしながら二時間程モアを進めていると、 ベージュ色の荒野の地平線には薄らと丘陵地帯が見えて来た。


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