1 / 54
出会い
しおりを挟む
桜が舞う四月の朝。今日は高校の入学式。新しい門出の日だ。
市内の進学校に進学したかったが、受験に失敗したせいで、頭の悪い私立高校に入学する羽目になってしまった。
学校の正門をくぐると、見るからに頭の悪そうな集団が屯している。髪を赤く染めた不良や、スカートを短く切った女子高生。
「完全に入る高校間違えたな」
滑り止めで選んだこの高校だが、もっと他に良い所が無かったのかと、今更ながらに後悔している。
「……帰ろうかな」
まだ入学すらしていないのに、この空間にいるのが嫌になってきた。
「何でこんな高校選んだんだろう……」
隣では、同じようなことをつぶやく女の子がいる。この子とは仲良くなれそうだ。
このまま留まっていても仕方ないので、俺はクラスを確認して教室に向かうことにした。すぐ側に人の歩く気配を感じ、横を向くと、先程の女の子が俺と同じ方向に進んでいた。同じクラスなのだろうか。彼女はそのまま俺と同じクラスに入ってきた。黒板に好きな席に座るようにと書いてあったので、俺は迷わず窓側の最後列に座ろうとする。だが、そんな俺と同じ場所に座ろうとする人が現れた。横を歩いていた彼女だ。
「ちょっと、ここは私が座るからどいてくれない?」
彼女は机の上に置いた俺の荷物をどかすようにして、自分の荷物を置く。
「いや、俺が先だろうが。お前は別の席に座ればいいだろ」
俺がそう言い返すと、彼女は不機嫌そうに顔をしかめた。
「なによ。女子に席を譲るって事を知らないの?いかにもオタクみたいな身なりして。そんなんだから彼女も出来ないんじゃないの?」
五分前に抱いた、目の前の女に対する第一印象が、一気に崩れた。
「お前みたいな気の強い女子を俺は知らない。彼女がいないのは事実だが、オタクだと言われる筋合いはないぞ」
俺が言い返すと、彼女は更に強い口調で捲し立ててくる。
「あなたから溢れ出るオタク臭が、制服を着ても誤魔化せてないのよ。伝染るから近くに来ないで」
「てめえ……!」
苛立ちを隠せなくなり、拳を握ったところでチャイムが鳴った。はっと我に返り、時計を見ると、時刻は八時半を指していた。どうやら始業時間らしい。先生が入ってきたので、俺は渋々、唯一空いていた例の席の横に着席した。隣では、彼女が勝ち誇った顔で僕にドヤ顔を向けている。
こんな奴と仲良くなるなんて、天と地がひっくり返っても無いだろうなと、そう思った。
はっきり言って、最悪な出会いだった。
市内の進学校に進学したかったが、受験に失敗したせいで、頭の悪い私立高校に入学する羽目になってしまった。
学校の正門をくぐると、見るからに頭の悪そうな集団が屯している。髪を赤く染めた不良や、スカートを短く切った女子高生。
「完全に入る高校間違えたな」
滑り止めで選んだこの高校だが、もっと他に良い所が無かったのかと、今更ながらに後悔している。
「……帰ろうかな」
まだ入学すらしていないのに、この空間にいるのが嫌になってきた。
「何でこんな高校選んだんだろう……」
隣では、同じようなことをつぶやく女の子がいる。この子とは仲良くなれそうだ。
このまま留まっていても仕方ないので、俺はクラスを確認して教室に向かうことにした。すぐ側に人の歩く気配を感じ、横を向くと、先程の女の子が俺と同じ方向に進んでいた。同じクラスなのだろうか。彼女はそのまま俺と同じクラスに入ってきた。黒板に好きな席に座るようにと書いてあったので、俺は迷わず窓側の最後列に座ろうとする。だが、そんな俺と同じ場所に座ろうとする人が現れた。横を歩いていた彼女だ。
「ちょっと、ここは私が座るからどいてくれない?」
彼女は机の上に置いた俺の荷物をどかすようにして、自分の荷物を置く。
「いや、俺が先だろうが。お前は別の席に座ればいいだろ」
俺がそう言い返すと、彼女は不機嫌そうに顔をしかめた。
「なによ。女子に席を譲るって事を知らないの?いかにもオタクみたいな身なりして。そんなんだから彼女も出来ないんじゃないの?」
五分前に抱いた、目の前の女に対する第一印象が、一気に崩れた。
「お前みたいな気の強い女子を俺は知らない。彼女がいないのは事実だが、オタクだと言われる筋合いはないぞ」
俺が言い返すと、彼女は更に強い口調で捲し立ててくる。
「あなたから溢れ出るオタク臭が、制服を着ても誤魔化せてないのよ。伝染るから近くに来ないで」
「てめえ……!」
苛立ちを隠せなくなり、拳を握ったところでチャイムが鳴った。はっと我に返り、時計を見ると、時刻は八時半を指していた。どうやら始業時間らしい。先生が入ってきたので、俺は渋々、唯一空いていた例の席の横に着席した。隣では、彼女が勝ち誇った顔で僕にドヤ顔を向けている。
こんな奴と仲良くなるなんて、天と地がひっくり返っても無いだろうなと、そう思った。
はっきり言って、最悪な出会いだった。
0
あなたにおすすめの小説
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
バイトの時間なのでお先に失礼します!~普通科と特進科の相互理解~
スズキアカネ
恋愛
バイト三昧の変わり者な普通科の彼女と、美形・高身長・秀才の三拍子揃った特進科の彼。
何もかもが違う、相容れないはずの彼らの学園生活をハチャメチャに描いた和風青春現代ラブコメ。
◇◆◇
作品の転載転用は禁止です。著作権は放棄しておりません。
DO NOT REPOST.
ざまぁに失敗したけど辺境伯に溺愛されています
木漏れ日
恋愛
天才魔術師セディが自分の番である『異界渡りの姫』を召喚したとき、16歳の少女奈緒はそれに巻き込まれて、壁外という身分を持たない人々が住む場所に落ちました。
少女は自分を異世界トリップに巻き込んだ『異界渡り姫』に復讐しようとして失敗。なぜかロビン辺境伯は少女も『異界渡りの姫』だと言って溺愛するのですが……
陰陽の姫シリーズ『図書館の幽霊って私のことですか?』と連動しています。
どちらからお読み頂いても話は通じます。
27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?
藍沢咲良
恋愛
一色唯(Ishiki Yui )、最近ちょっと苛々しがちの27歳。
結婚適齢期だなんて言葉、誰が作った?彼氏がいなきゃ寂しい女確定なの?
もう、みんな、うるさい!
私は私。好きに生きさせてよね。
この世のしがらみというものは、20代後半女子であっても放っておいてはくれないものだ。
彼氏なんていなくても。結婚なんてしてなくても。楽しければいいじゃない。仕事が楽しくて趣味も充実してればそれで私の人生は満足だった。
私の人生に彩りをくれる、その人。
その人に、私はどうやら巡り合わないといけないらしい。
⭐︎素敵な表紙は仲良しの漫画家さんに描いて頂きました。著作権保護の為、無断転載はご遠慮ください。
⭐︎この作品はエブリスタでも投稿しています。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ホウセンカ
えむら若奈
恋愛
☆面倒な女×クセ強男の不器用で真っ直ぐな純愛ラブストーリー!
誰もが振り返る美しい容姿を持つ姫野 愛茉(ひめの えま)は、常に“本当の自分”を隠して生きていた。
そして“理想の自分”を“本当の自分”にするため地元を離れた大学に進学し、初めて参加した合コンで浅尾 桔平(あさお きっぺい)と出会う。
目つきが鋭くぶっきらぼうではあるものの、不思議な魅力を持つ桔平に惹かれていく愛茉。桔平も愛茉を気に入り2人は急接近するが、愛茉は常に「嫌われるのでは」と不安を抱えていた。
「明確な理由がないと、不安?」
桔平の言葉のひとつひとつに揺さぶられる愛茉が、不安を払拭するために取った行動とは――
※本作品はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
※イラストは自作です。転載禁止。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
簒奪女王と隔絶の果て
紺乃 安
恋愛
穏やかな美青年王子が、即位した途端に冷酷な王に変貌した。そしてそれが、不羈の令嬢ベアトリスの政略結婚相手。
ポストファンタジー宮廷ロマンス小説。
※拙作「山賊王女と楽園の涯」の完結編という位置づけでもありますが、知らなくとも問題ないよう書いてあります。興味があればそちらもお読みください(ただしずいぶんジャンルが違い、とても長いです)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる