神様が紡ぐ恋物語と千年の約束

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最終章:神様が紡ぐ恋物語

最終章 2話ー4 ※※

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「ルゥ」

 名を呼ばれ、意識と焦点が現実を捉える。見上げると、自分を愛おしそうに見下ろすレオンハルトがいる。
 ルヴィウスの体は、左側を上に横たえられていた。左足の膝裏を左肘に引っかけるようにして脚を開かせたレオンハルトは、その間に腰を割入れるような体勢でルヴィウスの足に口づける。

「れ、ぉ……―――んぁっ」

 ヒクついたままの後口に、熱くて硬い熱が押し付けられる。ルヴィウスの後口は、その熱に口づけるように、ちゅぅ、と吸い付いた。欲しい、欲しいと、体がレオンハルトを求めている。

「ゆっくり挿れるね」
 宣言し、レオンハルトはゆっくりと腰を押し進める。

「ぁっ、あっ、んっ、あっ、アァ……―――ひっ、ァ……っ」

 入口の浅い部分を、レオンハルトの熱が、ごりっ、と擦り上げていく。達したばかりの内壁が簡単に快楽を拾い、息が止まりそうなほどの刺激にルヴィウスの意識は再び甘く融け始めた。

 レオンハルトは、快楽の波に揺蕩うルヴィウスの恍惚とした表情を見下ろしながら、ゆっくりと腰を進め、ごつっ、と行き止まりにぶつけて甘い嬌声に満足しては、時間を掛けて熱をぎりぎりまで引き抜き、「もっと、して」と懇願させては、再び挿入する動きを繰り返した。
 前からでも後ろからでもない体勢の所為か、いつもより奥へとレオンハルトの熱が届き、苦しいのに離れがたくなるほど密着した結合部が、ルヴィウスの理性をどこか遠くへと追いやる。

 終わることのない快楽を与え続けられるのに、決定的な刺激は遠のいたまま。再びきざし始めたルヴィウスの熱の先端からは、白濁がとろとろと流れ落ちている。
 レオンハルトが与える甘い拷問に攻められ続けるルヴィウスは、いつしか涙を零し、懇願するように訴え始めた。

「れっ、ぉ……っ、ぉね、が……ぃっ、もっ、やぁ……っ!」
「なにが嫌なの?」
「こ、れっ、も…っ、む、り……ぃっ、アァっ」
「どうしてほしい?」
「ぉねが…ぃっ、きっ、て……っ、もっ、と……っ、もっと……っ、め、ちゃく…っ、ちゃにっ、して…ぇ……―――あァ……あぁっ、ひっ!」

 レオンハルトがルヴィウスの左腿を掴み、脚をぐっと広げたところで、ごちゅっ、と一気に奥まで熱を打ち付ける。ルヴィウスは一瞬、呼吸が出来なくなった。目の前に星が散り、はくはく、と声にならない息が唇から漏れる。白濁を吐き出すことなく達したルヴィウスは、眦から涙を零した。

 レオンハルトは達したばかりのルヴィウスの腰を、ゆるゆると揺らす。コツ、コツ、と奥を突かれ、快楽しか拾わなくなったルヴィウスの体は、どこもかしこも甘く蕩けている。潤んだ瞳でレオンハルトを見つめ、言葉にならない吐息を喘ぎ、無意識に彼へと左手を伸ばした。

「れ、ぉ……―――ん、ァっ」

 恍惚とした表情で見つめられたレオンハルトは、ルヴィウスの左手を指を絡めて繋ぐと、ずるり、と熱杭を後口から抜いた。そしてルヴィウスの体勢を仰向けに変え、汗と体液で濡れた腹に硬く膨れた熱を擦りつけながら、覆いかぶさるようにして口づけをする。

「ん…っ、ァ、ん……―――」

 唇を割って入り込んできた熱い舌が、ルヴィウスの口内を蹂躙していく。それに必死に応えているうちに、ルヴィウスの意識は少しだけ冷静さを取り戻す。
 それを待っていたかのように、レオンハルトは唇を離し、僅かに起き上がると、ルヴィウスの体をひっくり返した。
 あっという間にうつ伏せの体勢にさせられたルヴィウスは、ぱちり、と一つ瞬きをする。しかし、何かを思う前に、背中からレオンハルトに圧し掛かられた。そして、耳元で甘く囁かれる。

「ねぇ、ルゥ」

 大好きな声に、ルヴィウスの体は甘く震える。身動きが出来ない状態にさせられて、耳元で囁かれると、足の先から頭の先まで、一気に甘い痺れが走るのだ。まるで、声で体を撫でられているように感じてしまう。

「ルゥ、お願いがあるんだ」

 再び耳元で囁かれ、ルヴィウスはシーツを握りしめて、こくこく、と二度頷く。レオンハルトは自身の熱をルヴィウスの柔らかい双丘の隙間に擦りつけながら、甘く、けれど、はっきりと囁いた。

「ルゥの中に、ぜんぶ入れていい?」

 レオンハルトの逞しい体に圧し掛かられる心地よさに揺蕩っていた意識が、ふっと浮上する。
 ぜんぶ、入れていい? とは、いったい、どういう……? 不思議に思い、僅かに首を動かし、目線だけでレオンハルトを振り返る。
 レオンハルトはルヴィウスの頬に口づたあと、体を起こすと同時に、ルヴィウスの腰を掴んで持ち上げた。力が入らないルヴィウスは、丸い双丘を無防備につき出すような恰好を取らされる。
 後ろから挿入れられるのだと察したルヴィウスは、目の前にあった枕を咄嗟に抱き寄せた。
 ふふっ、と小さな笑い声が頭上から降ってくる。レオンハルトが笑ったようだ。なに? そう聞こうと振り返ろうとした瞬間、背筋を、つぅ、とレオンハルトの指が撫でおろしていく。
 ぴくん、と体が僅かに跳ねた。レオンハルトの指はそのまま腰まで下がり、後口へと向かうかと思わせ、その期待を裏切るように腹側へと回り込んできた。

「ルゥ、俺の可愛いルゥ」

 甘く囁き、背中に口づけを落とされる。強く吸われ、白い肌に所有の赤い痕を付けられたことが分かった。
 ルヴィウスの腹側に回ったレオンハルトの右手が、臍のあたりをぐっと押さえる。

「俺のをぜんぶ挿入れたら、ここまで届くね」

 え……? と、ルヴィウスの思考が現実を捉える。
 これまで、何度も抱き合ってきた。レオンハルトの熱はそのたびに、何度も、何度もルヴィウスの胎の中を蹂躙してきた。どこを擦ればどう反応するか、どこを突けば意識を飛ばすのか、どこをどれくらい攻めれば達するのか、ルヴィウスよりずっと、彼の体を知り尽くしてきたレオンハルト。その彼が、不思議なことを言っている。
 
 
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