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四章 二幕:望まぬ神の代理人
四章 二幕 6話-2 △
「ハロルド」
「はいっ」
タオルを手に駆け寄ってきたハロルドは、ガイルを挟んだルヴィウスの向かいに膝をつく。
「手を握っていてあげて」
「わかりました」
ルヴィウスはガイルの目の上あたりにそっと左手を置いた。そしてレオの言葉を思い出す。
―――まずガイルに昏睡魔法を掛けろ。
「ガイル、ゆっくり休んでね」
ふわり、とルヴィウスの魔力がガイルを包む。苦しそうな息遣いが落ち着き、表情も体の力も抜けて、怪我さえなければただ眠っているように見える。
術のかかり具合を確認したルヴィウスは、次の処置に進む。次は感染症を防ぐための浄化魔法だ。
瘴気を払う時は表面だけを拭いさればいいが、今回は全身打撲に裂傷や切断まで傷の種類が多種に及ぶ。
僅かに考え込んだルヴィウスは、内側と外側、二度に分けて浄化を行うことにした。
ガイルのお腹のあたりに手を置き、じんわりと浸透させるように魔力を流し込み、血管の流れを意識して全身をくまなく巡るように浄化させ、最後は心臓に集めてゆっくり吸い上げ、悪いものを体の外へ出す。
見えない穢れが、ぼこり、と出てきて、ルヴィウスがギュッと手を握ると霧散して消えた。
今度は体表面を撫でるイメージで、傷口は水で洗い流すように、丁寧に、丁寧に全身を浄化する。
ここまでの工程で慎重になり過ぎたのか、ガイルの顔色から生気が抜けてきた。
ルヴィウスは、焦るな、落ち着け、と自分に言い聞かせ、最後の現状維持に取り掛かる。
無機物や有機物の保存魔法を応用する訳だが、ガイルは生きている。
生物に保存魔法を掛けるのはかなりの魔力量と繊細な操作が求められる。呼吸をし、臓器は動き、血液は流れ続けるからだ。それらの活動を止めずに、体の傷の状態だけを維持しなければならない。
「ハロルド、手伝ってほしいことがある」
「はい、なんでもやります」
「僕が合図したら、切断された足の止血帯を切って。今のまま術を掛けると、鬱血したままになって再生できなくなるかも」
「わかりました。任せてください。―――誰か、ハサミを」
衛生兵からハサミを受け取ったハロルドは、すぐに右脚大腿骨あたりに巻かれた止血帯に刃を入れる。そうして準備出来たことを頷く形でルヴィウスへ伝えた。
それを受けて、ルヴィウスはガイルの冷えた手を取る。
両手にガイルの手を包み込み、神経を集中させ、自分の呼吸や鼓動を彼に重ね合わせる。
ガイルの体全部を魔力の膜で覆い、呼吸も血流も細胞の一つでさえも、同体化するかのように。
「切って」
バチン、と止血帯が切れる。
どぷり、と血が溢れ出たが、すぐに止まった。と言うより、断裂面全体が極々僅かに震えている。
血液が動脈から、本来流れていくはずの静脈へと折り返していた。ルヴィウスが、魔法で“生きている状態”を維持しているのだ。
誰も、ひと言も発しなかった。物音一つ立たないよう、全員が気を張りつめる。呼吸すらも忘れてしまいそうになるほどに。
ルヴィウスの中の魔力が、驚くほどのスピードで減っていく。
頬を汗が伝う。心臓が痛み出す。頭痛がして、頭が割れそうだ。
しかしルヴィウスは、自分の体の状態を無視し、ひたすらガイルの体と意識を繋いで術をかけ続けた。
耳鳴りがし始め、手から力が抜けてくる。
まだ、だめ。まだ、倒れるな。ルヴィウスは懸命に自分を鼓舞し、ガイルの治療に集中する。しかし、レオンハルトのように魔力を増やす制御魔法は使えない。ルヴィウスの魔力に底が見えてきた。
ぐらり、とルヴィウスの体が揺れる。心の中でレオンハルトを呼んだ。まさにその時、逞しい腕がルヴィウスを背中から抱きとめた。
「ルゥ、よく頑張った。あとは俺に任せて」
ガイルの手をルヴィウスから受け継いだレオンハルトは、すぐに魔法を展開する。
右脚の傷口を、血が溢れないよう維持したまま、まず傷ついた臓器を再生する。
その処置をしている間に、くたり、とレオンハルトにもたれかかっていたルヴィウスを、シェラが引き受け、横抱きにし、幕舎からそっと連れ出した。
レオンハルトは続いて、骨折、筋肉の断裂、血管破裂の治療をし、右脚以外の傷口を塞ぐ。内蔵や脳の損傷を探知魔法で確認し、必要な箇所に治癒を掛ける。
最後に右脚へと両手をかざし、ゆっくり、ゆっくりと、失った足を再生させていった。
骨から始まり、神経、血管、筋肉、皮膚。ガイルが失ったものが、みるみるうちに元に戻っていく。
爪の先まで綺麗に元に戻ったところで、レオンハルトは、パチン、と指を鳴らした。
ふっ、とガイルが瞼を上げる。
「殿下…?」
わぁっ、と周りが歓声をあげた。ガイルは、死の淵から蘇ったのだ。
「何かあれば呼べと言っただろう? 命令を無視した罰だ。明日は一日休んでろ」
そう言い、レオンハルトはガイルの肩を軽く叩くと、ハロルドに「あとは頼む」とその場を任せて幕舎を出た。
左耳のピアスが、ルヴィウスの不調を訴えている。魔力が枯渇寸前だ。かなり苦しんでいる。今はバングルから流す魔力量を制限しているため、放ってはおけない。
すぐに転移で傍に行きたいが、人の目がある。自分の動揺は討伐隊全体の動揺を誘う。
レオンハルトは人知れず拳を握りしめ、バングルへと流す魔力量を増やしつつ、冷静に見えるよう、しかし足早に、ルヴィウスに宛てがわれた幕舎へ向かう。
ルヴィウス専用の幕舎の中に入ると、彼はベッドに寝かされ、傍にシェラがいた。が、彼はルヴィウスの手を握ったまま座り込んでいる。
「シェラ!」
すぐに駆け寄り、ルヴィウスからシェラの手を引き離した。
「あ~…殿下、ガイルの治療、済んだ…?」
うっそりと顔を上げたシェラは、真っ青だった。
「バカか! ルゥは筥だぞ! 際限なく魔力を吸うって知ってるだろ!」
シェラは、ガイルの治療で魔力が枯渇したルヴィウスが、これ以上危険な状態にならないよう、体内に貯まらないと分かっていながら魔力を渡し続けてくれたのだ。
レオンハルトはすぐさまシェラに回復魔法を掛けた。ふうっ、と一息ついたシェラは、事も無げに立ち上がる。
「すげーな殿下の回復魔法。今すぐ戦えそう」
茶化すように言うシェラに、レオンハルトは亜空間に保管していた水晶柱を召喚し、半ば無理やりシェラに押し付けた。
「ふざけるな。魔力までは回復出来てない。それを握って、今日はもう休め」
レオンハルトは言いながらベッドの端に座ると、ルヴィウスの手を取った。
「殿下以外の魔力が入るのは嫌かもしれないとは思ったけど、ほぼ枯渇状態だったからほっとけなくて」
「分かってる。ありがとう」
仕方がない。むしろ、シェラがその判断をしてくれなければ、ルヴィウスはもっと苦しんでいたはずだ。
バングルから流す量を制限しているうえに、レオンハルトはガイルの治療に集中する必要があったのだから。
「ルゥ」
声を掛けると、ルヴィウスはうっすらと目を開け、僅かに微笑む。
「ガイルは無事だよ。ルゥが頑張ってくれたから。今からルゥに魔力を流すけど、受け取れる?」
瞬きで頷きを返したルヴィウスに、レオンハルトはそっと口付けた。舌を差し込んで唇を開かせると、深く、深く、喰らい尽くすように口付ける。
ルヴィウスの体に満ちていくレオンハルトの魔力が、愛撫するかのように全身を巡る。
体を動かせる程に魔力が溜まる頃には、ルヴィウスの手がレオンハルトの背中を掻き抱いていた。
はぁっ、と温度の上がった吐息が漏れる。ルヴィウスの眦に口付けたレオンハルトは、睡眠魔法をかけた。
「少し休め。後で起こしてやる」
すぅ、と意識を遠ざけたルヴィウスは、すぐに規則的な寝息を立て始めた。
ルヴィウスの頬を撫で、愛おしそうに見つめるレオンハルトに、シェラが言う。
「大事にしてんだね」
「あぁ」
「筥だから? それとも、婚約者だから?」
考えてもみなかった言葉を掛けられ、レオンハルトはシェラを振り返り、目を瞬かせる。
「え、どっちも違うわけ?」
「そうだな。その言い方はぜんぜんしっくりこない」
「じゃあ、どういう言い方ならしっくりくるのさ」
レオンハルトは再びルヴィウスに目線を戻して、彼の頬を指の背で撫でた。
「俺が生きる理由、かな」
「めっちゃでっかく出たな」
「そうか?」
「ルヴィちゃんが居なくなったら死ぬとか言うのかよ?」
「それは考えたことが無いが、ルゥを失えば世界を壊すだろうと言われた事はある」
「自分で言ったんじゃなくて?」
「あぁ。別の世界線の俺がそうなったらしい」
「やべぇヤツだな」
レオンハルトは「そうだな」と小さく笑った。
翌日以降は、大きな被害も出ない中、討伐は順調に進み、カトレアやアルフレドが予測した通り、九月十日を過ぎる頃には、魔の森は以前の―――いや、以前よりもさらに穏やかな静けさを取り戻していた。
王宮へ帰還する直前、静寂を取り戻した魔の森を見つめながら、レオンハルトは、理に試されるのはこれが最後だといい、と燻る不安の火種が風に煽られないことを切に願った。
「はいっ」
タオルを手に駆け寄ってきたハロルドは、ガイルを挟んだルヴィウスの向かいに膝をつく。
「手を握っていてあげて」
「わかりました」
ルヴィウスはガイルの目の上あたりにそっと左手を置いた。そしてレオの言葉を思い出す。
―――まずガイルに昏睡魔法を掛けろ。
「ガイル、ゆっくり休んでね」
ふわり、とルヴィウスの魔力がガイルを包む。苦しそうな息遣いが落ち着き、表情も体の力も抜けて、怪我さえなければただ眠っているように見える。
術のかかり具合を確認したルヴィウスは、次の処置に進む。次は感染症を防ぐための浄化魔法だ。
瘴気を払う時は表面だけを拭いさればいいが、今回は全身打撲に裂傷や切断まで傷の種類が多種に及ぶ。
僅かに考え込んだルヴィウスは、内側と外側、二度に分けて浄化を行うことにした。
ガイルのお腹のあたりに手を置き、じんわりと浸透させるように魔力を流し込み、血管の流れを意識して全身をくまなく巡るように浄化させ、最後は心臓に集めてゆっくり吸い上げ、悪いものを体の外へ出す。
見えない穢れが、ぼこり、と出てきて、ルヴィウスがギュッと手を握ると霧散して消えた。
今度は体表面を撫でるイメージで、傷口は水で洗い流すように、丁寧に、丁寧に全身を浄化する。
ここまでの工程で慎重になり過ぎたのか、ガイルの顔色から生気が抜けてきた。
ルヴィウスは、焦るな、落ち着け、と自分に言い聞かせ、最後の現状維持に取り掛かる。
無機物や有機物の保存魔法を応用する訳だが、ガイルは生きている。
生物に保存魔法を掛けるのはかなりの魔力量と繊細な操作が求められる。呼吸をし、臓器は動き、血液は流れ続けるからだ。それらの活動を止めずに、体の傷の状態だけを維持しなければならない。
「ハロルド、手伝ってほしいことがある」
「はい、なんでもやります」
「僕が合図したら、切断された足の止血帯を切って。今のまま術を掛けると、鬱血したままになって再生できなくなるかも」
「わかりました。任せてください。―――誰か、ハサミを」
衛生兵からハサミを受け取ったハロルドは、すぐに右脚大腿骨あたりに巻かれた止血帯に刃を入れる。そうして準備出来たことを頷く形でルヴィウスへ伝えた。
それを受けて、ルヴィウスはガイルの冷えた手を取る。
両手にガイルの手を包み込み、神経を集中させ、自分の呼吸や鼓動を彼に重ね合わせる。
ガイルの体全部を魔力の膜で覆い、呼吸も血流も細胞の一つでさえも、同体化するかのように。
「切って」
バチン、と止血帯が切れる。
どぷり、と血が溢れ出たが、すぐに止まった。と言うより、断裂面全体が極々僅かに震えている。
血液が動脈から、本来流れていくはずの静脈へと折り返していた。ルヴィウスが、魔法で“生きている状態”を維持しているのだ。
誰も、ひと言も発しなかった。物音一つ立たないよう、全員が気を張りつめる。呼吸すらも忘れてしまいそうになるほどに。
ルヴィウスの中の魔力が、驚くほどのスピードで減っていく。
頬を汗が伝う。心臓が痛み出す。頭痛がして、頭が割れそうだ。
しかしルヴィウスは、自分の体の状態を無視し、ひたすらガイルの体と意識を繋いで術をかけ続けた。
耳鳴りがし始め、手から力が抜けてくる。
まだ、だめ。まだ、倒れるな。ルヴィウスは懸命に自分を鼓舞し、ガイルの治療に集中する。しかし、レオンハルトのように魔力を増やす制御魔法は使えない。ルヴィウスの魔力に底が見えてきた。
ぐらり、とルヴィウスの体が揺れる。心の中でレオンハルトを呼んだ。まさにその時、逞しい腕がルヴィウスを背中から抱きとめた。
「ルゥ、よく頑張った。あとは俺に任せて」
ガイルの手をルヴィウスから受け継いだレオンハルトは、すぐに魔法を展開する。
右脚の傷口を、血が溢れないよう維持したまま、まず傷ついた臓器を再生する。
その処置をしている間に、くたり、とレオンハルトにもたれかかっていたルヴィウスを、シェラが引き受け、横抱きにし、幕舎からそっと連れ出した。
レオンハルトは続いて、骨折、筋肉の断裂、血管破裂の治療をし、右脚以外の傷口を塞ぐ。内蔵や脳の損傷を探知魔法で確認し、必要な箇所に治癒を掛ける。
最後に右脚へと両手をかざし、ゆっくり、ゆっくりと、失った足を再生させていった。
骨から始まり、神経、血管、筋肉、皮膚。ガイルが失ったものが、みるみるうちに元に戻っていく。
爪の先まで綺麗に元に戻ったところで、レオンハルトは、パチン、と指を鳴らした。
ふっ、とガイルが瞼を上げる。
「殿下…?」
わぁっ、と周りが歓声をあげた。ガイルは、死の淵から蘇ったのだ。
「何かあれば呼べと言っただろう? 命令を無視した罰だ。明日は一日休んでろ」
そう言い、レオンハルトはガイルの肩を軽く叩くと、ハロルドに「あとは頼む」とその場を任せて幕舎を出た。
左耳のピアスが、ルヴィウスの不調を訴えている。魔力が枯渇寸前だ。かなり苦しんでいる。今はバングルから流す魔力量を制限しているため、放ってはおけない。
すぐに転移で傍に行きたいが、人の目がある。自分の動揺は討伐隊全体の動揺を誘う。
レオンハルトは人知れず拳を握りしめ、バングルへと流す魔力量を増やしつつ、冷静に見えるよう、しかし足早に、ルヴィウスに宛てがわれた幕舎へ向かう。
ルヴィウス専用の幕舎の中に入ると、彼はベッドに寝かされ、傍にシェラがいた。が、彼はルヴィウスの手を握ったまま座り込んでいる。
「シェラ!」
すぐに駆け寄り、ルヴィウスからシェラの手を引き離した。
「あ~…殿下、ガイルの治療、済んだ…?」
うっそりと顔を上げたシェラは、真っ青だった。
「バカか! ルゥは筥だぞ! 際限なく魔力を吸うって知ってるだろ!」
シェラは、ガイルの治療で魔力が枯渇したルヴィウスが、これ以上危険な状態にならないよう、体内に貯まらないと分かっていながら魔力を渡し続けてくれたのだ。
レオンハルトはすぐさまシェラに回復魔法を掛けた。ふうっ、と一息ついたシェラは、事も無げに立ち上がる。
「すげーな殿下の回復魔法。今すぐ戦えそう」
茶化すように言うシェラに、レオンハルトは亜空間に保管していた水晶柱を召喚し、半ば無理やりシェラに押し付けた。
「ふざけるな。魔力までは回復出来てない。それを握って、今日はもう休め」
レオンハルトは言いながらベッドの端に座ると、ルヴィウスの手を取った。
「殿下以外の魔力が入るのは嫌かもしれないとは思ったけど、ほぼ枯渇状態だったからほっとけなくて」
「分かってる。ありがとう」
仕方がない。むしろ、シェラがその判断をしてくれなければ、ルヴィウスはもっと苦しんでいたはずだ。
バングルから流す量を制限しているうえに、レオンハルトはガイルの治療に集中する必要があったのだから。
「ルゥ」
声を掛けると、ルヴィウスはうっすらと目を開け、僅かに微笑む。
「ガイルは無事だよ。ルゥが頑張ってくれたから。今からルゥに魔力を流すけど、受け取れる?」
瞬きで頷きを返したルヴィウスに、レオンハルトはそっと口付けた。舌を差し込んで唇を開かせると、深く、深く、喰らい尽くすように口付ける。
ルヴィウスの体に満ちていくレオンハルトの魔力が、愛撫するかのように全身を巡る。
体を動かせる程に魔力が溜まる頃には、ルヴィウスの手がレオンハルトの背中を掻き抱いていた。
はぁっ、と温度の上がった吐息が漏れる。ルヴィウスの眦に口付けたレオンハルトは、睡眠魔法をかけた。
「少し休め。後で起こしてやる」
すぅ、と意識を遠ざけたルヴィウスは、すぐに規則的な寝息を立て始めた。
ルヴィウスの頬を撫で、愛おしそうに見つめるレオンハルトに、シェラが言う。
「大事にしてんだね」
「あぁ」
「筥だから? それとも、婚約者だから?」
考えてもみなかった言葉を掛けられ、レオンハルトはシェラを振り返り、目を瞬かせる。
「え、どっちも違うわけ?」
「そうだな。その言い方はぜんぜんしっくりこない」
「じゃあ、どういう言い方ならしっくりくるのさ」
レオンハルトは再びルヴィウスに目線を戻して、彼の頬を指の背で撫でた。
「俺が生きる理由、かな」
「めっちゃでっかく出たな」
「そうか?」
「ルヴィちゃんが居なくなったら死ぬとか言うのかよ?」
「それは考えたことが無いが、ルゥを失えば世界を壊すだろうと言われた事はある」
「自分で言ったんじゃなくて?」
「あぁ。別の世界線の俺がそうなったらしい」
「やべぇヤツだな」
レオンハルトは「そうだな」と小さく笑った。
翌日以降は、大きな被害も出ない中、討伐は順調に進み、カトレアやアルフレドが予測した通り、九月十日を過ぎる頃には、魔の森は以前の―――いや、以前よりもさらに穏やかな静けさを取り戻していた。
王宮へ帰還する直前、静寂を取り戻した魔の森を見つめながら、レオンハルトは、理に試されるのはこれが最後だといい、と燻る不安の火種が風に煽られないことを切に願った。
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