前世の記憶そのままのオッサンが転生したら

ぬっこさん。

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町デート(田舎)

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 ティナは予告通りベンティアショット……以下ryと箱に入っているサンドイッチを注文し、自分は至ってシンプルなコールドブリューティー、クラブハウスサンドイッチを頼んだ。
 (無駄に名前長いの何とかならんのかよ……ただのアイスティーで良いじゃん……)

 会計が終わりサンドイッチを受け取ると
「お飲み物はあちらのオレンジ色のランタンの所でお受け取りお願いします!」
と言われた。

「はい……(白目)」
(既視感アリアリで、今、自分がどこに居るのか分からなくなってきたぞ…)

 二人は商品を受け取り、通りに面した外の椅子に腰を降ろした。

「コレ飲んでみたかったんだよねぇ~!」
ティナは眼をキラキラさせて言った。

 大きな透明の入れ物には、薄い琥珀色の液体がなみなみと入っており、その上には網状にソースが掛けられた白いホイップクリームがこれでもかという程盛られている。

(うえ~…………こんなんイ○ス○映えで草しか生えんわ…………)
等とマサキ思っていた。

「そんなんで良かったの?」
意外そうな顔でマサキの注文した物を見ている。

「うん。」

「せっかく来たんだからココでしか飲めないのを注文すれば良かったのに。」

木で出来ているスプーンでペロッとホイップを掬い口に入れる。

「あ~……うん、そうなんだけど…ここの店ってここだけなの?」

「違うよ!前から王都には何件も有るんだけど、この辺は田舎だからねぇ~。やっと出来たよ~!」

(異世界でフランチャイズ展開かよぉ……)

「噂で美味しいって聴いてたから一度食べてみたかったんだよねぇ~!」
ティナはそう言って、笑顔で二口三口ホイップを口に入れる。

(もうなにがなんだか……)

「ティナはよくこういう所くるの?」

殆ど家の事をやっているのに、いつ来てるんだろうと疑問に思った事を聞いた。

「え~?よく、では無いけど、ほら、叔母さん家に行った帰りとか食料買いに来た時とか、たまにだよ!」
と少し慌てて答える。

「いや、全然来るのは良いんだけど、普通に、いつ来てるんだろと思ったからだよ。」

「あ~……だからたまにだよ!いつも飲んでるのは、今マサキが飲んでるコールドブリューティーだし。誰かさんのお陰で贅沢出来ないしね!」
とティナはイタズラ顔でそう言った。
(ハイ!その表情頂きましたぁ~!)

「すまんね!ヒモで!(キリッ)」

「ま、今日は収入あったし大丈夫だよ!(ニヤリ)」

そんなやり取りのあと
「このさ……」
とマサキは容器を指差して
「透明な器って何でできてるの?」

ストローで飲みながらティナに聞く。

「え?コレってアレでしょ?」
(ドレでしょうか?)

「ドラゴンの鱗でしょ?」

「え?」
(今、ドラゴンって言ったか?)

「ドラゴン??」

「うん。ドラゴンの鱗を加工してるんじゃ無かったかな?…………ほら、冒険者カードも確か鱗だった筈だよぉ~!」
(なんですと~!)

 マサキは思わず身を乗り出した。

「ドラゴンの鱗って超貴重でさ、鎧とか武器になるんじゃないの?」

 ティナの背景越しの通りに眼を向けると昼前にも関わらず、町の全体人口が少ないのも相まってまばらである。

「うん。まぁそういうのもあるけどさ、鱗っても全部が全部武器や防具になる訳でもないし。逆に武器や防具になるのは極一部だよ。」

ティナはそう言ってサンドイッチを頬張りモグモグしている。

「なるほど……そうなんだな。」
(そりゃそうか。鰐とかも全部がハンドバッグとか財布になるわきゃないもんなぁ…まだ解らん事だらけだ……)

「それはそうとさ……」
とマサキは話を続ける
「この世界ってタバコ無いの?」
(転生してからバタバタしてて思いつかなかったけど、タバコ吸いてぇ……)

「あるよ!てか吸うの?」

今度はティナが身を乗り出して聴いてきた。

「うん。前も吸ってた。てか有るんだ! 」

 以前からずっと気になっていた事だ。前世の日本でも江戸時代には吸っていて、世界的に見ると15世紀には喫煙の文化が発祥したと云うのに、何故異世界にはタバコがないのか?と。酒を飲んだり酌み交わすシーンや描写は何度も、と言うより殆どの異世界物では出て居たのだが、主人公が未成年であったとしても成人が他には居るだろ!と……仮に前世で見聞きした異世界物の作者が未成年であった場合は、タバコと云う発想が無い為その描写が少なくなるのは理解できるのだが……え?なら酒は良いのか?と云った矛盾も生まれるが……

(これも大人の事情だったのか?教育団体が制作会社やスポンサーにクレーム入れて……とかなのか?前世マジクソだな(笑)

「まぁ、良いけど……ギルドか煙草屋に売ってるよ。」
 呆れた様な感じで教えてくれる。

「なら、食べ終わったら煙草屋寄ってよ!」

 今度はマサキが嬉々としてティナに言った。

「ハイハイ。わかったわよ!」

(この尻に敷かれてる感、イイかも!)


 食事を終えた二人は、ウインドウショッピングをしながら煙草屋に向かっている。
穀物を売ってる店や馬車の修理屋、衣類や生活雑貨等を売っている店が建ち並んでいるがどれも平屋建てだ。
 
(ウエスタンのセットみたい……(苦笑)

 そう思ったのは、どれも木造で外壁に色が付いてない事が起因していた。

「なんかさ、地味だよな。」

ボソリとマサキが口にすると

「え?なにが地味?」
と顔を向けてきた。

「いや、建物とか着ている服とかさぁ……なんつーの?素材の色しか無いと言うかさぁ……」

「建物?何それ?何で色を付けるの?」
ティナは全く意味が解らないと言わんばかりの顔をする。

「前世では雨風から建物を守るために外壁に施行してたんだよ。」

「ふ~ん……」

「で、その外壁も色々あったからなぁ……」

「マサキが前住んでた所はカラフルだったんだね!」

「う~ん……一概にそうとは言えないけど、此処よりはカラフルだったな。」
(少なくとも外観が木の板その物の家は少なくなってたし…)

「なんか聞いてると夢の国みたいだね!」

「俺からするとこっちが夢の国みたいなんだけどな(笑)」
(そう、まるで某ランドの様だ……どこかから「ハロー僕○ッキー」とか言って出てきそうだ。)

「煙草屋あそこだよ!」
と通りの角に煙草屋はあった。

「こんにちは~」とティナが入り、店番の老人が顔をあげる。

「おお!ティナさん!久しぶりですなぁ。」

その老人はロバートと言って、冒険者を引退してこの店を構えてからの顔見知りだそうだ。

「はい。お久しぶりです!」

「元気にしとったかの?」

「まぁ、お陰様で!」

「で、そちらの方は?」
とマサキに顔を向ける。

「あ、この人は旅人の方で蔵棚さんと言われます」
と自然に紹介してくれる。

「どうも、旅人で今ウェールズさんのお宅にご厄介になっている蔵棚です。」
(うはっ!ティナのファーストネームとかマジ言い慣れない!)
 
お辞儀か握手か迷ったが、向こうが先に手を出してくれたのでそれに応えた。

「ほう、旅人さんですか。どちらから来られたんです?」
(一応旅人の体なんだけど、言われ慣れないなぁ……)

「えっと、日本って所です。」
(異世界から来たとは言えんわ。)

「ニホン?聞いたことないですなぁ……どの辺なんですか?」

「いやぁ……かなり東ですねぇ……」
(確か日本て極東だろ?ここの世界事情はまだよく分からんが……)

「そうなんですねぇ……私は以前冒険者をやっとって各地を回ったつもりでしたが……まだまだですねぇ……」
頭をポリポリ掻きながらそう言った。

 この世界、各地を結ぶ通信技術が無い為、情報は噂か自分で見聞きしたのもだけだ。 各地を回ったという事は、それだけ色々な物を見聞きして知識を得たのだろうが、それでも未だ自分の知らない事があった為自嘲したのだろうとマサキ思った。

(ここで、変な事言えん。アウェーでの戦い方は取り敢えず笑顔ってえりりんが言ってたなぁ。)
と前世で見ていたアニメを思い出す。

そして

ニコ!(ピキピキ)
(俺、何やってんの……?)

 一瞬、老人の頭の上に「!」マークが出た表情になり
「き、今日はどう言ったご要件で?」
と尋ねて来た。

「え、ええ、タバコを貰いに。」
と表情は崩さないものの内心は焦りながら答えた。

「タバコと言っても葉巻、紙巻きとあるんじゃが……」

「紙巻きで。」
と頼む。

 10種類程ロバートは品物を出してくれて、その中から選ぶ事にするが、どれがどの様な味なのか解らない。当然ニコチンやタール表記も無いので更に選び辛い。

「どんなのをお探しで?」
ロバートがそう聞くが

「いや、よく分からないので、軽いのから順に並べて貰って良いですか?」
とマサキは頼んだ。

ロバートは快く順に並べて
「こちらから……」と右の方から指差す。

 色の印刷技術が発達していないのか、どれも藁半紙の様なパッケージである。
 若干デザインや銘柄が違うのだが、中身の味に付いて表記されている類は一切無い。

(なんだこれ……全然解らん。)

「も~タバコなんてどれも同じでしょ?」
痺れを切らせてティナが口を挟んで来た。

 余り時間を掛ける物でも無いので、適当に真ん中のを取って「コレで!」とロバートに渡した。

「はい。ありがとうございます。二千五百円になります!」


(マジかよ!二千五百円!……だと……)


 この世界の嗜好品はとても高価であった。
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