前世の記憶そのままのオッサンが転生したら

ぬっこさん。

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朝の出来事

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 相当疲れて居たんだろうか?昨晩はホテルに戻って夕飯を食べた後の記憶が無い。
 チュンチュンと雀の鳴く声で、睡眠からの意識が戻り
昨晩の記憶を辿るが全く思い出せないでいた。

(痴呆かよ!)

 自嘲気味に脳内で笑ってからゆっくりと目を開けると、カーテンの隙間から薄く光が差し込んでいた。

 (朝だな。)

 ティナはまだ寝てる様なので、起こさない様にそっと起き上がり窓辺まで行ってタバコに火をつけた。
 早朝のひんやりとした空気に乳白色の煙が混ざり合い、香りだけ残して視界から消えて行く。

「ふぅ~……」と大きく煙を吐き出した所で背後から声が聴こえた。

「おはよう、今日は早いのね……」

「おはよ、起こしちゃったか?」
そう言いながら火を消し振り返った。

 「ん~ん、大丈夫、そろそろ起きないと行けない時間だし。」
 そうは言っているがまだまだ眠たい様子。

 「別に今日は昼からだから寝てても良いぞ!朝飯は食べれなくなるけど(笑)」

 「それは嫌!起きる!」
 と言って両脚を上げてその反動を使ってティナは飛び起きた。

 「朝から元気だなぁ……(白目)」

 「まあね!(ドヤ顔)」

(ん~……オッサンは昨日のモアの操縦で身体ガタガタですわ……)

 「ご飯行こっ!40秒で支度してっ!」

 「サーイエッサー……」
 
 「声が小さぁ~い!」

 「いや、貴方が大きいんですってば。起きて直ぐにこのテンション……温度差笑うわ……つか、アンタが40秒じゃ無理だろ!」

 「えへへぇ~!ですよねぇ~!」

 ティナは朝から絶好調、俺は朝から絶不調。
(うん。いつも通り。とは言え、アルフレッドさんと暮らしてた頃から、朝何もしないでマトモな食事に有りつけるなんて事は無かったんだろうなぁ……少しはこっちに来て骨休めになってれば良いんだけど……)

 「ティナ!」

 「ん?なに? 」
鏡台の鏡越しに髪を梳きながら答えるティナ。

 「あのさ、こっち来て骨休めになってるか?」

 「ん~……まぁ、朝昼晩食事の支度しなくて良いし、水汲みも無いし、楽っちゃ楽だよね!なんで?」

 「いや、何となくだわ。ティナはあの時、俺と会ったばっかりに色々と巻き込まれてこんな事になってるだろ?だから、少しでも今回の旅がティナにとって楽って言うか、気分転換にでもなれば良いって思ってな……」
 感覚で思った事を言葉にするのは難しいので、恩着せがましくならない様、慎重に言葉を選んでマサキは話した。

 「そんな事をマサキは考えてたの?(笑)何を今更っ!(笑)元々の生活も別に辛い事なんか無いし、コッチはこっちで楽しいから全然気にしなくても良いのに!」
 ティナはそう言い終わると、髪を梳くのを止めていた手を動かし始めた。

 「まあ、そう言って貰えると助かるよ。」


  ティナの支度が終わり1階のビュッフェに向かう。
 ローズの街に来てからほぼ毎日来て居るのでロビーに居るコンシュルジュやボーイさんを始め、ビュッフェの厨房の人とも顔馴染みになった。なので顔を合わせると自然と皆挨拶をくれるようになった。
 勿論仕事と言う意味では無い。
 (ん~……なんつーか、顔パスっすなぁ……)

 モグモグとバターのたっぷり入ったクロワッサンを口に入れて朝の至福の時を過ごす。(笑)

 「さっきも言ったけど、今日は昼からじゃん?それ迄どうする?」

 「んー……」
 と言いながら、相変わらず両手でクロワッサンを持って少しづつモグモグしているティナ。

 「マサキは何かしたい事とか行きたい所とかあるの?」
 (質問を質問で返しやがった……)

 「特には……強いて言うなら……」

 「言うなら?」

 「ちょっと休みたい(笑)てか、昨日弾使い果たしちゃったから弾を創ったりとか、まぁ、そんなとこかな。」
 そう言ってコーヒーを啜る。

 「そっかぁ……私はちょっと本屋とか行って見たかったんだけど……てか、どうしても今日行きたいって訳じゃ無いんだけどね!」

 「本屋か……考えもしなかった……つーか、未だコッチの文字解らんからなぁ(笑)なら食べ終わってちょっと行ってみるか?場所はコンシュルジュに聞けばわかるだろ?」

 「え?良いの?弾造らなくても……」

 「うん。昨日使ったのはM500用だからそれの予備創ろうと思ったんだけど、街中なら、ちっさい方があれば大丈夫だろ?どっちにしろ魔石がもう無いからスライムバースト弾は創れないし。」
と腰を指さした。

 「まぁ、街中ならよっぽどの事が無ければね!てか、魔石が必要なら本屋のついでに買いに行けば良いんじゃない?まぁ、仮に武器が無くてもマサキ、魔法、もう使えるでしょ?」
 ティナは本日、紅茶の日らしい。テーブルの上に置いてある、白地に青の花柄が描いてある磁器の茶葉坪からスプーンで掬ってティーサーバーに入れた。

 「使えるって言ってもなぁ……まだ不完全と言うか……使えると言えるのかな?実際、咄嗟の時に出来るか不安なんだわ……それに威力とかの調節?も出来ないし……第一、街中であの時の威力そのまま使っちゃ流石に駄目だろ?」
(クンクン……オレンジペコか。ならミルクティーかな?)

 「あ~……確かにね……じゃぁさ、今度暇があったら魔法の練習しに行こっか?」
シレッとティナはそんな事を言い出した。

 「マジで?!」
 自分的には魔法を覚えれた方が良いし、一人で練習するよりはずっと良いんだけど、俺得ばっかでティナには何のメリットも無いんだが……何を考えてるんだろう?

 無意識で近くにあったミルク壺を渡した。

「なら、次の休みとかにする?あ、天気とかにもよるけどね!流石に雨の日にわざわざ出掛ける程酔狂じゃないから。(笑)あ、ありがと……!」

 「うん。あ、いや、有り難いし練習に付き合って貰えるのは嬉しいんだけど、なんか俺得ばっかでティナのメリットが見当たらないよ……」
と、変に考えても仕方ないのでそのまま思った事を言ってみた。

 そうすると「メリット?ん~……何か知らない土地で魔法の練習とか一緒にすると如何にも「旅」してるって感じしない?それに、折角遠くまで来て別行動取っちゃってさ、帰った時に思い出がバラバラなのって寂しいでしょ?」

 「……っ!確かに……てか、貴方……突然なんて事言い出すんだ!この娘はっ!」
(今のはヤヴァイ……今のはヤヴァイ……そんなん普通に言えるのとか尊敬するわっ!つーか萌えキャラ過ぎるだろっ!そんなん言われた方が恥ずかしいわっ!)
 顔に血液が集中して熱くなるのが解る。

 「ちょっ!マサキ顔真っ赤にして、私が恥ずかしくなるでしょっ!?ってか、マサキも普通にすごい事やってんだからねっ!」
と言うと、ティナも白かった頬が、まるで桃のように見る見る染まっていった。

「え?何か俺やったか?俺のせい?……なんつーか、俺もそんな事を言われた事無いし、慣れてないから戸惑うんだわ……」
マサキはいきなりの事で挙動不審になり、コーヒーを飲もうとしたが既に空で、またそれでテンパり、置いてあった水をゴクゴクと飲み干した。

「なんで、私がミルクティーにしようと思ったの解ったのよっ……」

 


 あの後、一旦部屋に戻り、外出の身支度をした。
身支度と言っても俺はマントを羽織ってM360とタバコを持ってくだけだ。財布はいつも通りティナに任せてある。前の硬竹クエストで得た収入は全部渡してしまった。と言うか、分け前どうのこうのの前に同じギルド口座にしたので良く分からないってのがホントの所だった。特には俺はタバコ以外買う物ないし……
 で、何故俺がこうしてどうでもいい事をツラツラと話しているかと言うと、ティナが先日、アグレッサー隊員に選んで貰った服を着ると言い出したからである。
 「たかが本屋行くのにオシャレするか?」とも思ったが、言うと火種になりそうなので言わずに黙っておいた。俺グッジョブ!
 最初は部屋の直ぐ外で待って居たのだが、怪しまれるので一階のロビーでセコセコM500用の弾を創っている。お陰で捗る捗る!(笑)着替えるからって五分~十分の物かと思っていたら、既に三十分は過ぎている。まぁ、俺的には弾を創るって目的が達成出来そうなのでどうでも良いんだが、このままだと本屋行ってる時間無くなるのでは無いかと、そっちの方が気が気で無かった。
 (流石にちょっと様子見てくるか……無心で黙々と創ってたら五十発程出来てしまった……マントの内ポケットに入れとくか……後はポケットにしまって……と、入り切らん……汗……どうしよう、作り過ぎた……)

「す、すみませ~ん……」

 泣く泣くロビーの人に適当な袋を借りて部屋まで戻って来た。
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