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第4章
197.気まずい彼女
始業式から2週間。
私の日常は以前とはかけ離れたものと化していた。
彼女たちとは表面上では仲良くしているが、裏ではセイラへのいじめを工作している。
いじめは相変わらず、靴や参考書を隠したり机や椅子を汚したり、悪口を書いた手紙を仕込んだりという小さなものだけれど。
それでも今は、それで十分だろう。
あれから毎朝、ロイネル嬢の靴箱に指示の書かれた紙切れを置き実行させるという行為を繰り返している。
それももう2週間も経っていればそろそろ次の計画に移っても問題ないだろう。
いまだ、セイラの様子に変わりはない。
慣れてきてしまったのか、はたまたまだ耐えきれる範疇なのか。
どちらなのかはわからないが、彼女に目立った変化が無い以上あまり効果が無いと判断しても良い頃合いだろう。
それになるべく早く事を進めたいし。
できれば最短距離でヴァリタスとくっついてもらわなければ。
ナタリーにはあれからいじめに関する話を一切されていない。
私が実際に手を下したことはないし、手がかりなんてある訳ないのだからきっとまだ疑い半分くらいなのだろう。
彼女を警戒するのは大事だが、その仕草を見せると余計に怪しまれてしまうし。
ナタリーといえば、あの日ヴァリタスと2人きりで話をしてから相変わらず会話らしい会話をしていない。
昔から2人で話すことなどあまりなかったとはいえ、最近ではお互いを避けているような行動が目立つようになっていた。
喧嘩でもしたのだろうか。
いや、喧嘩できるほど深い仲だとも思えないけど。
そんなこんなで、今の昼食会ではなんとも微妙な空気が流れている。
夏休み前のホンワカとした雰囲気がまるで嘘のように、皆ぎこちなさを感じていた。
今日の全ての授業が終わり、放課後を知らせる鐘が鳴り響く。
いつものように早々と帰り支度を済ませると、図書館へと向かう為教室を出た。
最近では昔のようにシルビアが私の部屋へ頻繁に訪れるようになっていた。
そんな中でいじめの計画などをしていることがバレてしまえば、シルビアを傷つけてしまう。
最近では指示の紙を書いたり計画を練ったりするために放課後は図書館に籠るようになっていた。
「エスティ、今日も図書館へ行くの?」
「ええ、そのつもりだけど」
廊下へ出て2、3歩歩みを進めたところでナタリーに話掛けられた。
どこか不安そうな顔色の彼女に違和感を覚える。
「私も一緒に言ってもいいかしら?」
「べ、別に構わないけれど」
ナタリーの目の前でいじめの計画を練ることは絶対にできない。
しかし、俯きがちな彼女の様子を無碍にできず了承してしまった。
校舎を抜け、あの荘厳な図書館へと向かう。
いつもの林を抜ける途中、ふと林に目を向けた。
それはナタリーとのどこか気まずい雰囲気に意識を逸らしたかったからなのかもしれない。
ぼんやりと見つめた先を見ていたら、つい2、3カ月前の事を思い出した。
そういえば、シルビアが虐めにあっていたのはこの辺りだったわね。
あの子の事を思うと、あの時助けられていたらとどうしても思ってしまう。
それにしても、シルビアを心配しているのに、あの子を傷つけた人たちと同じことをしようとしているなんて。
一体どういう皮肉なのだろうか。
図書館に着くと、さっそくどうしようか迷ってしまった。
計画を練る、という目的で入り浸っていたためいつも真っ先にテーブル席へと足を運んでいたからだ。
目的の本などもなく、ただ勉強しているだけで訪れたにしては疑いの目を向けられてしまう。
どうにかして、先ほどから無言でついてきている彼女を撒かなければ。
とりあえず、彼女の目的でも聞いてみよう。
「ナタリーは一体何しに図書館に来たの?」
「私は……。探し物を探しに、よ」
いや、それはそうでしょうよ。
暗い声色の彼女に更に探りを入れようとするものの、心ここにあらずな彼女が果たして私の問いに応じるかどうか。
「エスティは? 何を探しに来たの?」
どうやって聞き出そうかと考えあぐねていたところ、今度は彼女に質問されてしまった。
ど、どうしよう。
なんて答えるべき?
彼女から聞き出すはずが、逆に聞き返されてしまい戸惑う。
彼女の答え次第で理由を取り繕うとしたのに、回答次第では彼女との溝が更に深くなってしまう可能性があるのだ。
「私は、魔法学についての本を探しに来たのだけど」
「魔法学? なんで?」
思ったよりも興味を持ったような彼女が再度私に問いかける。
「夏休みにお兄様に言われたの。魔法の知識が乏しいって。それが悔しくて」
言われたのは本当の事だ。
ただ、それを実行に移す気などさらさらなかったが。
だって魔法なんて知ったところで、魔法を一切使えない私には全く意味のないものなんだもの。
「ふ~ん」
とはいえ、どうやら彼女が納得してくれる理由だったようで安心した。
よし、私はキチンと理由を言ったわ。
これなら彼女もきっとここにきた理由を教えてくれるだろう。
少しホッとしたのも束の間、その安堵は彼女の一言で掻き消えた。
「丁度いいわ。ついでに私の探し物を手伝ってくれない?」
「え?」
丁度良いってなに?
探し物を手伝え?
ま、まさか。
「私の探し物も魔法学に関する物なのよ」
な、なんで?
なんでよりによって探し物が被ってるのよぉ!!
私の日常は以前とはかけ離れたものと化していた。
彼女たちとは表面上では仲良くしているが、裏ではセイラへのいじめを工作している。
いじめは相変わらず、靴や参考書を隠したり机や椅子を汚したり、悪口を書いた手紙を仕込んだりという小さなものだけれど。
それでも今は、それで十分だろう。
あれから毎朝、ロイネル嬢の靴箱に指示の書かれた紙切れを置き実行させるという行為を繰り返している。
それももう2週間も経っていればそろそろ次の計画に移っても問題ないだろう。
いまだ、セイラの様子に変わりはない。
慣れてきてしまったのか、はたまたまだ耐えきれる範疇なのか。
どちらなのかはわからないが、彼女に目立った変化が無い以上あまり効果が無いと判断しても良い頃合いだろう。
それになるべく早く事を進めたいし。
できれば最短距離でヴァリタスとくっついてもらわなければ。
ナタリーにはあれからいじめに関する話を一切されていない。
私が実際に手を下したことはないし、手がかりなんてある訳ないのだからきっとまだ疑い半分くらいなのだろう。
彼女を警戒するのは大事だが、その仕草を見せると余計に怪しまれてしまうし。
ナタリーといえば、あの日ヴァリタスと2人きりで話をしてから相変わらず会話らしい会話をしていない。
昔から2人で話すことなどあまりなかったとはいえ、最近ではお互いを避けているような行動が目立つようになっていた。
喧嘩でもしたのだろうか。
いや、喧嘩できるほど深い仲だとも思えないけど。
そんなこんなで、今の昼食会ではなんとも微妙な空気が流れている。
夏休み前のホンワカとした雰囲気がまるで嘘のように、皆ぎこちなさを感じていた。
今日の全ての授業が終わり、放課後を知らせる鐘が鳴り響く。
いつものように早々と帰り支度を済ませると、図書館へと向かう為教室を出た。
最近では昔のようにシルビアが私の部屋へ頻繁に訪れるようになっていた。
そんな中でいじめの計画などをしていることがバレてしまえば、シルビアを傷つけてしまう。
最近では指示の紙を書いたり計画を練ったりするために放課後は図書館に籠るようになっていた。
「エスティ、今日も図書館へ行くの?」
「ええ、そのつもりだけど」
廊下へ出て2、3歩歩みを進めたところでナタリーに話掛けられた。
どこか不安そうな顔色の彼女に違和感を覚える。
「私も一緒に言ってもいいかしら?」
「べ、別に構わないけれど」
ナタリーの目の前でいじめの計画を練ることは絶対にできない。
しかし、俯きがちな彼女の様子を無碍にできず了承してしまった。
校舎を抜け、あの荘厳な図書館へと向かう。
いつもの林を抜ける途中、ふと林に目を向けた。
それはナタリーとのどこか気まずい雰囲気に意識を逸らしたかったからなのかもしれない。
ぼんやりと見つめた先を見ていたら、つい2、3カ月前の事を思い出した。
そういえば、シルビアが虐めにあっていたのはこの辺りだったわね。
あの子の事を思うと、あの時助けられていたらとどうしても思ってしまう。
それにしても、シルビアを心配しているのに、あの子を傷つけた人たちと同じことをしようとしているなんて。
一体どういう皮肉なのだろうか。
図書館に着くと、さっそくどうしようか迷ってしまった。
計画を練る、という目的で入り浸っていたためいつも真っ先にテーブル席へと足を運んでいたからだ。
目的の本などもなく、ただ勉強しているだけで訪れたにしては疑いの目を向けられてしまう。
どうにかして、先ほどから無言でついてきている彼女を撒かなければ。
とりあえず、彼女の目的でも聞いてみよう。
「ナタリーは一体何しに図書館に来たの?」
「私は……。探し物を探しに、よ」
いや、それはそうでしょうよ。
暗い声色の彼女に更に探りを入れようとするものの、心ここにあらずな彼女が果たして私の問いに応じるかどうか。
「エスティは? 何を探しに来たの?」
どうやって聞き出そうかと考えあぐねていたところ、今度は彼女に質問されてしまった。
ど、どうしよう。
なんて答えるべき?
彼女から聞き出すはずが、逆に聞き返されてしまい戸惑う。
彼女の答え次第で理由を取り繕うとしたのに、回答次第では彼女との溝が更に深くなってしまう可能性があるのだ。
「私は、魔法学についての本を探しに来たのだけど」
「魔法学? なんで?」
思ったよりも興味を持ったような彼女が再度私に問いかける。
「夏休みにお兄様に言われたの。魔法の知識が乏しいって。それが悔しくて」
言われたのは本当の事だ。
ただ、それを実行に移す気などさらさらなかったが。
だって魔法なんて知ったところで、魔法を一切使えない私には全く意味のないものなんだもの。
「ふ~ん」
とはいえ、どうやら彼女が納得してくれる理由だったようで安心した。
よし、私はキチンと理由を言ったわ。
これなら彼女もきっとここにきた理由を教えてくれるだろう。
少しホッとしたのも束の間、その安堵は彼女の一言で掻き消えた。
「丁度いいわ。ついでに私の探し物を手伝ってくれない?」
「え?」
丁度良いってなに?
探し物を手伝え?
ま、まさか。
「私の探し物も魔法学に関する物なのよ」
な、なんで?
なんでよりによって探し物が被ってるのよぉ!!
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