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第124話 考える二人

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 「ん~……」
 
 フィリングとエイドリアンが去った本部ギルド会議室に残った二人は、先の懸案事項に頭を悩ませる事となったのである。
 突然告げられた認定式。
 開催は一週間後で当日の直衛護衛任務にアグレッサーの隊員の中から選出しなければ行けない事等々。
 
 「んん~……」

 特に朝が弱いマサキは、覚醒して無い脳に過大な負荷が掛かった為、会議室の机に突っ伏して、唸ることしか出来ないでいたのだった。

 「う~ん……なぁ、ティナ、誰を選んだらいいと思う?」
 
 覚醒して無い脳で、幾ら考えても判断出来ないマサキは、観念したかの様に唸りながら頭だけをティナに向け質問をした。

 「そうねぇ、直属でしょ?」

 「うん。」

 今日のティナの出で立ちは、高い位置に結んだポニーテール、そして何時ものギルドから支給されたモスグリーンの制服である。
 (ティナって何着ても様になるんだよなぁ……なんでだろう?美人だからなのかスタイルが良いからなのかは解らんけど、この世界でも色々と不公平だよなぁ…)

 と、会話の内容とは全く関係無い事を考えながらティナに返事をしていた。

 「って云うと、もしもの時にマサキが指示出した通りに動ける人材って事よね?技術的にも。」 
 (あ~……マサキ、絶対今眠いわ…完全に脳ミソ起きてないよ……)
 
 「まぁ、そうなるかなぁ…でも技術的には現実問題、無理かなと…最悪、護衛を俺らが守らないと行けなくなるんじゃないの?って思ってる。烏滸がましいけどさ。」
 (護衛を守るなんて…自分でとんでもない事言ってるのは理解してるけど、実際狙われてるのは俺なんだよな…だからって、直接俺を狙って来るとは思えん。ってなると…力が敵わない相手を屈服させるには…まぁ、テロと同じだよな。予想出来る最悪のシナリオは……人質を取る…だろうな。)

 マサキは無意識にティナの姿越しに見える背景に視線を移して、直感でペラペラと饒舌にティナへの返答を返す内、自分の中に一つの重要な事が思い当たったのであった。

 「だよね。技術面ではマサキがトップだから、普通に考えて、それを護衛って、マサキよりも技術が無きゃ無理な話だもんねぇ。」
 (ん?)
 
 まだ朝と言う事もあり、何時もよりだらけている感があったのだが、ティナは不意に視線を外したマサキを見逃さなかった。
 (通常運転になるにはもう少し掛かるんだろうなぁ……にしても、ちゃんと話を聞いてるのかな?な~んか別の事考えてる様な……)

 「ですよねぇ…前も言ったけどさ、仮にEXスキルを得たとしても、得て終わりじゃぁないからさ、そのスキルを実戦でどう活かすかで生死が変わって来るからなぁ…どうしたもんだか。って、俺も付け焼き刃だから偉そうな事言えないけど…」
 (護衛はモアに乗っての任務ってエイドリアンさんが言ってたよな。って考えると、俺だったら襲撃のタイミングはいつにする?式典当日にするか、前日にするか…多分、モアに乗って無い時だよな。闇討ちで人質を奪取、若しくは単独行動の時を狙って…だな。)

「だったら逆に考えてみれば?」

 「逆って?」
 そう言ってマサキはうつ伏せだった上体を起こして、ストレッチを始めたのだった。

 「こんな事言うのは嫌なんだけど、誰に死んで欲しくない?傷ついて欲しくないの?」
 (そろそろ頭が働いて来たのかな?伸び始めた……)

 「いやいや、メンバーの誰も死んで欲しくないし、傷ついて欲しくもないよ!当然最優先でティナなんだけど。」
 (そう。俺の弱点はそこなんだよ。それをどう回避するべきか。俺を狙ってるのがどんな勢力なのかは知らんが、考えたくは無いけど内通者が既にギルド内に居ると思って良いんだろうな。) 

 ストレッチをしていたマサキは無意識に動きを止めて、危機感から来る考えを巡らせていた。

 「まぁ、マサキならそう言うと思ったんだけどさ、ん~…直感で選んだ方が楽なんじゃ無いの?感性と言うか、フィーリングとかで…」
 (んん?マサキってば、完全に何か別の事を考えてるよね?)

 午前の日差しが包み込む広い会議室で、一瞬会話が止まると外の雑踏が大きく聴こえて来た。

 「そうだなぁ…スチュアートに護衛を任せる訳には行かんしなぁ元々副隊長だから指揮取ってもらわんと困るし、スミスとアクセルを離すのも何となく事がマイナスに働きそうだし、ジェニファーとアリスコンビもなぁ…ジェニファーの性格は何となく掴めてるんだけど、アリスの方が全く解らんからなぁ…いや、多分だけど、淡々とミッションをこなすんだろうけどさ、俺とは、まだ意思疎通が上手く取れてない気がしてな…」
 (内通者か…やばい…会ってる人全てが疑心暗鬼になって来た…ど、どうしよう…)

 「てか、アリスんはそのままだよ!多分不器用なだけなんじゃ無いかな?って考えると、もう決まったも同然じゃない!残りの二人に当日は護衛して貰うしかないでしょ?」
 
 (ティナってそんなにアリスと仲良かったのか?この間の起動試験もそんな感じだったし……マジで何時からなんだろう?謎だ……)

 と通路を隔てて、膝を揃えて横向きに座り、笑顔で話すティナはこういった状況の時、努めて明るく振る舞う癖がある。
 実際、ネガティブ思考なマサキは幾度もなく助けられて来たのだった。

 「まぁ、そうなんだよな…変な言い方だけど、モアの事や魔法の事で一番顔合わせてるから、あの二人には俺が慣れてるんだよな。」
 (ちょっと保険、作っとくかなぁ…)

 「まぁ、それでいいんじゃないの?アリシアさんに関しては、前からマサキの"お気に入り"だし、シャーロットさんはモアの事や、魔法で"お世話"になったもんねぇ!」

 (「お気に入り」と「お世話」の部分に、何かカドがある感じだけど………(汗)

 「だよな。」
 (ってなると、スキルを早期に覚えて貰う最優先の相手は、スチュアートとジェニファーになるな…後は…単独行動を控えてもらうとか?いや、銃の量産が先か?)

 「で、その二人にはスキル覚えさすの?間に合う?」

 「いや、スキルを覚えて貰うのはスチュアートとジェニファーだな。」
 (そうだ!こうなって来ると今日中にでもフランクさんとの所にダブルバレルを持ってって、量産出来るか聞いて来ないとな。)

 「なんで?」

 「だって、仮にスキルが取得出来たとしてさ、EXスキル持ちを固めて配置しても意味無くね?俺の傍にEXスキル持ち居てもさ…だったら分散して配置すれば護衛の戦力のバランスが良くならないか?俺が居なくてもスチュアートは上手く指揮とれるし、その次の実力がジェニファーなんだろ?ほら、最初会った時スミスかアクセルが言ってたじゃん?ライダーのaに近いのはジェニファーだって。」
 (フランクさんの所で量産出来なかったら、気合い入れてイマジナリーで作るしかねぇ!最低2挺と予備マガジン2個か…あ!射撃訓練!そうだよ。装備するなら射撃訓練しなきゃいけないわ!あ~………!どうしよう……)

 「たしかに…大きい陣形で考えればその方が良いかもね。でもさ、その二人でも猛特訓してさ、後一週間でスキル取得出来ると思う?」
 (一応マサキもちゃんと考えてるんだなぁ……)
 
 「多分無理だろ。」

 「えええ!?即答?(笑)」

 「無理だな。普通に考えて。キツイ言い方になるかも知れんが、既にスキルの訓練を始めてから何週間か経つだろ?現状、まだ足掛かりも掴めて無い。で、実際現実問題出来てない。だから余計にだよ。部隊のツートップ、まぁ厳密にはエイドリアンさんも居るんだがあの人は別枠だしな、取り敢えず、その二人が覚えられなけりゃ他のメンバーも諦めって言うか、壁の高さが解るだろ?出来りゃ出来たでいい事だけど。」
 (俺の魔法の訓練の時間を、射撃訓練の時間に充てればいいのか。)

 「まぁねぇ…でも、それだったら護衛任務の人選はどうやって選んだって二人にどう言うつもり?」

 ティナは少し不安気な表情を浮かべて会話を繋いだ。
 
 「いやいや、そこは俺は何も言わんでいいじゃん!だってエイドリアンさんが選んだ事になるんだろ?」

 「ああ!そっかそっか!そうだったね!そうなんだけど、スキルの集中特訓はスチュアートさんとジェニファーさんで、当日の直属の護衛任務はシャーロットさんとアリシアさんてさ…ん~…チグハグで、何かを勘ぐられたりしちゃわないかな?私的には、その辺が少し心配かな。直属なのに集中特訓が無いとか、直衛に選ばれた二人が不安になっちゃわないかな?」

 「そうだなぁ…確かに一理あるかも…でも実際どうしようも無いんじゃない?下手にコッチから話を振れば、余計に怪しまれそうだし…」

 「そっかぁ~…ん~…だったら、取り敢えずコッチからは話を振らないでさ、もし、聞かれたらそのまま言うのが一番だと思うよ!変に取り繕って伝えるとさ、相手の受け取り方にも拠るんだろうけど、プライドを傷つけられた…みたいな?気を遣われてる感じになるでしょ?だったらそのまま伝えた方が、伝えられた相手も誤解が少なくなるんじゃない?」

 「ご、ご最もなご意見ありがとうございます…じゃぁ、今後の方針はそれで行くか……………………………」
  (流石ティナたそ…こういう時はマジで頼りになるなぁ…変に気を遣って誤解を与えちゃうからな…俺…)

 「………で、どうしたの?後は?」

 ティナは動きを止めて、突然真剣な表情でマサキに質問を投げ掛けた。
 その一言は、会議室を照らす穏やかな日差しとは打って変わり、一瞬で室内の空気を変えたのである。

 「…………へ?」
 
 マサキはティナの意図が全く読めず、気の抜けた返答しか出来なかった。
 と、云うよりも反射的に怒られている気分になり、軽いパニックを起こしていたのだった。

 「だから、どうしたの?」

 ティナの口調は穏やかではある物の、マサキから確実に答えを導き出そうとしている意思がありありと見えていたのである。

 (え?なんで俺怒られてんの?何か不味い事でも言ったか?)

 「え?!」

 (やばい!ティナに何を責められてるのか全っ然っ解らん!)

 蛇に睨まれた蛙の様に、全身硬直したままフル回転で思考を巡らせたのだが、正解の糸口が全く掴めない為に呼吸をする事さえ忘れて居た。

 「え?じゃなくてさ、マサキってば、さっき会話してても全っ然関係ない事考えてない?上の空みたいな感じになってたよぉ~!」

 「…な、なんで?」

 「質問を質問で返すなし!って、マサキ、顔怖いよ?ほら、ここ!」
 と、ティナは言いながら立ち上がり、マサキに「ビシッ」とデコピンをしたのであった。

 「てっ!」

 ティナの行動に呆気に取られたマサキは、デコピン一撃で行動不能(笑)となり、全力で「答え」と言う脱出ルートを探ったのだった。

 「ホントは他にも何か有るんじゃ無いの?考え事っ!」

 (ああ~…なるほど、そういう事か…ティナには何でもお見通しなんだなぁ…)

 「えっ?!い、いや……無いような有るような無いような……」

 先程考えていた、人質の事をそのままティナに話して良い物か、歯切れ悪くマサキは答えたのだった。
 最優先で考えた事は、勿論ティナの安全面についてである。 
 下手に危機感を煽る様な事はしたくないし、なるべくなら首も突っ込んで欲しく無いのだが、言わなきゃ言わなかったで何かしら後から指摘されるだろうしと、考えが纏まらずに堂々巡りになった為にお茶を濁した返答になってしまったのだった。

 「なぁ~にぃ~…私には言えない事なの?」

 ジト目で前屈みにずいっと迫るティナからは、ハーブのいい香りが漂って来た。
 そして、マサキは目の前に突き出されたティナの胸へ反射的に眼を奪われたのである。
(ティナたそ、いいかほり…hshs!アンド眼福頂きました~!)

 そんな事を考えながらも取り繕う様に返答を返した。

 「ん~……い、言えない事では無い…かな?でも、まだ考えが纏まって無くて言えない事…かな…?」
 (ここは正直に今思ってる事を言うしか無い!)

 「そっか!解ったよ!なら聞かない。」

 (へっ?それでいいの?何かあっさり終わったぞ?)

 「う、うん。ごめん。」

 本来ならば、こんな時に伝えないと行けない事を上手く伝えれない術を持ち合わせて無いマサキは、何処と無く、何とも言えない罪悪感を感じたのだった。

 「謝らないと行けない事なの?」

 「いや、ティナに対して謝らないと行けない事では無い。ただ、今言えなくて謝っただけだ。ホントそれだけ。」

 真っ直ぐ見詰めてくるティナに、何か後ろめたさを感じて咄嗟に手元へとマサキは視線を移した。

 「じゃ、謝らなくて良いし!マサキの考えが纏まって、言いたくなったらいつでも言ってね!それと、早いうちにエイドリアンさんに今決めた事を伝えて、二人の特訓メニューを考えないとね!」

 「り、了解。頑張ります…そして、重ね重ねありがとうございます。(笑)」
 (流石だよなぁ…ティナたそ。ホント俺って手の上で転がされてる気分だわ…はは…)

 「所でこの後どうするの?書類整理?それともハンガーに直行?」

 ティナはそう言いながら会議室の扉の前に移動して、未だ座ったままのマサキに移動を促した。

 「ん~…先にハンガーかな。フランクさんに頼みたい事もあるし。」

 マサキも、のそのそと重い身体を引きずるように立ち上がり、扉の前へと歩き始めたのだった。

 「そっか、おっけー。で、頼みたい事って何?まためんどくさい事頼むとフランクさんに嫌な顔されちゃうよ?」

 大きい扉にも関わらず、全く音のしない引き戸をスルスルと開けて二人は廊下に移動した。
 (このドアって吊り下げ式か?てか、この世界にベアリングとか有るんかな?)

 「そうなんだけど、コレばっかは最優先事項なんだよな。」

 「最優先事項って?」

 「一応、当日の護衛ってシャーロットとアリシアにさっき決めただろ?」

 小一時間会議室で話して居た為、既に職員は業務を開始しており、移動は少なく、広く長い廊下には人がまばらで、時折会釈をしながら二人はハンガーへと脚を向けた。

 「うん。」

 「だからという訳では無いけど、身を守る為に銃を渡そうかと思ってるんだよ。前にも言ったじゃん!初めて俺が銃を作った時にさ!そして、出来るだけ早い内に渡したい。何かあってからじゃ遅いもん。で、フランクさんに俺がイマジナリーで作った銃を複製できるか相談しようと思って。」

 「あ~…確かにそんな事言ってたかもね。面制圧がどうのこうのって……確かにイザと言う時は有った方が良いのかな?でもどうなんだろ?今までだって同じ様な事とかあったかもしれないし、その時とかって魔法とか剣とかの対抗手段じゃ無かったのかな?それをいきなり銃に切り替えられるもんなの?反射的にって意味でさ。」

 階段を降りながら無意識に前を歩くティナに視線を送ると、ポニーテールがメトロノームの様にテンポ良く左右に振られ、前にもこの様な景色を見た気がすると、マサキは錯覚に陥っていたのであった。

 (どこかで見た感じだ?ど~こだったかなぁ…思い出せん…何か見覚えのあるんだよなぁ、こんなシチュ…)

 「だ~か~ら訓練しないといけないんだよ!咄嗟の事に対応出来るように。でもさ、その前に、銃その物が無きゃ訓練出来ないだろ?」
 
 石造りで直径の大きな螺旋階段を降り、一階へ着くと混雑とは言わないまでも人はそれなりに居て少しトーンを抑えて会話をする二人であった。

 「まぁ、そうだよね。てか、日数的に準備とか大丈夫なの?どうせマサキの事だから、式典迄に間に合わすつもりなんでしょ?」

 「一応、そのつもりでは居る。フランクさんにも頼むけど、俺の方もイマジナリーで作ってはみるつもり。」

 「それこそ大丈夫なの?作るのってアレでしょ?あの四角い感じのごっつい銃……アレ作るのに凄く時間掛かってたじゃない?」

 「最初はな!どうしても試作品だったし、寸法とか部品とか色々試行錯誤しながらで時間掛かったけど、今回は既に見本が有るからなぁ…多分、前よりはかなり楽に作れると思うんだけど、実際はやってみないと解らん。」

 通るついでと言わんばかりに、歩きながら総合受け付けに何時も居る巨乳のおネーサンを「盗み見」スキルでチラッと観察をしてからハンガーへと繋がる、少し人通りの少ない廊下をティナの後ろに着いて行くのであった。

 「でも、二人分でしょ?それってかなりキツくない?日数的にもマサキの魔力的にもさ……それに射撃訓練とかもあるし……」

 「だよなぁ…時間が物凄く足りないんだよ。だから取り敢えず俺の魔法の練習を止めてさ、先ずは銃の製作に集中して、出来上がった段階で直ぐに射撃訓練を始めようかと思ってる。まぁ、フランクさんの作業の進み方が鍵になって来ると思うんだけどね…後、魔力の方は何とかなりそうかな。ラスクのギルドから借りたこのブーストスクリーマーがあるし。」

 そう言って、マサキは右腕に通してある腕輪をドヤ顔でティナに見せた。
 すっかり忘れていたのだが、マサキの右腕には魔力増幅のレアアイテムの腕輪が装備してある。
 装備しているのを忘れる程に地味なアイテムの為、注目の機会が中々無いのだが、実際にはこの魔力増幅アイテムに幾度も助けられてる事をマサキは実感して居なかったのであった。
 因みに、ラスクのギルドで此処へ出発の前日に貸与されてから、一度足りとも外した事が無かった。
 
 魔法に対して疑心暗鬼だったマサキは、最初戸惑いながら魔力を使って居たので、折角増幅された魔力も散ってしまい魔力切れをかなりの頻度で起こしていたのだが、最近はシャーロットやアリシアとの魔法の練習も有り、コツを掴んで来たのは言うまでも無い。

 「ん~…まぁ…マサキがそう言うんなら良いんだけど……仕方ないよねぇ。マサキにしか出来ない事がいっぱいだもんねぇ…」
 (昔お父さんにも言われてたけど、こんな時、私にもイマジナリーが使えればマサキの負担を減らせれるのに…ダメだなぁ…私って……)

 「この状況、不可抗力っていうのかな。あ、そう言えば!ティナも射撃訓練するんだぞ!オヤジさんのM360あるじゃん?あれ渡すから!」
 (よくよく考えたら、射撃訓練って事は弾も造らないと行けないんだった……取り敢えず練習は実弾で良いよな。あ、でも一通りの弾種を撃った方が良いかもな…)

 「あ、う、うん。でもそうなったらマサキの携帯武器はどうするの?あのいつも持ってる長いのは、モアの席に収まらなかったでしょ?見本にするごっつい銃を持ってくの?」

 「最初はそのつもりだったんだけど…状況が状況だし、最悪見本の銃を二人のどちらかに渡して、俺とフランクさんで、どちらかなり、組み合わせてでも一挺出来たらそれを渡すしかないんだよ。で、俺はホルスター外して足元にでもM500を置いとくよ。っても、銃が完成すれば問題ない事だし、最悪そうするってことだから。」
 (まぁ、本来ならあの二人には銃なんてもんは必要無いのかも知れないけど、用心に越したことはない無いよな……)

 「てか、マサキ……一つ、大事な事、忘れてるよ…」

 「なによ?」

 「フランクさんに銃の事、なんて説明すんの?」

 (それ忘れてたぁ~!!)



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