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誤解
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夏休みの間、玲からの連絡は一切来なかった。何度俺が弁明しようと電話をかけても、玲がそれに応じることはなく、そのまま二学期へと突入した。
学校に着いたのは、ホームルームが始まる直前だった。いつもならもっと早く登校するのだが、玲との一件のせいで学校に行くのが億劫だった。
自分の席に座ると、輝樹が近付いてくるのが分かった。
「お前、青山さんと喧嘩したらしいな?」
輝樹はいたずらっ子のような笑みを浮かべて、肩に腕を回してくる。誰から聞いたのか、口ぶりからして輝樹は全て知っているようだ。
「……喧嘩なんて生ぬるいものじゃないよ」
「なんでもお前の浮気現場を見てたやつがいるとかいないとか……」
俺でさえ身に覚えのないことを、何故見た人がいるのだろうか。でたらめだ。
「俺が浮気するように見えるか?」
輝樹のことだ。きっと分かってくれるだろう。こいつから本当は違うと弁明してもらえれば、誤解も解けるに違いない。
「元カノを亡くして塞ぎ込むような奴は、浮気なんてしないよな」
「……まあな」
「俺は信じてたぜ。お前は浮気なんてする奴じゃない」
やはり、輝樹は俺の良き理解者だ。彼が友達で本当に良かったと思う。すると、輝樹は悲しそうな表情で俺を見る。
「でもな……お前と青山さんが喧嘩した日、実際に見たってやつが写真を撮ってるんだよ」
輝樹がそう言って俺の前に見せてきた写真には、俺が能海と一緒に、喫茶店に入っていくところが写し出されている。
能海はただ同じ塾だというだけで、そんな関係ではない。あの時はただ、能海を落ち着かせようとしていただけで、それ以上の感情はなかった。
俺が必死に弁明しようとすると、輝樹はやれやれといった様子で俺を殴る。
「これを見て、お前に釈明の余地は残ってると思うか?」
そこで、ホームルームの始まりを告げるチャイムが鳴った。輝樹は憐みの目で俺を見て、自分の席へと帰って行く。
確かに、あの写真を傍から見たら、誰もが浮気だと思うだろう。きちんと玲に会って、誤解を解かなければいけないな……。
下校時間になると、俺は真っ先に玲のクラスへ向かった。校門前、友達と談笑しながら歩く玲の後姿は、俺は必要ないと言われているようだ。
俺は勇気を振り絞って、玲の名前を呼ぶ。
「れ、玲!ちょっと待って……」
一瞬だけ立ち止まった彼女は、自分じゃないといった様子でまた歩き始める。俺は、もう一度彼女を呼び止めた。
「話がしたいんだ。少しだけでもいいから……」
玲の周りを囲む女友達たちは、俺のことをゴミを見るような目つきで見てくる。彼女たちにも話がいっているのだろう。今の俺の印象は、さしずめ浮気した屑野郎といったところか。
何度も玲の名前を呼んでいると、彼女は観念したのか、目に沢山の涙を浮かべて振り返った。
「本当に少しだけなら……いいよ」
取り巻きたちは何かを察したのか、その場から逃げるようにいなくなった。
学校に着いたのは、ホームルームが始まる直前だった。いつもならもっと早く登校するのだが、玲との一件のせいで学校に行くのが億劫だった。
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「俺が浮気するように見えるか?」
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そこで、ホームルームの始まりを告げるチャイムが鳴った。輝樹は憐みの目で俺を見て、自分の席へと帰って行く。
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何度も玲の名前を呼んでいると、彼女は観念したのか、目に沢山の涙を浮かべて振り返った。
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