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星の書庫

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戦いの歴史

決戦(2)

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    「エイラ……。ごめんな」

    キーラが死んだ。三人にはまだその事実が受け止められなかった。だが、最も三人を困惑させたのはエイルの存在だった。
「エイルくん……。フローリア軍に入っちゃったのかな」
「おそらく……。無理もないでしょうが、なぜでしょう。あんなに恨んでいたのに……。まして、妹さんまで殺されてしまったというのに」
「あたしは、操られているんだと思うな。彼の目を見たかい?あれは、この世を見ていなかったよ」
「そう……。精霊は何と言っているの?」
「…………あれがあの子の運命、とだけ」
シンカーは槍使いでもあるが、精霊使いでもあった。精霊には人の運命が見えるため、度々シンカーに教えてくれるらしい。……大切な仲間の、残酷な未来までも。

「エイル殿、そろそろフローリア軍のアジトに行きましょうか」
「……あぁ。案内を頼む、と言っても、あの巨大な城なんだろう?」
「えぇ。表向きではそうなってますね」
「どういう事だ?」
「詳しくはアジトでお話ししましょう。まずはフローリア様に会ってもらいます。瞬間移動テレポーター
    二人の体は、闇に吸い込まれて行った。
「…………ここは」
「私達の根城ですよ」
「嘘だろ?ここは、俺の家だ」
「えぇ。バベルはカモフラージュでございます。フローリア様自らここが良いとおっしゃったのでね。さぁ、中にお入りください」
「……あぁ」
促されるままに中に入ると、エイルは不思議な感覚に陥った。
「なんだ、これ?落ちる……」
「…………ふふふっ」
    エイルが家の中にのを見ながら、男は終始笑っているだけだった。

「待っていましたよ。エイル」
「……待ってた」
暫く落ちて、地に足がつくようになると正面から二人の女の声がした。その二つの声は、なぜか聞き覚えのあるものだった。
「あんたらがフローリアか……ッ⁉︎どういう事だ⁉︎なぜ、なぜ…………⁉︎」
「私はフローリアです。はじめまして」
「私もフローリア」
    そこにいたのは、殺されたはずの母と妹に酷似した魔族だった。二人ともフローリアと名乗っている。
「エイル、よく戻ってきてくれました。ご褒美をあげないと……」
「力、戻さないと……」
「そうですね。こっちに来なさい」
「あ?あぁ……」
「「再構成リソース」」
「がッ……⁉︎なっ、何をする!」
「あなたの力を構築し直しています」
「作り変え」
「作り変え……?」
    エイルはそこで気を失った。

    どのくらい寝ていただろうか。いつの間にか、玉座に座って水晶を眺めていた。
「起きましたか」
「エイル、起きた」
声のした方を見ると、大切だったはずの二人がいた。
「水晶を覗いてください」
「覗いて」
言われた通りにすると、そこにはバベルにある城が映っていた。正確には、城と、そこで戦う三人の姿だった。
「最後の決戦です。あの子達を倒して、この世界を支配しましょう」
「私たちの世界」
「…………」
    横の二人の言葉には、どこか楽しげな雰囲気があった。それでいて、形容しがたいような憎悪が感じ取れた。

    画面の中では、ヘルンの首がはねられたところだった。
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