37 / 57
入店3回目 6 ~こ、これが私ですか!?~
しおりを挟む
「それにしても純さんグッジョブっすね! 愛香ちゃんをこんなに可愛く変えちゃうなんて」
「俺は別に何もしてないよ。元々愛香ちゃんにこれだけ可愛くなるポテンシャルがあったってことでしょ」
はわわわ、純さん、顔だけじゃなく心までイケメンすぎます。
純さんが先日美容院に誘ってくださらなければ、私が自分から外見を変える努力なんて思い付きもしなかったはずです。
「いえ、本当に純さんのお陰です。ありがとうございます」
そういえばまだきちんとお礼を言っていなかったことにそこで気づいた私は、改めて純さんに向き直って感謝の言葉を伝えました。
「どういたしまして」
にっこり笑ってそう言った純さんと一瞬目が合いました。
思わずその瞳に引き込まれそうになって、純さんから目が離せなくなります。
純さんも目をそらさなかったので、図らずも見つめ合う結果に。
周囲の音が消えて、視界には純さんしか映らなくなります。
このまま二人だけの世界に入っていけたらいいのに・・・。
「ヒューヒュー。お二人さん、熱いねぇ」
甘い雰囲気になりかけたと思った直後、泰知さんが全部ぶち壊してくださいました。
ていうか、その煽り昭和の小学生ですよ、泰知さん。
さすがの私も頬を膨らませたくなります。
何か一言泰知さんに言おうかと口を開きかけた途端、店内に大音量の音楽が響きました。
あ、これはシャンパンコールが始まる合図ですね。
「ごめんね、ちょっと行ってくる」
言葉と共に純さんと泰知さんは立ち上がります。
私は手を振ってお見送り。
初回の時は訳も分からずただただ圧倒されるだけでしたが、このシャンパンコールの熱気が私は意外と好きかもしれないです。
ホストクラブのホストさんたちは同僚であると同時に日々ランキングを競うライバル同士でもあると思うのですが、その彼らが一体となってお店を盛り上げている姿を見るのは、なんというか「男の絆」みたいなものを感じてしまうのです。
それに、コールに参加している時の純さんは掛け値なしに本当に楽しげで・・・。
このお店とこの仲間たちとこのお仕事が心底お好きなんだなぁというのがストレートに伝わってきます。
コールが終わると恒例のお姫の一言タイム。
「え、と。今日は夜羽くんとケンカしてしまったので、その仲直りのためにシャンパン入れました。これからも応援するので頑張ってください」
ところが、そのお姫の一言にホストさんたちはざわついています。
・・・? 何か問題発言でもあったでしょうか。
ほどなくして純さんは私のお隣に帰っていらっしゃいました。
「お帰りなさい」
普通に労いの言葉をかけたのですが、純さんが心なしウキウキなさっているのが感じられます。
「ケンカして仲直りしたらシャンパン入れてくれるんだって」
あー、そういうことですか。
ていうか純さん? そんな期待に満ちたキラキラした瞳で私をご覧になっても無理ですからね?
純さんとケンカなんてしたら私泣いてしまいます。
それよりもシャンパンて・・・やっぱり入れた方がいいんでしょうか。
以前雑談の際にそんな話が出た時、純さんは
「シャンパン入れてくれるならそのお金で指名増やしてほしいな」
と確かおっしゃっていたんです。
あくまでも指名数にこだわる純さんらしいなと思いましたし、純さんがそのおつもりでいらっしゃるなら私は指名数に貢献することだけに注力しようと考えたのですが・・・。
まぁ、シャンパン入れるのってとってもホストクラブらしいですし、ちょっと一度やってみたくはあります。
ただ、皆さまの前で一言発言しなければいけないのが私にとっては若干苦痛でしょうか。
――入店三回目の夜は、そんな感じでふけていきました。
「俺は別に何もしてないよ。元々愛香ちゃんにこれだけ可愛くなるポテンシャルがあったってことでしょ」
はわわわ、純さん、顔だけじゃなく心までイケメンすぎます。
純さんが先日美容院に誘ってくださらなければ、私が自分から外見を変える努力なんて思い付きもしなかったはずです。
「いえ、本当に純さんのお陰です。ありがとうございます」
そういえばまだきちんとお礼を言っていなかったことにそこで気づいた私は、改めて純さんに向き直って感謝の言葉を伝えました。
「どういたしまして」
にっこり笑ってそう言った純さんと一瞬目が合いました。
思わずその瞳に引き込まれそうになって、純さんから目が離せなくなります。
純さんも目をそらさなかったので、図らずも見つめ合う結果に。
周囲の音が消えて、視界には純さんしか映らなくなります。
このまま二人だけの世界に入っていけたらいいのに・・・。
「ヒューヒュー。お二人さん、熱いねぇ」
甘い雰囲気になりかけたと思った直後、泰知さんが全部ぶち壊してくださいました。
ていうか、その煽り昭和の小学生ですよ、泰知さん。
さすがの私も頬を膨らませたくなります。
何か一言泰知さんに言おうかと口を開きかけた途端、店内に大音量の音楽が響きました。
あ、これはシャンパンコールが始まる合図ですね。
「ごめんね、ちょっと行ってくる」
言葉と共に純さんと泰知さんは立ち上がります。
私は手を振ってお見送り。
初回の時は訳も分からずただただ圧倒されるだけでしたが、このシャンパンコールの熱気が私は意外と好きかもしれないです。
ホストクラブのホストさんたちは同僚であると同時に日々ランキングを競うライバル同士でもあると思うのですが、その彼らが一体となってお店を盛り上げている姿を見るのは、なんというか「男の絆」みたいなものを感じてしまうのです。
それに、コールに参加している時の純さんは掛け値なしに本当に楽しげで・・・。
このお店とこの仲間たちとこのお仕事が心底お好きなんだなぁというのがストレートに伝わってきます。
コールが終わると恒例のお姫の一言タイム。
「え、と。今日は夜羽くんとケンカしてしまったので、その仲直りのためにシャンパン入れました。これからも応援するので頑張ってください」
ところが、そのお姫の一言にホストさんたちはざわついています。
・・・? 何か問題発言でもあったでしょうか。
ほどなくして純さんは私のお隣に帰っていらっしゃいました。
「お帰りなさい」
普通に労いの言葉をかけたのですが、純さんが心なしウキウキなさっているのが感じられます。
「ケンカして仲直りしたらシャンパン入れてくれるんだって」
あー、そういうことですか。
ていうか純さん? そんな期待に満ちたキラキラした瞳で私をご覧になっても無理ですからね?
純さんとケンカなんてしたら私泣いてしまいます。
それよりもシャンパンて・・・やっぱり入れた方がいいんでしょうか。
以前雑談の際にそんな話が出た時、純さんは
「シャンパン入れてくれるならそのお金で指名増やしてほしいな」
と確かおっしゃっていたんです。
あくまでも指名数にこだわる純さんらしいなと思いましたし、純さんがそのおつもりでいらっしゃるなら私は指名数に貢献することだけに注力しようと考えたのですが・・・。
まぁ、シャンパン入れるのってとってもホストクラブらしいですし、ちょっと一度やってみたくはあります。
ただ、皆さまの前で一言発言しなければいけないのが私にとっては若干苦痛でしょうか。
――入店三回目の夜は、そんな感じでふけていきました。
0
あなたにおすすめの小説
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
Re.start ~学校一イケメンの元彼が死に物狂いで復縁を迫ってきます~
伊咲 汐恩
恋愛
高校三年生の菊池梓は教師の高梨と交際中。ある日、元彼 蓮に密会現場を目撃されてしまい、復縁宣言される。蓮は心の距離を縮めようと接近を試みるが言葉の履き違えから不治の病と勘違いされる。慎重に恋愛を進める高梨とは対照的に蓮は度重なる嫌がらせと戦う梓を支えていく。後夜祭の時に密会している梓達の前に現れた蓮は梓の手を取って高梨に堂々とライバル宣言をする。そして、後夜祭のステージ上で付き合って欲しいと言い…。
※ この物語はフィクションです。20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。
この作品は「魔法のiらんど、野いちご、ベリーズカフェ、エブリスタ、小説家になろう」にも掲載してます。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冷徹社長は幼馴染の私にだけ甘い
森本イチカ
恋愛
妹じゃなくて、女として見て欲しい。
14歳年下の凛子は幼馴染の優にずっと片想いしていた。
やっと社会人になり、社長である優と少しでも近づけたと思っていた矢先、優がお見合いをしている事を知る凛子。
女としてみて欲しくて迫るが拒まれてーー
★短編ですが長編に変更可能です。
俺と結婚してくれ〜若き御曹司の真実の愛
ラヴ KAZU
恋愛
村藤潤一郎
潤一郎は村藤コーポレーションの社長を就任したばかりの二十五歳。
大学卒業後、海外に留学した。
過去の恋愛にトラウマを抱えていた。
そんな時、気になる女性社員と巡り会う。
八神あやか
村藤コーポレーション社員の四十歳。
過去の恋愛にトラウマを抱えて、男性の言葉を信じられない。
恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。
そんな時、バッグを取られ、怪我をして潤一郎のマンションでお世話になる羽目に......
八神あやかは元恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。そんな矢先あやかの勤める村藤コーポレーション社長村藤潤一郎と巡り会う。ある日あやかはバッグを取られ、怪我をする。あやかを放っておけない潤一郎は自分のマンションへ誘った。あやかは優しい潤一郎に惹かれて行くが、会社が倒産の危機にあり、合併先のお嬢さんと婚約すると知る。潤一郎はあやかへの愛を貫こうとするが、あやかは潤一郎の前から姿を消すのであった。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる