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愛しい君との、初めての思い出(2)
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茉莉と何の進展もないまま、八月に入った。
あの日殴られたせいで肋骨の完治が遅くなったが、体に異変はない。それよりも、茉莉との関係が、以前より悪くなったような気がして、生きた心地がしない。
メッセージのやりとりも少なく、彼女は今何をしているのだろうかと、不安になることもあった。
今日も何もなく一日が過ぎるのかと、落胆しかけた昼下がり。茉莉からメッセージが届いた。
『会いたい』
たった一言だけの本文。だが、その一言は俺を動かすのに十分すぎた。
俺は急いで身支度をし、家を出た。
気付くと、俺は茉莉の家の前まで来ていた。恐る恐るチャイムを鳴らすと、少しやつれた茉莉がドアを開けた。
「はい、どちら様です……って、えぇ!?」
俺を見て驚いたのか、彼女はすぐにドアを閉めてしまった。
「いや、おい!いくら何でもそれは酷いだろ!」
慌てて茉莉を呼び止めると、彼女は目が見える分だけ戸を開けて、俺の顔をまじまじと見つめる。
「……何しに来たのよ」
「丁度近くを通りかかっただけで……」
「あっそ。それだけ?じゃあ、閉めるわよ」
茉莉は、僅かに開いている戸を閉めようとする。
「いやいや、冗談だって。その、なんだ。……あんな事言われたら、来ない訳にもいかないかなって」
気恥ずかしくなって、明後日の方を向いてしまう。茉莉がどんな顔をしていたのかは、分からなかった。
「ふ、ふーん。そんな事なら仕方ないわね。今日は私しかいないから特別に中に入れてあげてもいいけど!早く入りなさいよ!」
茉莉は玄関を開け放ち、そのまま家の中に入っていってしまった。
「まったく、相変わらずだな」
俺も、それに準じて家に上がった。
部屋に入ると、茉莉がいきなり抱きついてきた。
「ド、ドウサレマシタカ?」
「……ちょっとだけこうさせて」
泣きそうな声でそう言った茉莉の頭を、俺は優しく撫でた。
「なんでそんなに優しいのよ」
入学した頃は生意気に喧嘩を売ってきた茉莉が、今はこうしてしおらしくなっている。人の変化はすごいものだなと思う。
「別に、俺も会いたかっただけだが」
……かく言う俺も、人のことは言えないなと苦笑する。
「……なんで笑うのよ」
「茉莉、入学した頃からずいぶん変わったよなって」
「仕方ないでしょ。……どう接すれば良いのか、わからなかったんだから」
「喧嘩ばかりだったからな」
「気に食わなかったのよ」
「それじゃ今がこんなに甘えてきて」
「……こんなんじゃ嫌?」
「嫌じゃない。むしろ、嬉しいかな」
「……」
茉莉の俺に回した腕が、強くなった気がした。
「あの日、あんな別れ方したから。ずっと謝らなくちゃと思って」
「茉莉が気にする事じゃない。俺こそ、カッコ悪いところ見せてごめんな」
「あの時、一緒に飲み物取りに行けばよかった」
「結果論だ。茉莉のこんな一面も見れたし、俺は得したと思ってるぞ」
「……うるさい、バカ」
茉莉は、俺の胸に顔を埋めて、泣いてしまった。
しばらくして、ようやく落ち着いた茉莉は、恥ずかしそうに布団をかぶっている。
「……こっち見んな、バカ」
「そんなこと言われても」
「うるさい、バカ」
「……語尾がバカになってるぞ」
「良いのよ、バカ」
「……そっか」
しばらく無言の空間が流れる。先に口を開くのは、いつも通り茉莉だった。
「ねえ」
「どうした?」
「……寂しかった」
「それは……ごめん」
「それ、本当に思ってる?」
「うん」
「……じゃあ、キスして」
「……分かった」
俺は布団をかぶった茉莉の近くに寄る。茉莉も、かぶっていた布団から出てきている。
「本当に良いのか?」
「恥ずかしいんだから。早くしてよ」
「お、おう……」
俺と茉莉は、ゆっくりと口付けを交わした。
お互いの愛を確かめ合うように、何度も。
そうして、時間は俺たちを見守るかのように、緩やかに流れていった。
あの日殴られたせいで肋骨の完治が遅くなったが、体に異変はない。それよりも、茉莉との関係が、以前より悪くなったような気がして、生きた心地がしない。
メッセージのやりとりも少なく、彼女は今何をしているのだろうかと、不安になることもあった。
今日も何もなく一日が過ぎるのかと、落胆しかけた昼下がり。茉莉からメッセージが届いた。
『会いたい』
たった一言だけの本文。だが、その一言は俺を動かすのに十分すぎた。
俺は急いで身支度をし、家を出た。
気付くと、俺は茉莉の家の前まで来ていた。恐る恐るチャイムを鳴らすと、少しやつれた茉莉がドアを開けた。
「はい、どちら様です……って、えぇ!?」
俺を見て驚いたのか、彼女はすぐにドアを閉めてしまった。
「いや、おい!いくら何でもそれは酷いだろ!」
慌てて茉莉を呼び止めると、彼女は目が見える分だけ戸を開けて、俺の顔をまじまじと見つめる。
「……何しに来たのよ」
「丁度近くを通りかかっただけで……」
「あっそ。それだけ?じゃあ、閉めるわよ」
茉莉は、僅かに開いている戸を閉めようとする。
「いやいや、冗談だって。その、なんだ。……あんな事言われたら、来ない訳にもいかないかなって」
気恥ずかしくなって、明後日の方を向いてしまう。茉莉がどんな顔をしていたのかは、分からなかった。
「ふ、ふーん。そんな事なら仕方ないわね。今日は私しかいないから特別に中に入れてあげてもいいけど!早く入りなさいよ!」
茉莉は玄関を開け放ち、そのまま家の中に入っていってしまった。
「まったく、相変わらずだな」
俺も、それに準じて家に上がった。
部屋に入ると、茉莉がいきなり抱きついてきた。
「ド、ドウサレマシタカ?」
「……ちょっとだけこうさせて」
泣きそうな声でそう言った茉莉の頭を、俺は優しく撫でた。
「なんでそんなに優しいのよ」
入学した頃は生意気に喧嘩を売ってきた茉莉が、今はこうしてしおらしくなっている。人の変化はすごいものだなと思う。
「別に、俺も会いたかっただけだが」
……かく言う俺も、人のことは言えないなと苦笑する。
「……なんで笑うのよ」
「茉莉、入学した頃からずいぶん変わったよなって」
「仕方ないでしょ。……どう接すれば良いのか、わからなかったんだから」
「喧嘩ばかりだったからな」
「気に食わなかったのよ」
「それじゃ今がこんなに甘えてきて」
「……こんなんじゃ嫌?」
「嫌じゃない。むしろ、嬉しいかな」
「……」
茉莉の俺に回した腕が、強くなった気がした。
「あの日、あんな別れ方したから。ずっと謝らなくちゃと思って」
「茉莉が気にする事じゃない。俺こそ、カッコ悪いところ見せてごめんな」
「あの時、一緒に飲み物取りに行けばよかった」
「結果論だ。茉莉のこんな一面も見れたし、俺は得したと思ってるぞ」
「……うるさい、バカ」
茉莉は、俺の胸に顔を埋めて、泣いてしまった。
しばらくして、ようやく落ち着いた茉莉は、恥ずかしそうに布団をかぶっている。
「……こっち見んな、バカ」
「そんなこと言われても」
「うるさい、バカ」
「……語尾がバカになってるぞ」
「良いのよ、バカ」
「……そっか」
しばらく無言の空間が流れる。先に口を開くのは、いつも通り茉莉だった。
「ねえ」
「どうした?」
「……寂しかった」
「それは……ごめん」
「それ、本当に思ってる?」
「うん」
「……じゃあ、キスして」
「……分かった」
俺は布団をかぶった茉莉の近くに寄る。茉莉も、かぶっていた布団から出てきている。
「本当に良いのか?」
「恥ずかしいんだから。早くしてよ」
「お、おう……」
俺と茉莉は、ゆっくりと口付けを交わした。
お互いの愛を確かめ合うように、何度も。
そうして、時間は俺たちを見守るかのように、緩やかに流れていった。
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