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第14杯 ③
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「董子ちゃんもますみさんのお節介に気づいてたか?」
「全然気づかなかった。それにマス姉も今日の事はそんな風に思ってないよ」
「いやっ。いつも他の女とうまくいかせようと、お膳立てするんだよな」
「きっと、マス姉は哲太さんを大事に思ってるからで」
「大事って言われても、男として俺は見てほしいんだ。いつまで経っても俺はますみさんにとって弟でしかないんだろうな」
「弟? そう言えば哲太さんとマス姉ってハイツに住み出してからの知り合い?」
「いや、俺がますみさんと出会ったのは中防の時だよ」
「じゃあ、あたしたちの中じゃ、一番長い付き合いなんだ」
「ああ、ますみさんは憧れだったんだ。だから俺が頼のみ込んで頼み込んで、やっと舎弟にしてもらったんだ」
「舎弟?」
「んっ? ああ、弟分で、その関係が抜けないんだよ、ますみさんは今だに」
「そっか。じゃあ、哲太さんもそっち系だったんだ?」
「まぁな。あん時のますみさんはカッコよかったな」
と、哲太さんが目を細め、遠い記憶を思い出しているらしく、一瞬顔の筋肉が緩んだ。
「ますみさんは硬派で、しかも学校の周辺区域を他の連中(ぼうそうぞく)から、守ってやってたな。怯える連中もいたけど、中には感謝してた奴等もいたな」
「そっか、マス姉って昔っから変わってないんだ」
「ああ、正義感が強くて、すごく真っ直ぐな人だ」
哲太さんがそう言った後の顔が少し誇らしげな顏にみえた。あたしはそれで彼のマス姉への気持ちが十分に伝わってきた。あたしにもそんな風に感じてもらえたり、想ってくれる人がマス姉のようにいつか現れると信じたい。マス姉がすごく羨ましい。こんなに近くに想ってくれる人がいるのに、それに気づかないなんてもったいないよ、とあたしがそんな事を考えていたら、何かを感じたのか哲太さんから突然の質問。
「董子ちゃんにもいるんだろ?」
質問の真意がわからないあたしは哲太さんに聞き返す。
「えっと――――何が?」
「いや、何がって――――」
あたしの態度に自信がなくなったのか、急に顔をポリポリしながら答える哲太さん。
「大事な奴――――がだよ」
「えっ」
思わぬ言葉が哲太さんの口からとび出して、あたしの心臓もとび出しそうな気がした。あたしは困惑するとうまく話せない。
「あ、あっあの」
「慎一の事、好きなんだろ?」
生唾を思わず飲み込んだあたし。そして、言葉を選びながら、なんとか話し出す。
「好きっていうか――――ハッキリまだわからないけど、たぶんそうなるかな」
照れ笑いして答えたあたしに哲太さんはそれ以上突っ込んでくる事もなく、優しく微笑んで返事を返してくれる。
「そっかそっか」
あたしはなんだかそれですごく自分の気持ちが落ちついた気がした。
「全然気づかなかった。それにマス姉も今日の事はそんな風に思ってないよ」
「いやっ。いつも他の女とうまくいかせようと、お膳立てするんだよな」
「きっと、マス姉は哲太さんを大事に思ってるからで」
「大事って言われても、男として俺は見てほしいんだ。いつまで経っても俺はますみさんにとって弟でしかないんだろうな」
「弟? そう言えば哲太さんとマス姉ってハイツに住み出してからの知り合い?」
「いや、俺がますみさんと出会ったのは中防の時だよ」
「じゃあ、あたしたちの中じゃ、一番長い付き合いなんだ」
「ああ、ますみさんは憧れだったんだ。だから俺が頼のみ込んで頼み込んで、やっと舎弟にしてもらったんだ」
「舎弟?」
「んっ? ああ、弟分で、その関係が抜けないんだよ、ますみさんは今だに」
「そっか。じゃあ、哲太さんもそっち系だったんだ?」
「まぁな。あん時のますみさんはカッコよかったな」
と、哲太さんが目を細め、遠い記憶を思い出しているらしく、一瞬顔の筋肉が緩んだ。
「ますみさんは硬派で、しかも学校の周辺区域を他の連中(ぼうそうぞく)から、守ってやってたな。怯える連中もいたけど、中には感謝してた奴等もいたな」
「そっか、マス姉って昔っから変わってないんだ」
「ああ、正義感が強くて、すごく真っ直ぐな人だ」
哲太さんがそう言った後の顔が少し誇らしげな顏にみえた。あたしはそれで彼のマス姉への気持ちが十分に伝わってきた。あたしにもそんな風に感じてもらえたり、想ってくれる人がマス姉のようにいつか現れると信じたい。マス姉がすごく羨ましい。こんなに近くに想ってくれる人がいるのに、それに気づかないなんてもったいないよ、とあたしがそんな事を考えていたら、何かを感じたのか哲太さんから突然の質問。
「董子ちゃんにもいるんだろ?」
質問の真意がわからないあたしは哲太さんに聞き返す。
「えっと――――何が?」
「いや、何がって――――」
あたしの態度に自信がなくなったのか、急に顔をポリポリしながら答える哲太さん。
「大事な奴――――がだよ」
「えっ」
思わぬ言葉が哲太さんの口からとび出して、あたしの心臓もとび出しそうな気がした。あたしは困惑するとうまく話せない。
「あ、あっあの」
「慎一の事、好きなんだろ?」
生唾を思わず飲み込んだあたし。そして、言葉を選びながら、なんとか話し出す。
「好きっていうか――――ハッキリまだわからないけど、たぶんそうなるかな」
照れ笑いして答えたあたしに哲太さんはそれ以上突っ込んでくる事もなく、優しく微笑んで返事を返してくれる。
「そっかそっか」
あたしはなんだかそれですごく自分の気持ちが落ちついた気がした。
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