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修学旅行も三日目に入った。スキー研修はこの日の午前中で終わり、午後からは東京観光のために移動する予定となっている。
「スキーももう終わりかぁ」
ウェアに着替えながら、輝樹は楽しかったなと呟く。
「まだ後半日あるだろ」
「そうだっけ?」
何のためにウェアに着替えてるんだよ。ふざける輝樹を小突いて、俺はさっさとゲレンデに降りた。
一面に広がる天然の雪。最初こそ関心はしたが、三日間同じ光景を見てきたので、何も感じなくなっていた。
「純、ちょっと待ってくれよ~」
少し遅れて、輝樹が出てきた。横には女子生徒がいる。
俺が初日にロビーで衝突した子だ。
「入り口でこの子に声をかけられてさ。お前が初日にぶつかった子。わかるだろ?」
「あぁ、うん」
「この子がお前に用があるみたいなんだわ。俺も急用ができたところだったし、丁度良いと思って連れて来た!」
輝樹はその子の肩を押して俺の前に立たせると、そそくさとその場から離脱した。
「えぇ、もっと説明してくれよ……」
二度話したことがあるとはいえ、ほとんど初対面の女子だ。いきなり二人きりにされても困る。俺はどうすれば良いのかわからず、頭を抱えた。
「あの……」
不意に、彼女が声をかけてきた。
「少し、話しませんか?」
その子の名前は青山玲。明るい茶髪で大きい目をしていて、スクールカーストでは上位にいそうな容姿だ。
話をする中で、彼女は俺の事が好きだと言った。
「どうして俺の事を?」
「えっと、二日前にロビーでぶつかっちゃった時に……その、一目惚れしてしまって……」
恥ずかしそうに俯く彼女は、どうやら嘘をついているわけではないようだ。
「一目惚れか……」
「……変ですか?」
「いやいや、変だなんてそんな。俺なんかを好きになるなんて、随分物好きだなとしか思ってないですよ」
「それ、愛佳ちゃんにも言われました……」
愛佳というのはおそらく、青山さんの横にいた人だろう。自分が不細工な自覚はあるが、少し失礼じゃないか?
「じゃあなんで?」
「人に止められたくらいで恋を諦めるなんて、馬鹿です!とんだ大バカです!」
青山さんは急に立ち上がって、熱弁しだした。
「そ、そうですか……」
「あ……すみません」
彼女は顔を赤くして、また座り込んだ。一瞬だけ周囲の視線が俺たちに集まったが、しばらくすると何事もなく時は動きだした。
「それで、俺のどんなところに惚れたんですか?」
「それは、一番は顔ですけど……転んじゃった私にすぐ手を貸してくれて、優しいなぁって……」
青山さんは頬を赤く染め上げて、上目遣いで俺を見る。彼女のするこの仕草は、誰がどう見ても可愛いと言うだろう。
容姿端麗な女の子が自分を好いている。その事実は嬉しいのだが、俺には心残りがあった。
「正直に言って、青山さんが俺の事を好きなのは、すごく嬉しい。でも、俺は君のことを、本気で好きにはなれないと思う。ごめん」
「……そう、ですか」
「うん。話を聞いてもらっても、良いかな」
「分かりました」
青山さんは少し考えて、首を縦に振った。
俺がこれから青山さんに話す内容は、俺にとって一番辛い事。数ヶ月前まで隣にいた、最愛の人のことだ。
俺は昨夜、茉莉の分まで生きて、幸せになると誓った。それが、新しく恋人を作る事なのかは分からない。
青山さんの告白は嬉しかったし、俺の事を好いてくれていると言うのなら、付き合っても良いのだろうか。
この話を聞いて、彼女がどう思うのか。
話を聞いた後でも俺のことを好きでいてくれるなら、彼女との交際を考えてみても、良いのかもしれない。
俺はゆっくりと、話を始めた。
「スキーももう終わりかぁ」
ウェアに着替えながら、輝樹は楽しかったなと呟く。
「まだ後半日あるだろ」
「そうだっけ?」
何のためにウェアに着替えてるんだよ。ふざける輝樹を小突いて、俺はさっさとゲレンデに降りた。
一面に広がる天然の雪。最初こそ関心はしたが、三日間同じ光景を見てきたので、何も感じなくなっていた。
「純、ちょっと待ってくれよ~」
少し遅れて、輝樹が出てきた。横には女子生徒がいる。
俺が初日にロビーで衝突した子だ。
「入り口でこの子に声をかけられてさ。お前が初日にぶつかった子。わかるだろ?」
「あぁ、うん」
「この子がお前に用があるみたいなんだわ。俺も急用ができたところだったし、丁度良いと思って連れて来た!」
輝樹はその子の肩を押して俺の前に立たせると、そそくさとその場から離脱した。
「えぇ、もっと説明してくれよ……」
二度話したことがあるとはいえ、ほとんど初対面の女子だ。いきなり二人きりにされても困る。俺はどうすれば良いのかわからず、頭を抱えた。
「あの……」
不意に、彼女が声をかけてきた。
「少し、話しませんか?」
その子の名前は青山玲。明るい茶髪で大きい目をしていて、スクールカーストでは上位にいそうな容姿だ。
話をする中で、彼女は俺の事が好きだと言った。
「どうして俺の事を?」
「えっと、二日前にロビーでぶつかっちゃった時に……その、一目惚れしてしまって……」
恥ずかしそうに俯く彼女は、どうやら嘘をついているわけではないようだ。
「一目惚れか……」
「……変ですか?」
「いやいや、変だなんてそんな。俺なんかを好きになるなんて、随分物好きだなとしか思ってないですよ」
「それ、愛佳ちゃんにも言われました……」
愛佳というのはおそらく、青山さんの横にいた人だろう。自分が不細工な自覚はあるが、少し失礼じゃないか?
「じゃあなんで?」
「人に止められたくらいで恋を諦めるなんて、馬鹿です!とんだ大バカです!」
青山さんは急に立ち上がって、熱弁しだした。
「そ、そうですか……」
「あ……すみません」
彼女は顔を赤くして、また座り込んだ。一瞬だけ周囲の視線が俺たちに集まったが、しばらくすると何事もなく時は動きだした。
「それで、俺のどんなところに惚れたんですか?」
「それは、一番は顔ですけど……転んじゃった私にすぐ手を貸してくれて、優しいなぁって……」
青山さんは頬を赤く染め上げて、上目遣いで俺を見る。彼女のするこの仕草は、誰がどう見ても可愛いと言うだろう。
容姿端麗な女の子が自分を好いている。その事実は嬉しいのだが、俺には心残りがあった。
「正直に言って、青山さんが俺の事を好きなのは、すごく嬉しい。でも、俺は君のことを、本気で好きにはなれないと思う。ごめん」
「……そう、ですか」
「うん。話を聞いてもらっても、良いかな」
「分かりました」
青山さんは少し考えて、首を縦に振った。
俺がこれから青山さんに話す内容は、俺にとって一番辛い事。数ヶ月前まで隣にいた、最愛の人のことだ。
俺は昨夜、茉莉の分まで生きて、幸せになると誓った。それが、新しく恋人を作る事なのかは分からない。
青山さんの告白は嬉しかったし、俺の事を好いてくれていると言うのなら、付き合っても良いのだろうか。
この話を聞いて、彼女がどう思うのか。
話を聞いた後でも俺のことを好きでいてくれるなら、彼女との交際を考えてみても、良いのかもしれない。
俺はゆっくりと、話を始めた。
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