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買い物(2)
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「ど、どうだよ……」
試着室から出た俺は、目の前に立っている茉莉に、感想を聞いた。
「悪くないわね」
「それだけかよ」
「良くも悪くもないわ。来た時よりもマシね」
「……そうか。じゃあ、これにするか」
「そうね」
俺達は、試着した服をそのまま買い、店を出た。
「次はどうする?」
「そうね……。私も服が見たいわ。付いてきて」
彼女はそう言うと、先程の店の向かいにある、女物の服を売っている店へと入った。
彼女は何着か手に取り、首を傾げながら戻したりを繰り返している。数分して、彼女は何着かの服と一緒に試着室へと入っていった。
「服選びの楽しさが分からないな……」
楽しそうに試着室に入っていった彼女を、俺は不思議そうに見ていた。
「それにしても……。この空間は落ち着かない」
周りには、普段見慣れない女物の服が並んでいる。もうすぐ夏だと言うこともあり、露出の多いものが多い気もする。当然、他の女性客も多いわけで、店内にいる男は少ない。下手すると俺だけかもしれない。
そんな俺の気も知らずに、茉莉は緊張したように試着室から顔を出した。
「ど、どう?似合ってる?」
おずおずと聞いてくる茉莉。だが、彼女は顔しか出してない。似合っているか聞いてきても、肝心の服が全く見えない状態だ。
「い、いや……。見えないんだが……」
「えっ!?……あっ」
自分の状態にようやく気付いたのか、茉莉は恥ずかしそうに試着室から出てきた。
「ど、どうよ……」
「お、おう……」
水色のワンピースを着た茉莉は、意外と華奢な体つきをしていた。俺は、彼女の姿をまじまじと見つめる。
「何か言いなさいよ!」
「あぁ、いや……。似合ってる……ぞ?」
「なら良いのよ!」
そう言って、彼女はまた試着室に入っていった。
何度か同じようなやりとりを繰り返した後、なぜか彼女は試着した全ての服を購入した。
「あんたが似合ってるって言ったからよ」
「……そういうものなのか」
「そういうものよ」
俺の感情と、彼女が服を買うのに関係があるのだろうか。まあ良いか。
「ちょっと、遅いわよ」
「そりゃぁ、お前の荷物を全部持ってればな……」
「何か言った?」
「い、いいえ」
大量に服を買ったのに、茉莉は両手に何も持っていない。彼女は俺に、荷物を強引に押し付けてきたのだ。
「次は……って言いたいところだけれど、もうこんな時間ね。どうする?」
時計を見ると、午後六時を過ぎていた。流石に疲れたので、できれば帰りたい。
「帰るか?」
「……」
嫌な顔をされた。それもすごい勢いで。
「な、何だよ……」
「もういいわ!帰りましょう!」
「な、何なんだよ……」
茉莉は、なぜか機嫌を損ねて、一人で先を歩いていってしまった。
「ちょ、待てって」
「遅いわよ!」
ようやく茉莉の横に並んだ俺は、彼女から膝蹴りを受けた。
「痛い!?何なんだよさっきから!」
「……ふんっ」
しばらく、二人とも無言の時間が過ぎた。気まずい空気に耐えられなくなった頃、先に口を開いたのは、茉莉だった。
「今日は……その、ありがとう……」
妙にしおらしくなった彼女に、俺もらしくない反応をしてしまう。
「何もしてないけどな」
「感謝の気持ちくらい、素直に受け取りなさい」
「……すまん」
「久しぶりに楽しかったし、まぁいいわ。私はこれで帰るわね。また、学校で会いましょう」
「お、おう……」
茉莉は、俺が持っていた荷物を受け取ると、そのまま歩き出した。
「送っていかなくて良いのか?」
「家も近いし、まだ明るいから大丈夫よ。あんたこそ、早く帰りなさい」
「分かった。気をつけて帰れよ」
「えぇ、またね」
他愛もないことを言い合いながら、俺達はお互いの道を別れた。
……はずだった。
茉莉の目の前に迫る軽自動車。気がつくと、俺は彼女を突き飛ばしていた。
試着室から出た俺は、目の前に立っている茉莉に、感想を聞いた。
「悪くないわね」
「それだけかよ」
「良くも悪くもないわ。来た時よりもマシね」
「……そうか。じゃあ、これにするか」
「そうね」
俺達は、試着した服をそのまま買い、店を出た。
「次はどうする?」
「そうね……。私も服が見たいわ。付いてきて」
彼女はそう言うと、先程の店の向かいにある、女物の服を売っている店へと入った。
彼女は何着か手に取り、首を傾げながら戻したりを繰り返している。数分して、彼女は何着かの服と一緒に試着室へと入っていった。
「服選びの楽しさが分からないな……」
楽しそうに試着室に入っていった彼女を、俺は不思議そうに見ていた。
「それにしても……。この空間は落ち着かない」
周りには、普段見慣れない女物の服が並んでいる。もうすぐ夏だと言うこともあり、露出の多いものが多い気もする。当然、他の女性客も多いわけで、店内にいる男は少ない。下手すると俺だけかもしれない。
そんな俺の気も知らずに、茉莉は緊張したように試着室から顔を出した。
「ど、どう?似合ってる?」
おずおずと聞いてくる茉莉。だが、彼女は顔しか出してない。似合っているか聞いてきても、肝心の服が全く見えない状態だ。
「い、いや……。見えないんだが……」
「えっ!?……あっ」
自分の状態にようやく気付いたのか、茉莉は恥ずかしそうに試着室から出てきた。
「ど、どうよ……」
「お、おう……」
水色のワンピースを着た茉莉は、意外と華奢な体つきをしていた。俺は、彼女の姿をまじまじと見つめる。
「何か言いなさいよ!」
「あぁ、いや……。似合ってる……ぞ?」
「なら良いのよ!」
そう言って、彼女はまた試着室に入っていった。
何度か同じようなやりとりを繰り返した後、なぜか彼女は試着した全ての服を購入した。
「あんたが似合ってるって言ったからよ」
「……そういうものなのか」
「そういうものよ」
俺の感情と、彼女が服を買うのに関係があるのだろうか。まあ良いか。
「ちょっと、遅いわよ」
「そりゃぁ、お前の荷物を全部持ってればな……」
「何か言った?」
「い、いいえ」
大量に服を買ったのに、茉莉は両手に何も持っていない。彼女は俺に、荷物を強引に押し付けてきたのだ。
「次は……って言いたいところだけれど、もうこんな時間ね。どうする?」
時計を見ると、午後六時を過ぎていた。流石に疲れたので、できれば帰りたい。
「帰るか?」
「……」
嫌な顔をされた。それもすごい勢いで。
「な、何だよ……」
「もういいわ!帰りましょう!」
「な、何なんだよ……」
茉莉は、なぜか機嫌を損ねて、一人で先を歩いていってしまった。
「ちょ、待てって」
「遅いわよ!」
ようやく茉莉の横に並んだ俺は、彼女から膝蹴りを受けた。
「痛い!?何なんだよさっきから!」
「……ふんっ」
しばらく、二人とも無言の時間が過ぎた。気まずい空気に耐えられなくなった頃、先に口を開いたのは、茉莉だった。
「今日は……その、ありがとう……」
妙にしおらしくなった彼女に、俺もらしくない反応をしてしまう。
「何もしてないけどな」
「感謝の気持ちくらい、素直に受け取りなさい」
「……すまん」
「久しぶりに楽しかったし、まぁいいわ。私はこれで帰るわね。また、学校で会いましょう」
「お、おう……」
茉莉は、俺が持っていた荷物を受け取ると、そのまま歩き出した。
「送っていかなくて良いのか?」
「家も近いし、まだ明るいから大丈夫よ。あんたこそ、早く帰りなさい」
「分かった。気をつけて帰れよ」
「えぇ、またね」
他愛もないことを言い合いながら、俺達はお互いの道を別れた。
……はずだった。
茉莉の目の前に迫る軽自動車。気がつくと、俺は彼女を突き飛ばしていた。
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