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青山玲の気持ち
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神林茉莉という人物は、俺にとって最高の彼女だった。
第一印象こそ悪く喧嘩ばかりしていたが、一度彼女に惹かれると、次から次へと魅力を感じる部分が多くなった。
彼氏である俺の事を最優先に考えてくれるし、ダメだと指摘されたところは、直す努力をする。
……理想の彼女だった。
神林茉莉は、事故で亡くなった。
九月一日。結婚しようと誓った、その次の日に。
俺は絶望した。大切な人を失う悲しみを、初めて知った。
こんな思いをするなら、恋人なんていらない。そう思った。
彼女を亡くした日、夢を見た。
「お前が死ねば良かったのに」と、そう言われた。
それから毎日のように同じ夢を見た。茉莉との思い出の場所で、首を絞められて、殺されそうになったこともあった。
彼女は俺を恨んでいるんだと、悟った。
俺は彼女を置いて幸せになってはいけない。どうせなら死んでしまおう。そう考えた時もあった。
川嶋輝樹から、茉莉のSNSのことを聞いた。
彼女は俺の事を、心から愛してくれていた。『大好き』『愛してる』この二つの言葉で溢れていた。
こんなにも愛してくれていたのに、どうしようもない事故で俺を恨むなんて、彼女がするはずがない。輝樹の言葉で、我に帰った。
前を向きたくない。必死に現実逃避してきた自分が、壊された。
俺は、前を向いて良いのか。その問いに、茉莉が答えてくれた気がした。
「私の分まで幸せになって」と言われた気がした。
青山さんは、俺の話を静かに聞いていた。話が終わると、少し考える素振りを見せる。
「島崎さんは、今もまだ神林さんのことが好きですか?」
「……うん」
「そうですか……」
彼女は押し黙ってしまった。未だに死んだ恋人のことが好きだなんて、幻滅するのも無理はないか。
彼女は俯いて、黙ってしまった。
二人とも黙ってしまって、沈黙だけがこの空間を支配していた。
それからなんの進展もないまま、午前中のスキー研修は幕を閉じた。
俺と青山さんは、一緒に東京観光をする約束をして、その場を後にした。
午後は東京への移動時間だ。
「なあ、純」
「……何?」
聞きたい事は大体想像できる。どうせからかうつもりだろう。
「青山さんと、何か進展はあったか?」
「……告白はされた。でも、彼女にもうその意思はないと思うよ」
「なんで?」
正直に話すと、輝樹は話に食いついてきた。
「茉莉の事を話したんだ。嘘偽りなく、全部」
「それだけで?」
「茉莉の事がまだ好きなのかと聞かれた。肯定したら、それきり話が進まなくなった」
「……そうか。お前もお前で、心の整理が難しいもんな」
「……そうだね」
沈黙が流れる。輝樹は痺れを切らして、俺に話しかけてきた。
「明日の観光はどうするんだ?」
「一応、青山さんと一緒に観光する予定」
青山さんとの予定がある事を知って安心したのか、輝樹は笑った。
「そうか、頑張れよ」
「うん」
それから、輝樹は東京に着くまでの間、俺に話しかけてこなかった。
気持ちの整理をする時間をくれたのだろう。粋な計らいをしてくれる彼は、俺にとってはとてもありがたい存在だ。
俺は新幹線の中で一人、青山さんの事を考えた。
第一印象こそ悪く喧嘩ばかりしていたが、一度彼女に惹かれると、次から次へと魅力を感じる部分が多くなった。
彼氏である俺の事を最優先に考えてくれるし、ダメだと指摘されたところは、直す努力をする。
……理想の彼女だった。
神林茉莉は、事故で亡くなった。
九月一日。結婚しようと誓った、その次の日に。
俺は絶望した。大切な人を失う悲しみを、初めて知った。
こんな思いをするなら、恋人なんていらない。そう思った。
彼女を亡くした日、夢を見た。
「お前が死ねば良かったのに」と、そう言われた。
それから毎日のように同じ夢を見た。茉莉との思い出の場所で、首を絞められて、殺されそうになったこともあった。
彼女は俺を恨んでいるんだと、悟った。
俺は彼女を置いて幸せになってはいけない。どうせなら死んでしまおう。そう考えた時もあった。
川嶋輝樹から、茉莉のSNSのことを聞いた。
彼女は俺の事を、心から愛してくれていた。『大好き』『愛してる』この二つの言葉で溢れていた。
こんなにも愛してくれていたのに、どうしようもない事故で俺を恨むなんて、彼女がするはずがない。輝樹の言葉で、我に帰った。
前を向きたくない。必死に現実逃避してきた自分が、壊された。
俺は、前を向いて良いのか。その問いに、茉莉が答えてくれた気がした。
「私の分まで幸せになって」と言われた気がした。
青山さんは、俺の話を静かに聞いていた。話が終わると、少し考える素振りを見せる。
「島崎さんは、今もまだ神林さんのことが好きですか?」
「……うん」
「そうですか……」
彼女は押し黙ってしまった。未だに死んだ恋人のことが好きだなんて、幻滅するのも無理はないか。
彼女は俯いて、黙ってしまった。
二人とも黙ってしまって、沈黙だけがこの空間を支配していた。
それからなんの進展もないまま、午前中のスキー研修は幕を閉じた。
俺と青山さんは、一緒に東京観光をする約束をして、その場を後にした。
午後は東京への移動時間だ。
「なあ、純」
「……何?」
聞きたい事は大体想像できる。どうせからかうつもりだろう。
「青山さんと、何か進展はあったか?」
「……告白はされた。でも、彼女にもうその意思はないと思うよ」
「なんで?」
正直に話すと、輝樹は話に食いついてきた。
「茉莉の事を話したんだ。嘘偽りなく、全部」
「それだけで?」
「茉莉の事がまだ好きなのかと聞かれた。肯定したら、それきり話が進まなくなった」
「……そうか。お前もお前で、心の整理が難しいもんな」
「……そうだね」
沈黙が流れる。輝樹は痺れを切らして、俺に話しかけてきた。
「明日の観光はどうするんだ?」
「一応、青山さんと一緒に観光する予定」
青山さんとの予定がある事を知って安心したのか、輝樹は笑った。
「そうか、頑張れよ」
「うん」
それから、輝樹は東京に着くまでの間、俺に話しかけてこなかった。
気持ちの整理をする時間をくれたのだろう。粋な計らいをしてくれる彼は、俺にとってはとてもありがたい存在だ。
俺は新幹線の中で一人、青山さんの事を考えた。
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