前世の記憶そのままのオッサンが転生したら

ぬっこさん。

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モアとパワーバランス

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 二人はギルド本部横に併設されているモアのハンガー内にいた。
 そこはまるでモアの展示会の様で、各種のモアが並んで整備を受けていた。同じ機種でも装備が違ったり毛並みの色が違ったりと、マサキは特に見て居て楽しかった。
 
「エイドリアンさん!アレは何ですか?」

「ああ、アレは500系の機動性を重視した仕様ですね。両足と両羽根の付け根に魔石ブースターが装備されてます。」

「じゃ、あっちのは?」とティナが同じ様な仕様のモアを指差した。

「向こうのも同じ500系ですが羽根の付け根の魔石ブースターが片方リニアカノンに改造してあるストライク仕様です。」
(え?リニアカノン?何か撃つの?)

「り、リニアカノンて、何を撃ち出すんですか?」

「魔石から精製される……なんと言えば良いのでしょうか?エネルギーみたいなものです。実体はありませんよ。実際、人が魔法を発動する時と似たような物です。それを、あの装置が肩代わりしているに過ぎません。」

「人だと魔力が尽きる可能性が有るからですか?」

「まぁ、それも有りますけど、我々は魔物を初め、如何なる外敵からも民衆を護る義務が有ります。それ故、もしもの時の脅威に対する対抗手段を日々研究して進化させなければいけないんですよ。守らなければならない時に、守る力が無くなるのは兵隊全体の存在意義が無くなるのと同じですので……」

「なるほどなぁ……確かにバンバン魔法使って、ココぞと言う時に魔力切れ起こせばどうしようも無いもんなぁ……」

「そういう事です。」
とエイドリアンはウインクした。
(ぶふぉ!でもサマになってるのは外人だからか?そうなのか?)

 ティナは異様に沢山の装備が付けてある、銀色の羽根と水色の毛で覆われた一羽のモアを見ていた。
「エイドリアンさん!コレは一体……」

「ああ、それは装備試験用のモアです。先程のストライクパックの発展型と言いますか、魔石の数を増やして魔法出力と発動回数を増やしたものなんですよ。」

「じ、重装備っすね……」
 ストライクパックの比ではない大きさの魔石ブースターが両羽根の付け根に装備され、脚は完全にブースターで覆われている状態になっていた。
(所謂アーマード仕様ってヤツか?にしては重そうだ……)

「いやぁ、まだ試作状態なので色々試験が必要なんですけどねぇ……」

「コレって、やっぱ仮想の相手を設定してから開発とかしてるんですか?」
(こんなん誰相手よ…)

「そうですねぇ……魔物の場合は召喚獣を設定してます。ご存知の通り召喚するには莫大な魔力を消費するんですが、それと引き換えに召喚獣は強大な力を発揮します。人相手だと数百人規模の戦隊を構成しないと立ち向かえれません。まぁ、以前はそういった事もしていたのですが、それをするにはこちらも被害が大きくなるので……と言った所ですね。」

(あ~……まぁ、確かになぁ……)

「後は隣国、その他との外交の兼ね合いなどもありますよ。」
(アレ?なんか話がきな臭くなってきたぞ……)

「一応、この世界中、どんな場所でも冒険者ギルドとして看板を上げている所は、名目上本部の管轄なんですが、どうしても場所が遠くなれば独立した動きをしてしまうギルドも出てきます。」
 
「え?ちょっと待って下さい!国は違ってもギルドの管轄はひとつという事ですか?」

「そうです、冒険者ギルドの頂点はここの本部ですが、国の頂点はそれぞれの国の王です。なので、本部から離れたギルドは、時折その国の王が私物化している場合もある訳です。」

(あ~……わかりやすい。ゴミ王って所だな。)

「まぁ、そんな自国益だけの為にギルドを利用している様な所から取り戻す必要があるので、一応、対人も想定しています。コレが抑止力になれば良いのですが、各国独自の技術で日々進化していますから………」
(なんと言うか……世界変わってるのに人ってやる事や発想って変わらんのな……)

「あ~……なるほど…」

「基本的に、各国に冒険者ギルドが設立されれば、セットで近衛兵隊が派遣されますし、その派遣された兵隊員は数年で配置転換される仕組みになっています。なので本部直属の兵隊は良いのですが、地元の兵隊……その国の近衛兵隊と小競り合いになることもあるんですよね。」

(なんつーか前世の中東みたいな感じだわ……)

「なんか色々と難しいそうなんですね。」

 ただ、色々なモアを見に来ただけなのだが、モアの話から国やら思惑やらの世界規模に大きくなってコメントしづらかった。

「で、どれにするか決まりましたか?」
(そうなんだけど、軍用機はちょっとなぁ……)
 ティナを見ると首を横に振っている。

「あ、あの、もっと普通ので良いのですが……余り目立たないようなモアってありますか?出来れば静かなので……」

「そうですねぇ……」と首を捻るエイドリアン。

 「練習用のとかはどうですか?」

「ソレってうるさくないですか?」
(練習用でも要は軍用機なんだよな……)

「コレは比較的静かなですね。民間のヘビーモア位です。」
(そんな事言われてもヘビーモアのうるささが解らんて……)

「うるささから言えば、乗って来られたS型よりは断然静かですよ!まぁ、余り街中で見ないと言えば見ないんですが、S型よりは見掛ける程度ですかねぇ……」
(やっぱレア機か……)

「ただ、見た目等は通常のモアと変わらないのですが、練習機なので操縦系が少々慣れが必要かも知れません。」
(ここには普通のモアってないのかよっ!)

 ティナを見るとOKサインを出して居るが、自分的にちょっと嫌だったマサキであった。(だって操縦が面倒くさそうだから。)

そして、結局仕方無くその練習機をレンタルする事になり、操縦方法のレクチャーを受ける事になった。
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