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第123話 面倒な事になってきた。
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本日のマサキとティナは、平日にも関わらず、朝からギルド本部の会議室に呼び出されていた。
いつもならハンガーに直行なのだが、なにやら大事な用との事でエイドリアンさんに呼ばれた為である。
「突然何の用事だろうね?」
百人程収容出来そうな会議室の一番前の席に、二人ポツンと横に座っているティナが聞いてきたのだった。
(ここへ来ると、シャーロットに魔法の勉強を教えてもらった時の事を思い出すなぁ…)
「解らん……けど恐らく碌な話では無いのとは安易に予想出来る。めんどくさい事にならなきゃ良いんだけど……」
「だね…」
「にしてもエイドリアンさん遅くないか?遅れてないよな?俺達。」
「う、うん。多分時間通りに着いてると思うけど、どうしたんだろうね?」
二フロアくらい有りそうな高い天井の会議室。
先程、ギルド本部も業務を開始した為に、廊下にはひっきりなしにパタパタと行き交う人の足音が聴こえて来るのだが、ここは無音で、世界から隔絶された空間の様な錯覚を起こしそうになる。
窓からは、朝特有の強い日差しが二人の頬を照らし、まだ完全に眠気から覚醒しきれてないマサキは、まどろみの世界に吸い込まれそうな感覚であった。
そんな事を思いながら暫く待っていると突然会議室の扉が開きエイドリアンさんと共にローズ本部ギルドマスターことフィリングが姿を現したのだった。
(げげっ……爺さんも一緒って事はマジ碌な話じゃ無いな……一気に眠気が覚めたわ!)
一応お偉いさんなので、マサキとティナは即座に立ち上がり会釈をして挨拶をかわした。
「おおティナちゃん!それから坊主!新型モアの調子はどうじゃ?順調かの?忙しい時に呼び建てして申し訳ないの!」
「い、いえ……」
(ティナの呼び方が「ちゃん」付けがデフォになってるわ…)
「おはようございます!」
ティナは背筋を伸ばし、凛とした立ち振る舞いで挨拶をしていた。
そして、フィリングはエイドリアンを引き連れて檀上に上がり、会話を始めたのだった。。
「え~っと…今日は時間も少ないので率直に申すと…お主のスキル認定式の日取りが決まったぞ!」
「マジっすか?それはいつ?」
(本っ当に色々と突然だよなぁ…ティナも驚いてるよな…)
そんな事を思いながら、横目でティナの方へ視線をやると、可もなく不可もなくといった感じで真っ直ぐフィリングを見つめていた。
言い方を変えれば無表情である。
(ん?)
「大分待たせてしもうたが一週間後じゃ!」
フィリングは、何かに喜んでいるような笑みを浮かべ、少し興奮気味に内容を伝えてきたのだった。
(んん?なんか変だぞ?この爺さん…悪い物でも食ったのか?)
「一週間?!」
(いやいやいや……つーか、色々こっちの準備がまだ全然じゃん……どうすんの?日数を逆算しても無理ゲーだろ!)
「い、いや、なんと言うか……やるべき準備がまだ……」
「それは解っておる!だが、もう悠長な事は言ってられん状況なんじゃよ!」
「と、いいますと?」
「あ、わ、私から説明致しますと…」
と、エイドリアンがフィリングの間に入って会話を繋いだのだが、何やら歯切れが悪い。
「じ!実は、ロードランド国内で近い内にクーデターを起こすとの情報が入ってきました。そして、その混乱に乗じてクラタナさんのスキルを…と言うか、クラタナさんを狙って居るといった噂があるんですよ。」
普段ポーカーフェイスのエイドリアンの表情があからさまに曇って行き、よっぽど事態が深刻な状況と言う事を感じたマサキであった。
(なんてこった……つーか、マジっぽいな…スキルを狙う?俺ごと?てか、何それ…まさかのジミさんが言ってた通りになってきたわ……どうなるんだ?これから…)
マサキは直立していた姿勢を崩し、大きなため息をつきながら少し呆れたようにエイドリアンへ返答を返した。
「で?急遽一週間後って事になったんですか?」
「そ、その通りです。」
エイドリアンは少しだけ視線を床に落とし、恐縮しながら答えた。
(あ~…エイドリアンさんも内心は一週間じゃ無理ゲーって解ってるんだよな。けど、命令だから仕方無いって感じか…中間管理職あるあるだよな…辛い立場だろうなぁ…可哀想に…)
「でも、流石にあと一週間じゃ、色々と準備が間に合わないと思うんですけど……特にアグレッサーの連中とか装備とか…俺の魔法の練習とかが……その辺はどうしますか?あ、来賓の方とかは揃うんですか?」
「ええ、まぁ、その辺の事も承知してます…来賓の方は、間に合った方のみ出席といった形にして式典を執り行う予定でいます。」
(ん~…別にエイドリアンさんをいじめてる訳でも、責めてる訳でも無いんだけど、何かを俺が判断して行動を起こす事じゃ無いからなぁ…)
「なら、現状の状況を鑑みて、どういったお考えですか?」
突然、ティナがマサキとエイドリアンの会話を遮り、抑揚の無い口調で質問をしたのである。
(こ、コレはヤバい…エイドリアンさん!ティナ怒ってるって!無表情アンド抑揚の無い口調っておそロシア…変な答え言ったらどうなる事やら…(汗)
と思いつつチラッともう一度ティナに視線を向けると、何故か眼があってしまった。
マサキは、反射的に眼を逸らしてしまったのだが、一旦フィリングに視線を向けて更にティナを見ると、何事も無かった様に先程と同く、真っ直ぐエイドリアンの方を向いて居たのだった。
(んん?ティナの思ってることが全く読めん…怒ってる訳ではないのか?)
「や、やれるだけのことは…やっておきましょう…」
「いや、今でも一応やってるんだけど…けど、それでも足りないから言ってるんですが……ど、どうしますかね…ははは…」
(こ、ココは、俺がティナとエイドリアンさんの間に入ってクッションにならなければ!)
「クラタナさんとアグレッサーの状況も一応コチラでも把握しています。なので当初の目標であった、全員の技術の底上げは、日数的にも難しいかと…現実問題、私も思ってます。なので、残りの日数はクラタナさんが人選して集中的に訓練を実施して下さると助かるんですが、どうでしょうか?」
(う~…そう来たか。人選なぁ…人選かぁ…ん~…これまで一緒に訓練をして来て、それぞれ向き不向きってのもあるからなぁ。人選するにも、何の目的?で選ぶのかが分からんと選べんし、俺から特別扱いとかもできんからなぁ…どうしたもんだか…)
「ん~…まぁ…でも、装備とかはどうするんです?間に合いませんよ?それに、俺が選んだとなると…なんと言うか、選別みたいで、いや!実際に選別なんですが…隊員の方にしてみればトゲがある感じになるかなぁ…とか思うし、選別した後、なにをさせるかに拠っても、実際選別基準が変わって来るので、その辺を聞かせてもらえれば此方としても選びやすいんですが…」
「あ~…なるほどですね。でしたら、隊員への通達は私からしておきます。選定も私が選んだという事にすればクラタナさんの杞憂も恐らく無くなるかと。それで選定の目的ですが、まぁ、お分かりの通り、残りの日数の関係で、全員の技術の底上げは無理だと判断したからです。後、目的は、状況が状況ですので、クラタナさんの直属護衛任務に付いてもらうつもりです。他は出来るだけ期待に応えれる様に準備を進めますね。」
「ご、護衛任務?俺の?」
(俺ってばマジ要人だったんだ…いやいや、確かに認定式なんだから俺が主役なのは理解出来るが、護衛って大袈裟過ぎないか?状況が状況って言っても、見ただけじゃ、どうせ俺のスキルなんて真似できんし、誘拐っても、仮にもココはギルド本部だぞ?俺も丸腰じゃ無いしそれなりに自分の身位は守れると思うんだが…そんなに弱っちいのかな?)
「そうです。出来ればチームから4人程選出して最初の目標値までの技術を上げてもらいたいのですが、まぁ、バタバタしてますし、中途半端になる様なら最低2人で構いませんので…」
「護衛任務かぁ…一週間で技術を上げろってくらいなので、当然モアに乗っての護衛ですよねぇ…」
「そのつもりです。」
ティナもフィリングも真剣な表情でエイドリアンとマサキの会話を聞いている。
「後、当日の配置とかはどうなってます?」
「一応、来賓とクラタナさんの護衛にはBlue Leftの何時ものアグレッサーの人員で固めるつもりです。迎撃部隊にはRed Rightのアグレッサーを回します。とはいえ、メインの護衛は来賓ですので、直衛にはクラタナさんが選別した隊員とBLUEのメンバーに任せるつもりです。」
「あ~…じゃぁ、こっちのアグレッサーの細かい配置とかはどうなってます?」
「それはクラタナさんにおまかせします。なので、解りやすく言うと、一時的にではありますが、BLUEの隊長さんですね!上手い具合に使ってやって下さい!」
(マジかっ!苦手な役回って来たぁぁぁ~!)
「だったら、エイドリアンさんは当日どうするんですか?」
「私は、フィリング殿と来賓の護衛に就く予定ですね。総合指揮って仕事も有りますが…」
(マジかっ!?俺に投げたのか?いや、まぁ、大体の予想はしてたけど…てか、俺は来賓では無いのか?呼ばれて此処へ来て、自分を守る為に人にスキルを教えて…それが仕事で…って!めんどくさいよな…)
「まぁ、それだったら仕方無いですけど…」
(なんか納得行かんが、仕方が無い。)
「なので、細かい配置の人選と準備を進めてください。さっきも言いましたが、人選の通達は、辞令という形で私からしておきますので。」
「ええ…じゃぁ、それでお願いします。あ、配置を考えるので建物の図面とかお借りできますか?」
「了解しました。早いうちに準備しておきますね。他に必要な物が有れば言って下さい。出来るだけの事はやりますので。」
「それは助かります。」
(なんで俺ってばこんな協力的なんだ?まぁ、仕方無いか…こうなったもんは。)
「ところで、いま話しに出たRed Rightってどういう部隊なんですか?俺、初耳なんですけど。」
「あ~!そうですね。クラタナさんには今まで第二教導隊の面倒をメインで見て貰って居たので紹介が遅れましたが、ローズギルド本部第一教導隊、通称Red Rightと言って魔法や魔術を専門に教えている部門があるんですよ。」
「なら、モアには乗らないんですか?後方で魔法をバンバン使う…みたいな感じですか?」
「いえ、普通に……というか、今クラタナさんが指導されてるBlue Left並にはモアを扱えますが、専門が違う感じで後方支援メインって訳では無いです。モアの扱いはBlueLeftの方が若干上手で、逆に魔法や魔術関係は下と言った感じでしょうか?あ、BLUEの方ですよ!」
「ん~…だったら、護衛任務を混合にはできないんですか?レッドから何人、ブルーから何人で1チームとか…」
「……まぁ、難しいかと……命令とあらば混合部隊もできないことは無いですが、部隊の質が違いすぎて連携が取れないと思いますねぇ。特化してるスキルが余りにも違い過ぎるので。」
「なるほどね……なら混合じゃ無くても役割分担をして混合配置は出来ますか?」
(ロープレだったら前衛、後衛、回復って感じでパーティー組むんだけど…枠を超えてのそれは出来んって事かな…)
「出来ない事は無いんですが、今回はもう間に合わないと思いますねぇ。」
「なんで?」
「いや、元々は教導隊はひとつしか無かったんですよ。それで、指導をしていくうちに、隊員それぞれ得意不得意ってのがやはり有りまして、持ち前のセンスって言うんでしょうか、モアに乗るセンス、魔法や魔術のセンスを活かせれる様にとグループ分けをしたのが第一、第二教導隊としたんですが、まぁ、よくある事です。そこいらの連中とは頭一つ飛び抜けてる奴らばかりですのでクセが強くて、グループ同士で余り仲が良くないと言うか、レッドの連中は、第一教導隊と言う名前が付いてるので第二を下に見ますし、第二の連中は、妬み等ではありませんが良くは思って無い感じなんですよね。」
(なるほどな。内集団、外集団バイアスってことか。)
「あ~…分かりました。あ、それから、当日の指示命令系統ってどうなってますか?」
「一応、私の下にクラタナさん、直属でBlueLeftの第二教導隊、となっていますが、もしもの時の為にRed Lightの第一教導隊も命令は出せれる様にしておきます。」
(ん~…一つの部隊でも俺の手には余るからなぁ…流石に二つの部隊指揮は無理だな。)
「なら、Red Rightの方は、完全にそちらにお任せしていいでしょうか?今更どこの誰だか分からん奴に命令されても、される側も嫌だと思うので……BlueLeftの方はスチュワートさんと連携を取ってやってきますので。」
「了解しました。じゃあ人選の件よろしくお願いいたします!」
そう言ってエイドリアンは下がり、入れ替わりにフィリングが前に出て、意外な事を言い出したのである。
「此方から呼び出した上に、引っぱり回して色々と申し訳ないの…クラタナ殿。」
フィリングはそう言って深々とマサキとティナに頭を下げたのだった。
(マジかっ!あの爺さんが?!)
いつもならハンガーに直行なのだが、なにやら大事な用との事でエイドリアンさんに呼ばれた為である。
「突然何の用事だろうね?」
百人程収容出来そうな会議室の一番前の席に、二人ポツンと横に座っているティナが聞いてきたのだった。
(ここへ来ると、シャーロットに魔法の勉強を教えてもらった時の事を思い出すなぁ…)
「解らん……けど恐らく碌な話では無いのとは安易に予想出来る。めんどくさい事にならなきゃ良いんだけど……」
「だね…」
「にしてもエイドリアンさん遅くないか?遅れてないよな?俺達。」
「う、うん。多分時間通りに着いてると思うけど、どうしたんだろうね?」
二フロアくらい有りそうな高い天井の会議室。
先程、ギルド本部も業務を開始した為に、廊下にはひっきりなしにパタパタと行き交う人の足音が聴こえて来るのだが、ここは無音で、世界から隔絶された空間の様な錯覚を起こしそうになる。
窓からは、朝特有の強い日差しが二人の頬を照らし、まだ完全に眠気から覚醒しきれてないマサキは、まどろみの世界に吸い込まれそうな感覚であった。
そんな事を思いながら暫く待っていると突然会議室の扉が開きエイドリアンさんと共にローズ本部ギルドマスターことフィリングが姿を現したのだった。
(げげっ……爺さんも一緒って事はマジ碌な話じゃ無いな……一気に眠気が覚めたわ!)
一応お偉いさんなので、マサキとティナは即座に立ち上がり会釈をして挨拶をかわした。
「おおティナちゃん!それから坊主!新型モアの調子はどうじゃ?順調かの?忙しい時に呼び建てして申し訳ないの!」
「い、いえ……」
(ティナの呼び方が「ちゃん」付けがデフォになってるわ…)
「おはようございます!」
ティナは背筋を伸ばし、凛とした立ち振る舞いで挨拶をしていた。
そして、フィリングはエイドリアンを引き連れて檀上に上がり、会話を始めたのだった。。
「え~っと…今日は時間も少ないので率直に申すと…お主のスキル認定式の日取りが決まったぞ!」
「マジっすか?それはいつ?」
(本っ当に色々と突然だよなぁ…ティナも驚いてるよな…)
そんな事を思いながら、横目でティナの方へ視線をやると、可もなく不可もなくといった感じで真っ直ぐフィリングを見つめていた。
言い方を変えれば無表情である。
(ん?)
「大分待たせてしもうたが一週間後じゃ!」
フィリングは、何かに喜んでいるような笑みを浮かべ、少し興奮気味に内容を伝えてきたのだった。
(んん?なんか変だぞ?この爺さん…悪い物でも食ったのか?)
「一週間?!」
(いやいやいや……つーか、色々こっちの準備がまだ全然じゃん……どうすんの?日数を逆算しても無理ゲーだろ!)
「い、いや、なんと言うか……やるべき準備がまだ……」
「それは解っておる!だが、もう悠長な事は言ってられん状況なんじゃよ!」
「と、いいますと?」
「あ、わ、私から説明致しますと…」
と、エイドリアンがフィリングの間に入って会話を繋いだのだが、何やら歯切れが悪い。
「じ!実は、ロードランド国内で近い内にクーデターを起こすとの情報が入ってきました。そして、その混乱に乗じてクラタナさんのスキルを…と言うか、クラタナさんを狙って居るといった噂があるんですよ。」
普段ポーカーフェイスのエイドリアンの表情があからさまに曇って行き、よっぽど事態が深刻な状況と言う事を感じたマサキであった。
(なんてこった……つーか、マジっぽいな…スキルを狙う?俺ごと?てか、何それ…まさかのジミさんが言ってた通りになってきたわ……どうなるんだ?これから…)
マサキは直立していた姿勢を崩し、大きなため息をつきながら少し呆れたようにエイドリアンへ返答を返した。
「で?急遽一週間後って事になったんですか?」
「そ、その通りです。」
エイドリアンは少しだけ視線を床に落とし、恐縮しながら答えた。
(あ~…エイドリアンさんも内心は一週間じゃ無理ゲーって解ってるんだよな。けど、命令だから仕方無いって感じか…中間管理職あるあるだよな…辛い立場だろうなぁ…可哀想に…)
「でも、流石にあと一週間じゃ、色々と準備が間に合わないと思うんですけど……特にアグレッサーの連中とか装備とか…俺の魔法の練習とかが……その辺はどうしますか?あ、来賓の方とかは揃うんですか?」
「ええ、まぁ、その辺の事も承知してます…来賓の方は、間に合った方のみ出席といった形にして式典を執り行う予定でいます。」
(ん~…別にエイドリアンさんをいじめてる訳でも、責めてる訳でも無いんだけど、何かを俺が判断して行動を起こす事じゃ無いからなぁ…)
「なら、現状の状況を鑑みて、どういったお考えですか?」
突然、ティナがマサキとエイドリアンの会話を遮り、抑揚の無い口調で質問をしたのである。
(こ、コレはヤバい…エイドリアンさん!ティナ怒ってるって!無表情アンド抑揚の無い口調っておそロシア…変な答え言ったらどうなる事やら…(汗)
と思いつつチラッともう一度ティナに視線を向けると、何故か眼があってしまった。
マサキは、反射的に眼を逸らしてしまったのだが、一旦フィリングに視線を向けて更にティナを見ると、何事も無かった様に先程と同く、真っ直ぐエイドリアンの方を向いて居たのだった。
(んん?ティナの思ってることが全く読めん…怒ってる訳ではないのか?)
「や、やれるだけのことは…やっておきましょう…」
「いや、今でも一応やってるんだけど…けど、それでも足りないから言ってるんですが……ど、どうしますかね…ははは…」
(こ、ココは、俺がティナとエイドリアンさんの間に入ってクッションにならなければ!)
「クラタナさんとアグレッサーの状況も一応コチラでも把握しています。なので当初の目標であった、全員の技術の底上げは、日数的にも難しいかと…現実問題、私も思ってます。なので、残りの日数はクラタナさんが人選して集中的に訓練を実施して下さると助かるんですが、どうでしょうか?」
(う~…そう来たか。人選なぁ…人選かぁ…ん~…これまで一緒に訓練をして来て、それぞれ向き不向きってのもあるからなぁ。人選するにも、何の目的?で選ぶのかが分からんと選べんし、俺から特別扱いとかもできんからなぁ…どうしたもんだか…)
「ん~…まぁ…でも、装備とかはどうするんです?間に合いませんよ?それに、俺が選んだとなると…なんと言うか、選別みたいで、いや!実際に選別なんですが…隊員の方にしてみればトゲがある感じになるかなぁ…とか思うし、選別した後、なにをさせるかに拠っても、実際選別基準が変わって来るので、その辺を聞かせてもらえれば此方としても選びやすいんですが…」
「あ~…なるほどですね。でしたら、隊員への通達は私からしておきます。選定も私が選んだという事にすればクラタナさんの杞憂も恐らく無くなるかと。それで選定の目的ですが、まぁ、お分かりの通り、残りの日数の関係で、全員の技術の底上げは無理だと判断したからです。後、目的は、状況が状況ですので、クラタナさんの直属護衛任務に付いてもらうつもりです。他は出来るだけ期待に応えれる様に準備を進めますね。」
「ご、護衛任務?俺の?」
(俺ってばマジ要人だったんだ…いやいや、確かに認定式なんだから俺が主役なのは理解出来るが、護衛って大袈裟過ぎないか?状況が状況って言っても、見ただけじゃ、どうせ俺のスキルなんて真似できんし、誘拐っても、仮にもココはギルド本部だぞ?俺も丸腰じゃ無いしそれなりに自分の身位は守れると思うんだが…そんなに弱っちいのかな?)
「そうです。出来ればチームから4人程選出して最初の目標値までの技術を上げてもらいたいのですが、まぁ、バタバタしてますし、中途半端になる様なら最低2人で構いませんので…」
「護衛任務かぁ…一週間で技術を上げろってくらいなので、当然モアに乗っての護衛ですよねぇ…」
「そのつもりです。」
ティナもフィリングも真剣な表情でエイドリアンとマサキの会話を聞いている。
「後、当日の配置とかはどうなってます?」
「一応、来賓とクラタナさんの護衛にはBlue Leftの何時ものアグレッサーの人員で固めるつもりです。迎撃部隊にはRed Rightのアグレッサーを回します。とはいえ、メインの護衛は来賓ですので、直衛にはクラタナさんが選別した隊員とBLUEのメンバーに任せるつもりです。」
「あ~…じゃぁ、こっちのアグレッサーの細かい配置とかはどうなってます?」
「それはクラタナさんにおまかせします。なので、解りやすく言うと、一時的にではありますが、BLUEの隊長さんですね!上手い具合に使ってやって下さい!」
(マジかっ!苦手な役回って来たぁぁぁ~!)
「だったら、エイドリアンさんは当日どうするんですか?」
「私は、フィリング殿と来賓の護衛に就く予定ですね。総合指揮って仕事も有りますが…」
(マジかっ!?俺に投げたのか?いや、まぁ、大体の予想はしてたけど…てか、俺は来賓では無いのか?呼ばれて此処へ来て、自分を守る為に人にスキルを教えて…それが仕事で…って!めんどくさいよな…)
「まぁ、それだったら仕方無いですけど…」
(なんか納得行かんが、仕方が無い。)
「なので、細かい配置の人選と準備を進めてください。さっきも言いましたが、人選の通達は、辞令という形で私からしておきますので。」
「ええ…じゃぁ、それでお願いします。あ、配置を考えるので建物の図面とかお借りできますか?」
「了解しました。早いうちに準備しておきますね。他に必要な物が有れば言って下さい。出来るだけの事はやりますので。」
「それは助かります。」
(なんで俺ってばこんな協力的なんだ?まぁ、仕方無いか…こうなったもんは。)
「ところで、いま話しに出たRed Rightってどういう部隊なんですか?俺、初耳なんですけど。」
「あ~!そうですね。クラタナさんには今まで第二教導隊の面倒をメインで見て貰って居たので紹介が遅れましたが、ローズギルド本部第一教導隊、通称Red Rightと言って魔法や魔術を専門に教えている部門があるんですよ。」
「なら、モアには乗らないんですか?後方で魔法をバンバン使う…みたいな感じですか?」
「いえ、普通に……というか、今クラタナさんが指導されてるBlue Left並にはモアを扱えますが、専門が違う感じで後方支援メインって訳では無いです。モアの扱いはBlueLeftの方が若干上手で、逆に魔法や魔術関係は下と言った感じでしょうか?あ、BLUEの方ですよ!」
「ん~…だったら、護衛任務を混合にはできないんですか?レッドから何人、ブルーから何人で1チームとか…」
「……まぁ、難しいかと……命令とあらば混合部隊もできないことは無いですが、部隊の質が違いすぎて連携が取れないと思いますねぇ。特化してるスキルが余りにも違い過ぎるので。」
「なるほどね……なら混合じゃ無くても役割分担をして混合配置は出来ますか?」
(ロープレだったら前衛、後衛、回復って感じでパーティー組むんだけど…枠を超えてのそれは出来んって事かな…)
「出来ない事は無いんですが、今回はもう間に合わないと思いますねぇ。」
「なんで?」
「いや、元々は教導隊はひとつしか無かったんですよ。それで、指導をしていくうちに、隊員それぞれ得意不得意ってのがやはり有りまして、持ち前のセンスって言うんでしょうか、モアに乗るセンス、魔法や魔術のセンスを活かせれる様にとグループ分けをしたのが第一、第二教導隊としたんですが、まぁ、よくある事です。そこいらの連中とは頭一つ飛び抜けてる奴らばかりですのでクセが強くて、グループ同士で余り仲が良くないと言うか、レッドの連中は、第一教導隊と言う名前が付いてるので第二を下に見ますし、第二の連中は、妬み等ではありませんが良くは思って無い感じなんですよね。」
(なるほどな。内集団、外集団バイアスってことか。)
「あ~…分かりました。あ、それから、当日の指示命令系統ってどうなってますか?」
「一応、私の下にクラタナさん、直属でBlueLeftの第二教導隊、となっていますが、もしもの時の為にRed Lightの第一教導隊も命令は出せれる様にしておきます。」
(ん~…一つの部隊でも俺の手には余るからなぁ…流石に二つの部隊指揮は無理だな。)
「なら、Red Rightの方は、完全にそちらにお任せしていいでしょうか?今更どこの誰だか分からん奴に命令されても、される側も嫌だと思うので……BlueLeftの方はスチュワートさんと連携を取ってやってきますので。」
「了解しました。じゃあ人選の件よろしくお願いいたします!」
そう言ってエイドリアンは下がり、入れ替わりにフィリングが前に出て、意外な事を言い出したのである。
「此方から呼び出した上に、引っぱり回して色々と申し訳ないの…クラタナ殿。」
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よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
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