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事後処理2
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積み込み作業も終わり、自機が動く者は各々それに乗り込み撤収が始まった。
途中、「お前さん!良くもまぁ次から次へと仕事を増やしてくれるもんだわ!」と声を掛けられた。
声の聴こえる方に顔を向けると、髭モジャのイカついオッサンが如何にもと言うポーズで立っていた。
ここで言う如何にもとは、両手を腰に手を当て、ドヤ顔でふんぞり返る感じだ。
「ワシは第二教導隊ハンガーを仕切っているフランクじゃ!例のヘビーモアの持ち主はお前さんじゃな?」
「え、ええ。あ、修理して頂いたそうで、ありがとうございます。」(な、なんかおっかなそうだぞ……汗)
「あ~、堅苦しいのは無しじゃ、お前さん名前は?」
コチラのお礼も遮られ、矢継ぎ早に質問された。
(この人短気なんかな?職人系だろうな……)
「あ、クラタナと言います。」
(こういうの、俺……苦手……)
「ふむ……またモアの事で困った事があれば言って来い!」
ニヤッと笑いながらバンバンとマサキの肩を叩いた。
「あ、はぁ……ありがとうございます!」
(あれ?仕事増やしてとか言われたから、てっきり文句言われるもんだと思ってたけど……てか肩痛い……)
「だから、堅苦しいのは無しじゃ!ワシらはな、整備したり修理するのが仕事なんじゃ。だからモアを見れば大体の事は解る。アンタに30(サンマル)は力不足だったようじゃの。余剰機体が無かったとは云え、やりづらかったじゃろ?次からはお前さんの力が発揮出来る様な機体を用意しておくでな。」
「い、いや……壊してしまって申し訳ないです。」
威勢の良いオッサンと言う印象だっただけに、逆に謝られて肩透かしを喰らったマサキはそんな事しか言えなかった。
「訓練で壊れたのはある意味ワシらの責任じゃから気にするな。有事の戦闘でも普通はこうはならんからな……訓練でこんな風になるとか、一体どんな動かし方したのやら……また忙しくなりそうじゃの!」
そう言うとフランクは何処と無く嬉しそうに、豪快に笑いながら去って行った。
(ふぅ…… わ、悪い人じゃ無さそうだな……けど、色々強引なのはやっぱ苦手かも……)等と思っていたら「終わった?」とティナに声を掛けられた。
「あ、ああ。済まない、もう終わったよ。」
「なんか怖そうな人だったから遠くから見てた!」
ティナはてへっっと舌を出して笑いながら話している。
「まぁ、俺も最初ビビって話てたんだけど、どうやら違うみたいだった。なんつーか、職人さん?なんだろうな。」
「ふ~ん……怖くは無いんだね!傍から見てたら怒られてるみたいだったから(笑)」と心配そうな顔で見詰めてくるティナ。
「最初は俺もそうかと思っててさ(笑)でも会話の中身は違ってたわ(笑)」
「そうだったんだね!モア壊して怒られてるのかと思って少し心配しちゃったよ!」
「ん~、まぁそれは大丈夫……かな!」
「え、え~っと……すみません、宜しいでしょうか?」
突如声を掛けられ、振り返るとスチュアートが少し気まずそうに居住まいを正していた。
「あ、ごめん!なに?」
焦りながら振り返るマサキとティナは、スチュアートの気遣いを微笑ましく思った。
「撤収の準備が出来てそろそろ出発しますので、モアの方に御願いします。先頭と殿(しんがり)は我々が受け持ちますのでクラタナさんは牽引してるモアの前で進んで下さい!」
「分かりました。」
「では、また後程。途中、何かあれば無線で連絡して頂ければ対処しますので!」
スチュアートはそうマサキに伝えると撤収の指揮に戻って行った。
「了解、ありがとうございます!」
(あの人も忙しい中でよくやるよなぁ……)
そんな事を考えつつ、久しぶりのヘビーモアSにティナと乗り込み、言われた通りに牽引モアの前に入った。
「ん~……違和感アリアリ……」
「ん?何が?」
軍用モア(サンマル)とは違い、前に座るティナが少しだけ振り返り答えた。
「最近って軍用のモア練習してただろ?しかもさっきまでティナ後ろだったし。」
「うん。」
「操作もさ、キー回せばすぐ魔石が起動するし、足は鐙に置いとくだけだし、何か手順忘れてるんじゃないかと不安になってくる……みたいな?」
操作が少ない事にキョロキョロしながら確認をする。
「あ~、確かにね~」
ティナはティナで、目の前にあるマルチファンクションモニターのモードを変えて数日前の記憶を辿っていた。
「操作が沢山なのが慣れると、ソレが普通になるから、急にやること無くなると不安になるよなぁ……」
マサキはマサキで、手持ち無沙汰なのか手綱コントローラーを握ってプラプラ振ったり引いたりしている。
「でも、楽なのは良い事だから!今は街に帰るだけだしね!」
「だな!」
そんな会話をしていると、前が動き出したのでそれに釣られるように、街に向けてモアをゆっくりと進めた。
帰路は何事も無く穏便にローズの街に着いた。
当たり前と云えば当たり前だ。軍用最新鋭機が6機も護衛に付いて前後左右、先行のパスファインダーまで居て、わざわざそんなヤバそうなのにちょっかいを掛けて来る者は居ない。
もし居たら、国際問題にもなりかねない自体になってしまう。
とは言え、この後、俺のスキル認定の為に各地から要人?(各支部ギルドマスター)が来る予定になってるから街の警護とかも厳しくなるのかな?そんな所を狙って!とか考え過ぎか?www
(そう云えば!お披露目!)
マサキはこの街に来た当初の目的をスッカリ忘れていた。
(元々スキル認定の為に来たのに、来てから色々あって忘れてた!人が集まるにはまだ日が有ると思うけど、凄そうな人が来るってのは理解出来るから緊張するわ……)
悶々と、コレから始まるであろう事を考えながらモアを運転して居たら、そのまま滞在ホテルの駐獣場に入りそうになった。
「ザッ……クラタナさ~ん!そっち違います!」
無線にハッとして方向を変えるマサキ。
「シー……ザッ……すみません!考え事してて!」
「マサキ、どしたの?」
眼で前に座るティナに「ちょっと待って!」と合図を送り
「自分もこのままハンガー行けば良いんですか?」とスチュアートに聞いてみた。
「シー……ザッ……それでお願いします!」
そう返事が帰って来て通信は終了した。
ティナに向き直り「なんかさ、コレからの事を考えたら緊張して来たwww」
「コレからの事って教導隊の指導の事とか?」
「いやいや、それはオマケじゃん?元々ここに来た目的って俺のスキル認定でしょ?その事考えてたらなぁ……」
「あ、そう言えばそっか!(笑)」
ティナも本来の目的を忘れていた。二人してポンコツである。
大所帯で戻ったので一気にハンガー内は騒然とし始めた。
行動不能になったモアを降ろし、直ぐに修理作業に掛かる者や部品を調達する者でごった返している。
マサキとティナはスチュアートに言われた通り、一緒にハンガーに来たは良いが、間違いなく場違いな気がして隅の方にモアを止めて作業の行く末を見ていた。
すると、エイドリアンが走って目の前に来て謝罪を始めた。
「申し訳ありません!」
「え?」
いきなりの事で俺もティナもポカーン状態である。
「え?何でエイドリアンさんが謝ってるんですか?」
「自分の部下がクラタナさんにとんでもない事をしてしまいまして、誠に申し訳ありませんでした!」
とエイドリアンが頭を下げる。
「いや、こっちこそモア壊してしまってすみません……」
と今度はマサキが頭を下げる。
「いえ、それは問題ないですから……」
恐縮しながらまたもやエイドリアンが頭を下げる。
(何このコント……)ティナはそう思って事の成り行きを見ていた。
何回かの謝罪合戦が終わり、今回の事の顛末をエイドリアンに話した。
「なるほど。理解しました。重ね重ね申し訳ないです。」
「いや、さっきも言ったように受けたのは自分ですから!」
「そう言って頂けると助かります。本日の事も実戦訓練指導として上には報告して置くので、モアの事も含めてお気になさらないで下さい!」
「分かりました、自分らはコレからどうすればいいんですか?」
(実はもう帰りたいっす!)
「え~っと、本日の予定は本来ならお昼で終わって居たので、そのままモアに乗ってお帰りになられても結構ですよ!明日は今日の事もありますし、お昼からにしましょうか?」
チラッとティナを見て「それが良い!」って顔をしてたのでそのまま受ける事にした。
モアに乗り込みホテルに戻る時、何故かハンガーの人達や隊員が見送ってくれた(笑)
(君ら……また明日会うじゃん……)
こうして長い一日が漸く終わったのであった。
途中、「お前さん!良くもまぁ次から次へと仕事を増やしてくれるもんだわ!」と声を掛けられた。
声の聴こえる方に顔を向けると、髭モジャのイカついオッサンが如何にもと言うポーズで立っていた。
ここで言う如何にもとは、両手を腰に手を当て、ドヤ顔でふんぞり返る感じだ。
「ワシは第二教導隊ハンガーを仕切っているフランクじゃ!例のヘビーモアの持ち主はお前さんじゃな?」
「え、ええ。あ、修理して頂いたそうで、ありがとうございます。」(な、なんかおっかなそうだぞ……汗)
「あ~、堅苦しいのは無しじゃ、お前さん名前は?」
コチラのお礼も遮られ、矢継ぎ早に質問された。
(この人短気なんかな?職人系だろうな……)
「あ、クラタナと言います。」
(こういうの、俺……苦手……)
「ふむ……またモアの事で困った事があれば言って来い!」
ニヤッと笑いながらバンバンとマサキの肩を叩いた。
「あ、はぁ……ありがとうございます!」
(あれ?仕事増やしてとか言われたから、てっきり文句言われるもんだと思ってたけど……てか肩痛い……)
「だから、堅苦しいのは無しじゃ!ワシらはな、整備したり修理するのが仕事なんじゃ。だからモアを見れば大体の事は解る。アンタに30(サンマル)は力不足だったようじゃの。余剰機体が無かったとは云え、やりづらかったじゃろ?次からはお前さんの力が発揮出来る様な機体を用意しておくでな。」
「い、いや……壊してしまって申し訳ないです。」
威勢の良いオッサンと言う印象だっただけに、逆に謝られて肩透かしを喰らったマサキはそんな事しか言えなかった。
「訓練で壊れたのはある意味ワシらの責任じゃから気にするな。有事の戦闘でも普通はこうはならんからな……訓練でこんな風になるとか、一体どんな動かし方したのやら……また忙しくなりそうじゃの!」
そう言うとフランクは何処と無く嬉しそうに、豪快に笑いながら去って行った。
(ふぅ…… わ、悪い人じゃ無さそうだな……けど、色々強引なのはやっぱ苦手かも……)等と思っていたら「終わった?」とティナに声を掛けられた。
「あ、ああ。済まない、もう終わったよ。」
「なんか怖そうな人だったから遠くから見てた!」
ティナはてへっっと舌を出して笑いながら話している。
「まぁ、俺も最初ビビって話てたんだけど、どうやら違うみたいだった。なんつーか、職人さん?なんだろうな。」
「ふ~ん……怖くは無いんだね!傍から見てたら怒られてるみたいだったから(笑)」と心配そうな顔で見詰めてくるティナ。
「最初は俺もそうかと思っててさ(笑)でも会話の中身は違ってたわ(笑)」
「そうだったんだね!モア壊して怒られてるのかと思って少し心配しちゃったよ!」
「ん~、まぁそれは大丈夫……かな!」
「え、え~っと……すみません、宜しいでしょうか?」
突如声を掛けられ、振り返るとスチュアートが少し気まずそうに居住まいを正していた。
「あ、ごめん!なに?」
焦りながら振り返るマサキとティナは、スチュアートの気遣いを微笑ましく思った。
「撤収の準備が出来てそろそろ出発しますので、モアの方に御願いします。先頭と殿(しんがり)は我々が受け持ちますのでクラタナさんは牽引してるモアの前で進んで下さい!」
「分かりました。」
「では、また後程。途中、何かあれば無線で連絡して頂ければ対処しますので!」
スチュアートはそうマサキに伝えると撤収の指揮に戻って行った。
「了解、ありがとうございます!」
(あの人も忙しい中でよくやるよなぁ……)
そんな事を考えつつ、久しぶりのヘビーモアSにティナと乗り込み、言われた通りに牽引モアの前に入った。
「ん~……違和感アリアリ……」
「ん?何が?」
軍用モア(サンマル)とは違い、前に座るティナが少しだけ振り返り答えた。
「最近って軍用のモア練習してただろ?しかもさっきまでティナ後ろだったし。」
「うん。」
「操作もさ、キー回せばすぐ魔石が起動するし、足は鐙に置いとくだけだし、何か手順忘れてるんじゃないかと不安になってくる……みたいな?」
操作が少ない事にキョロキョロしながら確認をする。
「あ~、確かにね~」
ティナはティナで、目の前にあるマルチファンクションモニターのモードを変えて数日前の記憶を辿っていた。
「操作が沢山なのが慣れると、ソレが普通になるから、急にやること無くなると不安になるよなぁ……」
マサキはマサキで、手持ち無沙汰なのか手綱コントローラーを握ってプラプラ振ったり引いたりしている。
「でも、楽なのは良い事だから!今は街に帰るだけだしね!」
「だな!」
そんな会話をしていると、前が動き出したのでそれに釣られるように、街に向けてモアをゆっくりと進めた。
帰路は何事も無く穏便にローズの街に着いた。
当たり前と云えば当たり前だ。軍用最新鋭機が6機も護衛に付いて前後左右、先行のパスファインダーまで居て、わざわざそんなヤバそうなのにちょっかいを掛けて来る者は居ない。
もし居たら、国際問題にもなりかねない自体になってしまう。
とは言え、この後、俺のスキル認定の為に各地から要人?(各支部ギルドマスター)が来る予定になってるから街の警護とかも厳しくなるのかな?そんな所を狙って!とか考え過ぎか?www
(そう云えば!お披露目!)
マサキはこの街に来た当初の目的をスッカリ忘れていた。
(元々スキル認定の為に来たのに、来てから色々あって忘れてた!人が集まるにはまだ日が有ると思うけど、凄そうな人が来るってのは理解出来るから緊張するわ……)
悶々と、コレから始まるであろう事を考えながらモアを運転して居たら、そのまま滞在ホテルの駐獣場に入りそうになった。
「ザッ……クラタナさ~ん!そっち違います!」
無線にハッとして方向を変えるマサキ。
「シー……ザッ……すみません!考え事してて!」
「マサキ、どしたの?」
眼で前に座るティナに「ちょっと待って!」と合図を送り
「自分もこのままハンガー行けば良いんですか?」とスチュアートに聞いてみた。
「シー……ザッ……それでお願いします!」
そう返事が帰って来て通信は終了した。
ティナに向き直り「なんかさ、コレからの事を考えたら緊張して来たwww」
「コレからの事って教導隊の指導の事とか?」
「いやいや、それはオマケじゃん?元々ここに来た目的って俺のスキル認定でしょ?その事考えてたらなぁ……」
「あ、そう言えばそっか!(笑)」
ティナも本来の目的を忘れていた。二人してポンコツである。
大所帯で戻ったので一気にハンガー内は騒然とし始めた。
行動不能になったモアを降ろし、直ぐに修理作業に掛かる者や部品を調達する者でごった返している。
マサキとティナはスチュアートに言われた通り、一緒にハンガーに来たは良いが、間違いなく場違いな気がして隅の方にモアを止めて作業の行く末を見ていた。
すると、エイドリアンが走って目の前に来て謝罪を始めた。
「申し訳ありません!」
「え?」
いきなりの事で俺もティナもポカーン状態である。
「え?何でエイドリアンさんが謝ってるんですか?」
「自分の部下がクラタナさんにとんでもない事をしてしまいまして、誠に申し訳ありませんでした!」
とエイドリアンが頭を下げる。
「いや、こっちこそモア壊してしまってすみません……」
と今度はマサキが頭を下げる。
「いえ、それは問題ないですから……」
恐縮しながらまたもやエイドリアンが頭を下げる。
(何このコント……)ティナはそう思って事の成り行きを見ていた。
何回かの謝罪合戦が終わり、今回の事の顛末をエイドリアンに話した。
「なるほど。理解しました。重ね重ね申し訳ないです。」
「いや、さっきも言ったように受けたのは自分ですから!」
「そう言って頂けると助かります。本日の事も実戦訓練指導として上には報告して置くので、モアの事も含めてお気になさらないで下さい!」
「分かりました、自分らはコレからどうすればいいんですか?」
(実はもう帰りたいっす!)
「え~っと、本日の予定は本来ならお昼で終わって居たので、そのままモアに乗ってお帰りになられても結構ですよ!明日は今日の事もありますし、お昼からにしましょうか?」
チラッとティナを見て「それが良い!」って顔をしてたのでそのまま受ける事にした。
モアに乗り込みホテルに戻る時、何故かハンガーの人達や隊員が見送ってくれた(笑)
(君ら……また明日会うじゃん……)
こうして長い一日が漸く終わったのであった。
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