118 / 127
第118話 モア700NX-B型試験
しおりを挟むローズに在る、ギルド本部裏手のハンガーの大扉は演習場側へ向かって全開にされており、少し離れた所からマサキとティナがそちらに視線をやると、牽引モアが新型モアを載せている台車を引っ張りながら、ゆっくりと移動している最中であった。
「700NX-B型」と呼称されている新型モアが完全に外へ運び出されると、晴れ渡った太陽の光に照らされ、淡い水色のグラデーションがかっている白銀の翼が、ハンガー内の照明に照らされていた頃より、より一層輝きを増して己の存在感を強調していたのである。
「おお!」
「わぁ!綺麗!」
マサキとティナは、太陽の光を浴びて輝いている、余りにも神々しいその姿に、思わす感嘆の息を漏らしたのであった。
「固定ワイヤー解除!機体チェックを済ませてゆっくり降ろせ~!」
フランクの、怒号とも捉えられる命令が辺りに響き渡り、その指示に慌ただしく右往左往する作業員達が、終始一部始終を眺めていたマサキには、まるで「働き蟻」の様だと感じたのであった。
(なんつーか……「社畜?」だよね。)
そして、視線を動かしたその先に、マサキ達と同様に新型モアの運搬作業を眺めているアリスの姿が、ポツンと立っていたのだった。
(あの娘はあんな所で何してんだ?今日のシフトってアリスは非番なのか……)
その姿を見付けたマサキとティナは、何となくそちらへ移動して、声を掛けたのであった。
「アリスん!こんにちは!」
「珍しいな、見に来たのか?」
言わずもがな、ティナが先に挨拶をして、マサキが後から質問をしたのである。
(てか[アリスん]って何よ?wwwそんなアダ名を付ける程、ティナってアリスと仲良かったっけ?)
アリスは、眺めていた新型モアの運搬作業から視線を外し、此方に向けて、無表情でコクリと頷いただけであった。
(それだけ?リアクション薄っ!)
ティナは、アリスのその対応に特に何も感じて無いらしく、ニュートラルな表情のまま新型モアの方へ視線を移したのだった。
「ちょっ、ティナ。アリスってリアクション薄過ぎない?」
と、マサキは本人には聴こえないボリュームで聞いて見たのだが、ティナはあっけらかんと
「え?いつもアリスんってあんな感じじゃない?」と飄々としていたのだった。
台車から降ろされた新型モアは、早速タラップが設置され、魔力補充用のホースや魔石起動車等も接続しており、如何にも「起動試験」的な雰囲気を醸し出して居たのである。
「お前さん方は、そこから乗って、早々にモアの起動準備に入っとくれ!」
と、他の作業員に指示を出していたフランクは、作業を眺めていた二人に突然向き直りタラップを指差してそう言い放ったのであった。
そそくさとマサキとティナがタラップに駆け上がる際に、アリスが一言だけ、二人に聴こえるか聴こえないかのボリュームで「気をつけて……」と人間らしい言葉を掛けたのである。
(気を付けろって何によ?そりゃ色々な意味で気を付けるつもりで居るけど……シャーロットも最初は性格が掴めなかったんだよなぁ……アリスはアリスで無表情なせいもあって、全く意図が掴めん!でも、取り敢えず今は有り難くその言葉を頂いておくとしよう。)
そして二人は、思いがけない人の見送りを背に、まだ素材の香りの取れていない、真新しいコックピットに乗り込んだのであった。
因みに、乗り込む格好は二人共、近衛兵隊本部から支給された、いつも通りの格好であるのだが、今回からモアにキャノピーが装備された為に、居住性の問題から、幾分行動が制限される様になったので、いつもマサキが装備している全長の長いM500とマチェットは持って来なかったのである。
いや、正確には「装備して乗れ無かった」のであった。
(居住性については改良の余地アリだよな……でも、良く良く考えたら、前世でも戦闘機パイロットが、サブマシンガン並の大きさの銃とか持って操縦しないよなwwwまぁ、他に沢山装備して乗り込むんだけど……メットとか……)
当然、他のモアと同様にこの新型モアにも「シートベルト」や「ヘルメット」等の装備品は無く、至って普段通りであり特別な事は一切無かったのであった。
モアに乗るに当たって、前世の常識から考えれば、頭部を守る「ヘルメット」や身体を固定する「シートベルト」が有って当然と思うのだが、そこは流石「魔法の存在する世界」であり、防御は攻撃方法が物理的でも魔術的でも魔法で賄うのがこの世界の常識であった。
それは「攻撃」に限った事では無く防御全般に言える事でもあった。
「分かっとると思うが、今日の所は活動試験だけじゃから、火器管制システムと兵装関係の操作をしても、何もならんから気を付けるんじゃよ!
後、追加装備のパック類は見ての通り、装備しとらんからの!
モアの基本性能だけでやって来い! 」
「了解しました。他は何か有りますか?」
(ブリーフィングって、こんなギリギリでやるもんなのか?今日やる試験の予定と云うか、段取りが全く解らん!)
「今の所は特には無いが、試験の進捗具合を見てから、また此方から指示を出すんで注意して聞いといとくれ!
それから、直ぐに作業員を退かすから、合図があったら起動準備を進めて構わんぞ!頼むな!」
フランクはバンバンと大きくマサキの肩を叩いて伝えると、耳に手をやり「レシーバーを付けろ」のジェスチャーをしてタラップを急いで降りて行ったのであった。
フランクが地面に着くと直ぐ様タラップが外され、蜘蛛の子を散らす様に作業員達が起動機器を外してモアから離れて行った。
マサキとティナは、その様子を見ながら、キャノピーを閉じ、レシーバーを耳に付けて感度の確認作業に入ったのである。
「ザッ……聴こえとるか?」
「ザッ……はい…」
「ザザッ……後ろの嬢ちゃんはどうじゃ?」
「ザッ……大丈夫です。」
「ザザッ……あ~、試験運転中に「お前さん」とは言えんからの、これから一応お前さんののコードネームはアルタイル1と呼称するでの、覚えておけよ!
それと、作業員は退かしたから直ぐに起動準備にはいっとくれ!」
「ザッ……アルタイル1了解。[シー……ザザッ……ティナ、行けるか?]」
(アルタイルだってwww全然俺に似つかわしく無いコードネームだわ。(笑)だったら、もしティナにコードネームを付けるのであれば、デネブかベガがお似合いだな。(笑)
マサキはフランクに返答をしつつ、パチパチとMFS(magic fuel starter)のスイッチを倒し、APU(補助動力装置)を起動したのであった。
チキチキキキキー……キュイーン……
するとモアに内蔵されている魔石が起動して、魔力伝達音が機体を伝って響き出す。
「「ザッ……大丈夫。何時でもどうぞ。」」
シュイィィィーン:!シュゴゴゴゴ……ゴゴゴゴ
「ザザッ……了解。さっきフランクさんも言ってたけど、今日はFCC(火器管制システム)も、SMS(兵装管理システム)も使わないからチェックリストに入れなくても良いよ!」
マサキはティナにそう応えながら、APUを切り替えもう一つの魔石を起動させて魔力放出温度のチェックをする。
「ザッ……了解!なら私は乗ってるだけで良いのね?」
「シ……ザッ……多分そんな感じだろ?よく分からんけど……試験内容の説明が殆ど無いんだけど大丈夫なのかな?」
ティナとそんなやり取りをしていると、管制から通信が入ったのだった。
「ローズギルドコントロールよりアルタイル1へ、タキシングA1通過後A12まで、R09で待機、発進許可後120㌩でウェイポイントFL085まで0.5海里。復唱せよ。」
「ザッ…。ローズコントロール、アルタイルワン.タキシング、エーワンフォアエートゥウェルブ、アールゼロナイナーホールド。ポイント、エフエルゼロエイトファイブ、ワントゥーゼロノッツ、ゼロファイブ、オーバー」
マサキは、スチュワートさんの報告書を手伝うついでに此処での、形式的な事を教わっていたので、一応はそれっぽくできるようにはなって居たのである。
そしてこの世界でも、何故か前世の「国際単位系」が有効であり、速度はknot(ノット)で、距離は海里、若しくはマイルで表されて居たのであった。
120㌩はキロに換算すると時速222km/hであり、0.5海里とは0.926kmであり、それをマイルに直すと0.575である為、マイルでも海里でも余り変わりが無いのであった。
結果論だが、全長1.5kmの演習場では、この新型モアにとって少々手狭であったのである。
「ザッザザ……ローズギルドコントロール、アルタイルワン、リードバックイズコレクト、コンタクト、グラウンドワントゥーセブンディスポイントゼロ。」
マサキは管制の返答を聴きながら、二つの動力系魔石の起動を確認し、補助動力装置をオフにして、魔力放出の最適温度まで上がった所でスロットルをアイドル位置に固定したのであった。
それに伴い、魔石の「魔力消費音」が一層増して、辺りは轟音に包まれたのだった。
「ザザッ……ローズコントロール、ワントゥーセブンディスポイントゼロ、アルタイルワン。」
キュイーイイイイイイイーン!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
作業員が「脚止め」を外し、それを知らせるハンドサインがマサキの方へと送られる。
その合図を確認してからスロットルをハーフまで上げ、ギアブレーキスイッチを外すと更に一層、魔石から発せられる金属音の爆音を轟かせて新型モアはゆっくりとタキシングを始めたのであった。
ギィィィィィィィィィーン!
マサキは、チラッと小さく見えるアリスの方へ視線をやると手を降っていたのである。
「ザッ……おい!ティナ!アリスが無表情で手を振ってるぞ!(笑)」
少し……いや、かなり驚きながらマサキはティナに通信で伝えると
「ザザッ……だって、私が手を振ったんだもの。」
との答えが返ってきたのであった。
(ですよね……アリスが自主的に此方に向かって手を振る何て有り得んわwwwまぁ、無表情で手を振るとか、アリスらしいと言えばらしいけど。個性的だよね。)
そんな事を思いながらも、A12迄のタキシングを終え、地面が露出して整地してあるだだっ広いR09の前まで進み、スロットルをアイドルに戻しブレーキをして待機したのであった。
「ザッ………ローズギルドコントロール、ワシじゃ、取り敢えずウェイポイント迄走ってからグルっと回って帰って来い!此方でもモアのモニターをしとるから異常が有れば直ぐ伝えるでの!」
「ザザッ……アルタイルワン、ラジャー。」
「ローズギルドコントロール、アルタイルワン発進許可。」
マサキは、コントロールから発進許可を受けて、そちらへ向けて敬礼しスロットルをアイドルからミリタリーパワーに一気に上げて、最大出力でブレーキを外したのであった。
(今、俺の中でトップ〇ンのDanger zoneが脳内再生されてる!デデデテーンデン、ズジャッツッチャーッチャーデデデテーンデン!)
「ザッ……ティナさんや、身体強化忘れんなよ!」
モアに内蔵されている魔石の出力が最大になった事で、轟音の質が金属音から空気を切り裂く様な爆音に切り替わったのであった。
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ギィィィィィィィィィィィィィ-ン!!
「ザッ……解ってるって!マサキじゃあるまいし忘れる訳無いでしょ?www」
(あれ?何、いま俺、ティナに何気にディスられてね?www)
そう思ったのも束の間で、直後シートに身体を押さえ付けられて舌を噛みそうな強烈なGに襲われたのであった。
(うおっ!危なっ!カタパルト射出とかでも、パイロットってどっか捕まってるもんな……今のはマジヤバかった……)
マサキにとっては、今迄の……と言ってもギガントモア、ヘビーモアSS、軍用練習モア、300系モアと4機種しか乗った事は無いのだが、それのどれよりも強烈な加速度であった。
「ほう……あれが新型かの?」
金属音の混じる爆音を立てながら走り去って行くモアを、独りの老人が見送って居た。
珍しく現場に姿を表したその声の主は、各国のギルドを統括するギルド総本部長であるフィリングであった。
普段は滅多に外へ出ること無く、執務室に引き籠もり(笑)の総本部長の突然の現場来訪に、作業員達は恐縮して縮こまって居たのだが、フランクだけはそんな事お構い無しにフィリングに返答したのだった。
「おお!誰かと思えばフィリング本部長か!
自画自賛なんじゃが、今回のは中々いい具合に仕上がっとるでの!
楽しみに見とってくれや!」
新型モアの動向から視線を外して、フランクはそう言ったのである。
フランクは誰にでもフランクなのである。
フランクなだけに。
いや、駄洒落では無く。
フィリングとフランクの年齢差は十歳程違うのだが、フィリングが現役時代からの付き合いであり、恐縮しないフランクのフランクな態度も特に気にしてないのであった。
「何やら、今回のモアは今迄のモアとは基本概念を変えとると報告を受けとるが……にしては、あの坊主、初っ端から飛ばしおるわい!」
御歳七十を超える爺さんからして見れば、「オッサン」のマサキも坊主扱いである。(笑)
「全く現役時代のお前さんを見とるようじゃの!わはは!」
ただでさえ強面のフランクが、イタズラな笑みを浮かべてそう言ったので、更に怖さが強調されていたのであるが、それをフランク本人に伝える術は、フィリングさえも持って居なかったのであった。(笑)
「ほ、ほう?そこまでなのか?」
「観とれば解るて!」
とフランクは、猛ダッシュしているマサキ達が乗った新型モアに視線を向けて言った。
「まぁ、そうでなければ、今回の認定式も意味あるまいて(笑)」
「じゃの!」
「ザッ……マサキ!ウェイポイントFL085まで後0.25海里!速度落として!」
マサキは突然ティナからの通信に若干驚きつつ、慌ててスロットルをミリタリーからハーフまで戻してティナに返信したのである。
「ザッ……り、了解……」
勢い勇んで発進した物の、予想を遥かに上回る余りの加速力に、脳内での視界の情報処理が追い付かず、速度を落とす事を忘れて居たマサキであった。
「ザッ……ローズギルドコントロール、アルタイルワン、ウェイポイントFL085通過後、全開運転でFR065へ向かえ。距離1.0海里!」
「ザザッ……ローズコントロール、アルタイルワン、ポイントエフアール、ゼロシックスファイブ、ラジャー。」
(速度落としたら比較的視界が慣れてきた。けど、今から全開運転だろ?俺に制御出来るのかな?)
「ザッ……マサキ!最初のウェイポイント通過したよ!舵右に切って!」
「ザザッ……了解!」
マサキはそう返信すると、最早、手綱コントローラーとは言えない右手側に設置されている「操縦桿」を右に倒して、左に引っ張られる感覚を感じつつ、左側にあるスロットルをミリタリーパワーまで上げたのであった。
「うぐごごごご……お、重い……身体強化してこれかよ!これ、シートベルト要るだろ!」
「そろそろ全開運転を始めた様じゃの?」
そう言って、薄紫色に魔力煙の尾を引く新型モアを、フィリングは目を細めて観ていたのであった。
「ザッザザ……ローズコントロール、アルタイルワン、ワシじゃ!全開運転を開始したら好きに動かして構わんぞ!常にモニタリングしとるから安心しろ!」
「ザザッ……ローズコントロール、アルタイルワン、ラジャー。」
(好きに動かしてって……眼、眼が!眼が追い付かん!取り敢えず跳ぶか。なんと言うか、速度に対して行動範囲狭すぎだろ?!)
マサキはそう思うや否や、操縦桿を引き、両足のペダルを踏み込んで軽くジャンプした……つもりであったが予想外にモアは高く跳び、演習場外に出そうになったので、咄嗟に二段ジャンプで方向転換をして旋回を始めたのだった。
(ヤバっ!)
スロットルをミリタリーに上げて強烈な横Gに耐えながら、どうにか演習場外に出ずに事なきを得たのであった。
「なんだ?あの軌道は?」
フィリングからは、マサキ達のモアは豆粒程にしか見えない距離であったのだが、モアが空中で方向転換した軌道は見逃さなかったのである。
「今のが、お前さんが坊主言うてる新スキルよ!」
「まさかのぅ……あんな事が出来るのとは……本当にモアが飛んどるの……」
何度も言う様だが、マサキ達の操るモアは「飛んで」る訳では無いのである。
前世で観たアニメに登場する二段ジャンプの応用であり、ジャンプした後にもう一度ジャンプするので「飛んで」る様に見えるだけである。
要は「跳んで」「滑空」して居るだけでなのであったが、この世界では「モアは飛ばない」という概念が定着しており、誰もこの方法を試そうとはしなかったのであった。
「ザッ……ティナ、ちょっと運転荒くなるけど我慢してくれよ!」
「ザザッ……了解。あんま無茶しないでよっ!」
「ザッ……ぜ、善処します……」
「ザッ……それって、最初からする気が無い常套句でしょ!」
「ザザッ……まぁ…うん。ごめんねwww」
「ザッ……仕方ないなぁ……もう。」
こんなやり取りの後、どうのこうの言っても、ティナは許してくれる良い娘だなぁと再確認をしたマサキであった。
ティナのその言葉を聴き、安心して模擬戦の時の軌道の再現をしようと思い、操縦桿を押し出してミリタリーパワーのまま、無理矢理モアを急降下させたのである。
キヒィイイイイイイイーン!!
ヒュオオオォォォォォォォォォォォォォーン!!
「ザザッ……きゃ~!ちょっ、マサキ!マサキってば!」
マサキはティナの悲鳴をレシーバーで聴き「以前は俺もそうだったよな……」と一瞬だけ昔を懐かしく思ったのである。
前世でも、遊園地等にある絶叫マシンは苦手であったのだが、とある時に「一番前に乗らないから怖いんじゃないの?」と指摘されて試しに先頭車へ乗ったら苦手を克服したと云う話しを思い出したのであった。
要は次に来る動きが解れば怖くは無いのである。
「ザザッ……一旦降りてまた上がるぞ!」
「ザッ……了解。落とさないでよね!」
(この角度だとただの墜落になる罠……直前で引き戻しとスロットルをリバーサーに入れれば何とかなるかな?)
この新型モア、速度や座標等を表示できるMFD(マルチファンクションディスプレイ)を装備しているのだが、高度計は付いて居ないのである。(笑)
勿論「モアが飛ぶ」事を前提に造られていないからであった。
(高度計無いと目視着陸って感じになるんだよな。見えてるから良いけど見えない場合はやっぱ高度計は欲しいよなぁ……)
みるみる近付いて来る地表を、マサキは勘で高度を測り、百フィート辺りになった所でスロットルをリバーサーに入れて速度を六十㌩以下に落とし、地表寸前で引き起こしてから一気に百フィート迄再ジャンプしたのである。
速度が半分になった所で軟着陸とは行かず、かなりの衝撃があったのだが、この新型モアは脚部をそれ用に強化していた為、通常のモアより酷使した使い方をしても、全くものともし無かったのであった。
(これは、凄いな……あんな雑に着地しても今迄のモアと比べ物に成らない位に安定しているわ……)
「あの坊主……モアをあんな風に使いおって……イカレとるわい!頭おかしいんじゃ無いのか?」
「じゃよな。ワシもそう思うて。彼奴に300系を再生不可能までに潰されたからの、それを踏まえて脚部を強化したんじゃが、正解だったようじゃの。」
「ザッ……ティナ、次は着地と同時に信地回転でバックに跳ぶの試してみるから気を付けて!」
「ザッ……了解。動き言ってくれると助かるよ!」
「ザザッ……さっき気付いた。(笑)加速して着地するから次はさっきよりも衝撃が強いかも!」
マサキは、ティナにレシーバーでそう伝えながら操縦桿を左に倒してスロットルを上げ左足のペダルを踏むと、モアは羽根を広げたまま軽快に左に傾いて加速しながら地表に向かったのであった。
(動きが軽いな……)
そんな事を思っていると、あっという間に地表が近付き慣性の法則に従って着地と同時に強い衝撃が機体に伝わる。
その瞬間に操縦桿を押し出したまま左側のペダルを踏み込んでスロットルをリバーサーに入れると、モアは着地した状態でフィギュアスケートの様にクルっと方向転換をして後ろ向きにジャンプしたのであった。
「なんと!なんじゃ?アレは?頭おかしいレベルを超えとるぞ!」
フィリングも、マサキのモアスキルがかなりの物だと、この時悟った様で驚きを隠せなかった。
「ああ……ワシも今日初めて彼奴の動かし方を観たんじゃが、これ程とは……300系がお釈迦になって当然だワイ……」
フランクもある程度は予想してたとは言え、予想以上のモアを酷使した使い方だったので少々不安気にモニターを見詰めていたのだあった。
「ジリリリリリリリリリリリリリリリ!!」
「!」
その時ハンガー内のベルが鳴り響いた。
「降ろした方がいい……」
いつの間にかアリスがフィリングやフランクの傍に来ており、ボソッっと呟いたのである。
整備員達は、一斉にアラート待機中のモアへ駆け寄り安全装置を外し機体チェックを始めたと同時にシャーロットとアリシアがモアに乗り込んだ。
その二人はいつもの穏やかな表情からは一変し緊張した面持ちで作業員から説明を受けている。
「ザザッ……ローズコントロール、アルタイルワン、試験中止!グリッド1.0ウェイポイントEL205で待機!繰り返す、アルタイルワン、試験中止、グリッド1.0、ウェイポイントEL205で待機!!」
「ザザッ……ローズコントロール。アルタイルワン、グリッドワンゼロ、ポイントイーエルトゥーゼロファイブホールド。何があった?」
試験終了ではなく試験中止と聞き只事では無いと、素で聞き返したマサキである。
「ザッ……ローズコントロール、ワシじゃ、ホットスクランブルじゃ、お主は予定ポイントで待機、分かったの!」
マサキは、旋回中のモアをハーフスロットルにして、待機ポイントへ向かう途中、何の気なしに本部の方へ視線をやると、丁度二機のモアが発進する所であった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
