If I fell

荒深小五郎

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同級生

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就職すると、まずプロフィールを聞かれるのがお約束である。

住所、学歴、出身校……

それによって、僕は職場に同じ高校出身の女性がいることを知った。

しかも、同級生だという。

ただ、同級生と言っても、互いに顔も名前も知らない存在だった。

第二次ベビーブーム世代の僕らは同級生が多い。一学年に五百人近くいる同級生のすべてを覚えているわけもないし、成績が良かったわけでも、スポーツができたわけでも、イケメンでもなかった僕を彼女が知っているわけもなかった。

彼女の方もおとなしいタイプの子で、目立つタイプではなかったようだ。

しかし、そのとき初めて出会った彼女は、特別美人というわけではなかったが、非常に豊満な胸と大きな尻の持ち主で、色気が全身から溢れており、大人の女だなと思ったのを覚えている。

短大卒の彼女は、四大卒の僕より一足先に社会人になっていたわけで、余計に大人の色気を感じたのだと思う。

僕の最初の配属先は総務的な部署で、職場内の物品の管理などをする部署でもあった。

彼女は所属課の庶務担当をしていたようで、よく僕のところに物品をもらいに来た。

すると、自然に会話をするようになり、打ち解けていった。

物品を保管する倉庫で一時間くらい話し込むようなこともあった。

周囲の人間から、「おまえ、あの子を口説いていたのか?」と何度も聞かれたことがある。

口説いていたなんてとんでもないことで、職場内のゴシップやら、上司や同僚の悪口、仕事の話など他愛もない会話をしていたのが実際のところだった。

もちろん、彼女の胸や尻に対し、知的好奇心が皆無だったわけではないが。

何ヶ月かして、彼女がパソコンを買って、インターネットを始めたことを教えてくれた。

当時はWindows95によって、世の中にインターネットというものが普及し始めた頃だった。

光回線が当たり前の現在では想像もつかないだろうが、当時はダイアルアップ接続なんて遅い回線で、HP閲覧やメールのやりとりをしている時代だった。

パソコンは僕の得意分野だった。

プログラムを組むようなことはできなかったが、PC8801なんてパソコンを中学時代から扱い、MS-DOSなんて扱いにくいOSを扱って、パソコンでエロゲーなんかを楽しんでいた。

僕は彼女にわからないことがあったら教えてあげるよ、なんて偉そうなことを言って、メールアドレスを教えてもらったのだった。
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