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事後処理
しおりを挟むひとまず、「鬼ごっこ」という名の模擬戦の後の空腹も落ち着き、他の隊員が戻って来る様子も無く待機状態になってしまった。
ティナはアリスとアリシアで何やらキャイキャイ話が弾んでいた。
女3人集まれば姦しいと言うけど、一体何の話してるんだろう?よく会話のネタが尽きないよな……感性の違いってヤツかな?
男二人、取り残された様な感覚に陥り、こんな時、どう間を持たせれば良いのか解らないマサキは、ひたすら空を見ながら「何か話題を!」と独り無限ループに入ってしまう。
何かしら目的がある時は、それに向けて会話をすれば良いので何の不安も問題も無いのだが、目的が無い時の会話はとんと苦手である。
「いや、まぁ解ってんだ……基本的に他人に興味が無いからなんだよなぁ…」
横にいるアクセルはと言うと、何も気にしてないようで自分のモアのチェックをした後、地図を見たり装備の点検等をした後、遠目にティナや他の隊員を眺めている。
「男同志ってこんなもんだよな。わざわざ気を使って会話をするもんでも無いし……」
そんな事を想いながら静かに眼を瞑ると、サワサワと木の葉の重なる音とそよぐ風が心地好くていつの間にか寝てしまった。
「…………!」
「………………さん!」
(このシチュ何度目だ?)
「……タナさん!」
(今俺は寝ていて起こされてる状況だ。急に起きると碌なことが無いと言うのは学習した!)
等と一度状況整理をしてから、ゆっくり眼を開けるとアクセルの顔が目の前にあった。
「うわっ!顔近っ!!」
起き抜けにヤローの顔が目の前あるシチュって、今までに余り無かった状況なので思わず逃げ腰になってしまった。
「アクセル。近いよ…怖いよ。俺はノンケだよ。」
内心ドキドキ(笑)していたが、なるべく落ち着いた声でささやかな抗議をしてみる。
「いや、あ、すみません。」
一応、口では謝罪をしているが大して謝ってる雰囲気が無いアクセル。
(この人スゲーニュートラルなんだなぁ…その位じゃないとやっていけないのか?つか、そういう性格なんだろうな。)等と思いつつ返事をする。
「いいけど。で?皆帰ってきた?のかな?」
「ええ、スチュアート副隊長以下、ハンガーの者達も来ています。」とアクセルはモアを駐機させた辺りを指さした。
よく見るとモアだらけ。人だらけ。隊員も無事戻ったようでジェニファーやスミスの姿も見える。あちこちで回収の為にウインチを使って台車に動けなくなったモアを引き揚げている作業が眼に止まり騒然といている。さながら戦場のようだ。とは言え、戦場なんて一度も行ったことがないので、この光景が戦場の様なのかと聞かれれば解らない(笑)
(いつの間に……よくこんな中で寝てたよなぁ……)
等とどうでもいい感想を思いながら作業を遠目に見ていた。
「クラタナさん!」
突如声を掛けられ振り返るとスチュアートが立っていた。
「あ、どうも。なんか大掛かりな事になっちゃってすみません……」
基地迄の往復や回収の手配等、全てスチュアートに任せっきりだったので謝罪も込めてお礼を言っとく。
「いえいえ、元々飛ぶのを見たいと言ったのはコチラなので、気にしないで下さると助かります!それで、帰りは乗ってこられたヘビーモアを持って来たのでそちらにティナさんと同乗して街まで戻って下さい!」
(なんでこんなに爽やかなんだ?当然の事のように……超イケメンじゃぁ~ん!)
「ヘビーモア直ったんですね!いやぁ……何から何までありがとうございます。」
「自分は運んだだけですから!足回りから動力系も一応メンテしたそうですので、お礼ならハンガーの者達に言って下さい!それの方が彼等も喜びます!」
笑いながら話していたが何か雰囲気がおかしい。
「どしたの?」
頭を掻きながらスチュアートは
「まぁ、うん。実は帰ったら「何でそんなことしたんだ!」って隊長に大目玉喰らっちゃいました。」
ははは……と乾いた笑いを漏らした。
「あ~……ここまで大袈裟な事になるとは俺も思って無かったからなぁ……帰ったら俺も一緒に謝るよ。壊したのは俺だし。流石に弁償とか言われると辛いけどwww」
(内心ヒヤヒヤだぜ……)
「あ、いえ、そう言うつもりでは無いのですが、今回の事は訓練行動として処理しますので、報告書を書くのに少々手伝って頂ければ……と。」
と、スチュアートは申し訳無さげに言った。
「あ~。そういう事ね!了解しました。言い出しっぺは兎も角、それに乗ったのは俺なんだからソレくらいはさせて貰いますよ!モアも修理して頂いた事ですし。」
「そう言って貰えるととても助かります!では、取り敢えず報告書の件の打ち合わせは戻ってからという事で宜しく御願いします!」
そう言ってスチュアートはビシッと敬礼をして、アクセルと共に作業に戻って行った。
作業に戻る後ろ姿を見ながら「はぁ~……何かに所属するのって色々大変だよなぁ…」と前世で務めていた頃の事を思い出すマサキであった。
モアの積み込み作業は順調に、と言うかテキパキとルーチンワークさながら粛々と続けられた。
「これも普段の訓練の賜物なのかねぇ……誰一人として文句も言わずによく働くよなぁ……」
おもむろにポケットからタバコを取り出して火を付けながら率直な感想を思った。
「凄いよねぇ。」
いつの間にか横に来ていたティナもそんな感想を言葉にした。
どうやら作業を見ていて同じ事を感じたらしい。
「仕事だから出来るもんなのかねぇ……」
視線を動かさずにマサキも答える。
「どうなんだろ?マサキは仕事だからってあんな風にできる?」とこちらを見ながら話した。
「俺には無理だろうなぁ……基本的に省エネ主義だし、誰かの為とか仕方無いからとかってのはなぁ……」
タバコの煙を吐きながらマサキはそう答えた。
「ですよね~!知ってたwww」
ティナはニヤッと笑ってから、ポンポンとマサキの背中を叩いた。
「な、なんだよ。」
思いがけない事をされて咄嗟に答える。
「お疲れ様!」
「あ……いや、ティナもな!」
ティナも本来ならば慣れない事をした後なので疲れてるんだろうと理解していたのだが、良い返答が思い付かず素っ気ない返事しか出来ないマサキであった。
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