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第3章
88.彼のおかしな行動
「そういえば、最近本当にヴァリタス様と仲が良いようだけど、一体何の話で盛り上がっているの?」
ふと、彼女とヴァリタスとの仲がどこまで進展しているのか気になり、確認がてら聞いてみた。
しかし、彼女はその言葉でハッと何かに気づいたような表情になると、顔を真っ青にした。
「えっ、あっ。私ったら、エスティ様の事も考えずに軽率な行動を。本当にすみません!」
「あっそうじゃなくて! ごめんなさい、違うの。別に嫌味とかそういうことは全くなくて。ただ本当に気になっただけで」
ガバっと頭を下げる彼女に慌てて言い直す。
確かに今の言い方では私が彼女に嫉妬していると誤解されてもおかしくない。
私はまだヴァリタスの婚約者なのだ。
それに加えて、公爵令嬢なのだから彼女が私に過剰なまでの気を使ってしまうのは当然のこと。
いくらちょこっと仲が縮まったとはいえ、私と彼女とでは地位に大きな差がある。
私に対し何か間違いがあれば、公爵家の力を使って彼女の一族諸共排除できる力があると言っても過言ではない。
私はそういう権力でもって人と接するのは嫌いだし、私に何かあってもベルフェリト家が私を守ってくれることはないと思っているから爵位を盾に何かしようとなんてしないけれど。
けれど私のような人間は物凄く特殊な例だ。
たとえどんなに腰の低い貴族であっても、自分の爵位を使って人間関係を構築しようとするだろう。
それが貴族社会で生きていく上で、当たり前の事なのだから。
だから、ここは私がきちんと彼女に不快感を持っているのではないと言っておかなければ、彼女は私に委縮したまま素直に彼との事を話してくれないかもしれない。
あ~、やれやれ。本当に爵位の高い貴族は面倒臭いわ。
「結構長い付き合いなのだけれど、私たちって会話がどこかぎこちないのよ。それに私、彼とどういう話をすれば良いのか全く分からくて……。
でも貴女と話しているときの彼はすごく楽しそうに見えたから、何か秘密があったりするのかしら、なんて思ってて」
乾いた笑い声を発しながらそう言うと、セイラはやっとホッとしたように顔を緩ませた。
良かった、誤解が解けたみたい。
「実は、エスティ様と初めてあまり会話なさらなかったあの日の放課後、ヴァリタス様に呼び出されたのです」
「えっ」
えぇーーーーーー!!
ま、まさまそんなすぐ急接近してたなんて!
なんだ案外思っているよりもすぐ、この2人うまくいくんじゃない?
「誤解しないでください! 本当にただの相談事でしたのでっ」
「大丈夫よ、分かっているわ」
慌てた彼女は胸の当たりで両手を開き、パタパタと横に振って否定する。
しかし、その仕草を彼女がとても可愛らしくて、自然と笑みが零れてしまった。
ああ、可愛いわぁ。ヴァリタスも早く彼女のこの可愛らしさに気づいて私から乗り換えてくれたら良いのに。
「申し上げにくいのですが……。実は、ヴァリタス殿下は恋愛小説をお読みになりたいとおっしゃって。でも、長い付き合いのナタリー様に相談するのは恥ずかしいからと私に相談して下さったんです」
「はっ⁈ えっ⁉ 恋愛小説? あのヴァリタス様が⁈」
「はいっ」
いやいや、どういうこと??
どう考えても彼の趣味じゃない。
なのになんでそんなもの読もうと思ったのかしら。
困惑する私に答えるように、セイラはスッとその答えをあっさり教えてくれた。
「ヴァリタス殿下はきっと、エスティ様ともっと話がしたいのではないでしょうか。それこそ趣味でもなんでもよかったのかもしれません。ただ、共通して話せる話題が欲しいではと思います」
優しく笑う彼女は置いといて、それでも私の頭の中は?マークでいっぱいだ。
それにしたってなぜ、恋愛小説を選ぶのだろう。
私が好きなのはどちらかといえば、歴史書や政治経済などの参考書だしそれは彼だって知っているのでは。
あれ? 知っているかな?
んん?
ちょっと自信無くなってきたぞ。
「うふふ。きっと私やナタリー様が大の恋愛小説好きでしたから、エスティ様も同じくらい好きなのではないかとお思いになったのやもしれませんね」
あ、それあり得るかも。
仲良くなる令嬢が大の恋愛好きばっかり(と言っても2人だけだけど)だとしたら、そういう趣味があると誤解されてもおかしくない。
それにあれらは庶民が読む読み物と貴族の間では認知されており、普通の令嬢が公にあの手の小説が好きだと主張しにくいものだ。
それなら、私が実は恋愛小説好きだった、と勘違いしてもなんら不思議じゃない。
「いやいや、だとしてもですよ。この国の第2王子が恋愛小説なんて……」
あの爽やか王子がそんなものを読んでいる姿なんて想像もしたく……、いや、案外可愛いかも。
ってそうじゃない!
貴族の令嬢ですら邪険にして、俗物的だなんだと言われているものを王子が読んでいたなんて知られたら、どんな悪い噂に繋がるかわかったものではない。
人はたった一つの行動だけで、下手な憶測を立ててしまうもの。
特にこの貴族社会ではそれが顕著に表れる。
それがおかしなものへと変化し、噂となって流れるなんてことはよくあることだ。
根拠のない噂なんて簡単に作り上げられ、拡散されてしまうのに。
少しは自分の身の振り方ぐらい考えてほしいわ。
ふと、彼女とヴァリタスとの仲がどこまで進展しているのか気になり、確認がてら聞いてみた。
しかし、彼女はその言葉でハッと何かに気づいたような表情になると、顔を真っ青にした。
「えっ、あっ。私ったら、エスティ様の事も考えずに軽率な行動を。本当にすみません!」
「あっそうじゃなくて! ごめんなさい、違うの。別に嫌味とかそういうことは全くなくて。ただ本当に気になっただけで」
ガバっと頭を下げる彼女に慌てて言い直す。
確かに今の言い方では私が彼女に嫉妬していると誤解されてもおかしくない。
私はまだヴァリタスの婚約者なのだ。
それに加えて、公爵令嬢なのだから彼女が私に過剰なまでの気を使ってしまうのは当然のこと。
いくらちょこっと仲が縮まったとはいえ、私と彼女とでは地位に大きな差がある。
私に対し何か間違いがあれば、公爵家の力を使って彼女の一族諸共排除できる力があると言っても過言ではない。
私はそういう権力でもって人と接するのは嫌いだし、私に何かあってもベルフェリト家が私を守ってくれることはないと思っているから爵位を盾に何かしようとなんてしないけれど。
けれど私のような人間は物凄く特殊な例だ。
たとえどんなに腰の低い貴族であっても、自分の爵位を使って人間関係を構築しようとするだろう。
それが貴族社会で生きていく上で、当たり前の事なのだから。
だから、ここは私がきちんと彼女に不快感を持っているのではないと言っておかなければ、彼女は私に委縮したまま素直に彼との事を話してくれないかもしれない。
あ~、やれやれ。本当に爵位の高い貴族は面倒臭いわ。
「結構長い付き合いなのだけれど、私たちって会話がどこかぎこちないのよ。それに私、彼とどういう話をすれば良いのか全く分からくて……。
でも貴女と話しているときの彼はすごく楽しそうに見えたから、何か秘密があったりするのかしら、なんて思ってて」
乾いた笑い声を発しながらそう言うと、セイラはやっとホッとしたように顔を緩ませた。
良かった、誤解が解けたみたい。
「実は、エスティ様と初めてあまり会話なさらなかったあの日の放課後、ヴァリタス様に呼び出されたのです」
「えっ」
えぇーーーーーー!!
ま、まさまそんなすぐ急接近してたなんて!
なんだ案外思っているよりもすぐ、この2人うまくいくんじゃない?
「誤解しないでください! 本当にただの相談事でしたのでっ」
「大丈夫よ、分かっているわ」
慌てた彼女は胸の当たりで両手を開き、パタパタと横に振って否定する。
しかし、その仕草を彼女がとても可愛らしくて、自然と笑みが零れてしまった。
ああ、可愛いわぁ。ヴァリタスも早く彼女のこの可愛らしさに気づいて私から乗り換えてくれたら良いのに。
「申し上げにくいのですが……。実は、ヴァリタス殿下は恋愛小説をお読みになりたいとおっしゃって。でも、長い付き合いのナタリー様に相談するのは恥ずかしいからと私に相談して下さったんです」
「はっ⁈ えっ⁉ 恋愛小説? あのヴァリタス様が⁈」
「はいっ」
いやいや、どういうこと??
どう考えても彼の趣味じゃない。
なのになんでそんなもの読もうと思ったのかしら。
困惑する私に答えるように、セイラはスッとその答えをあっさり教えてくれた。
「ヴァリタス殿下はきっと、エスティ様ともっと話がしたいのではないでしょうか。それこそ趣味でもなんでもよかったのかもしれません。ただ、共通して話せる話題が欲しいではと思います」
優しく笑う彼女は置いといて、それでも私の頭の中は?マークでいっぱいだ。
それにしたってなぜ、恋愛小説を選ぶのだろう。
私が好きなのはどちらかといえば、歴史書や政治経済などの参考書だしそれは彼だって知っているのでは。
あれ? 知っているかな?
んん?
ちょっと自信無くなってきたぞ。
「うふふ。きっと私やナタリー様が大の恋愛小説好きでしたから、エスティ様も同じくらい好きなのではないかとお思いになったのやもしれませんね」
あ、それあり得るかも。
仲良くなる令嬢が大の恋愛好きばっかり(と言っても2人だけだけど)だとしたら、そういう趣味があると誤解されてもおかしくない。
それにあれらは庶民が読む読み物と貴族の間では認知されており、普通の令嬢が公にあの手の小説が好きだと主張しにくいものだ。
それなら、私が実は恋愛小説好きだった、と勘違いしてもなんら不思議じゃない。
「いやいや、だとしてもですよ。この国の第2王子が恋愛小説なんて……」
あの爽やか王子がそんなものを読んでいる姿なんて想像もしたく……、いや、案外可愛いかも。
ってそうじゃない!
貴族の令嬢ですら邪険にして、俗物的だなんだと言われているものを王子が読んでいたなんて知られたら、どんな悪い噂に繋がるかわかったものではない。
人はたった一つの行動だけで、下手な憶測を立ててしまうもの。
特にこの貴族社会ではそれが顕著に表れる。
それがおかしなものへと変化し、噂となって流れるなんてことはよくあることだ。
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少しは自分の身の振り方ぐらい考えてほしいわ。
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