転生王女は異世界でも美味しい生活がしたい!~モブですがヒロインを排除します~

ちゃんこ

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2章 幼少期編 II

29.建設現場見学ツアー3

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建設現場から少し離れた場所に、仮設事務所として使用している天幕がある。
現場監督の案内でそこに招かれるも、まずは安全確認の騎士が先に入る。しかし確認を終えた騎士は、首を振りながら凄く渋そうな顔をして出てきた。なぜ?

「臭いんだろ? な? 自前の天幕は必要だったろ? 賭けは俺の勝ちだな」

ルエ団長がシブメンの肩に手をかけて嬉しそうにウハハ~と笑った。
口を開かなければ詩人と言われても納得できるほどの美形なのに、勿体ない。

「賭け事はヨーン男爵夫人母君に禁じられているのではなかったか?」

「堅いことは親父が…「父だ」…父が嫌いでなぁ」

ホント、仲いいな。

「では天幕を張るとしよう」

アルベール兄さまがアルベII号に足を向けた。

「いや、我らだけでやるから建設作業を優先させてくれ」

作業員に手伝わせようとした現場監督を止めて、アルベール兄さま自ら動き始めた。
もう、うちの王子さまって、もう……好き~。


◇…………………………
遠征慣れした騎士にはわかる"現場あるある"情報によると、所有がはっきりしていないテントは、まず洗われることはないのだそうだ。
『臭い天幕で昼食は取りたくない』と言うルエ団長によって持ち込まれたあれこれは、アルベII号くんの上にこんもり載せられて格好悪いことになっていた。
私が乗り込んだ後に何か積まれているなぁと思ていたけど、天幕セットだったのですね。
◇…………………………


ふむふむ、興味深い。
何の打ち合わせもせずに、天幕張りを手伝う人と、手伝わない人がはっきりと分かれた。

まず、シブメンが私とベール兄さまを下がらせて、自分もその横に並んだ(手伝う気ナッシング)
侍女はその両端に。手伝わないメンバーを護る騎士が前後に各1人。

アルベール兄さまは馬車上の荷を解くために上り、受取り役に待機しているのが現場監督と、従者二人と、ルエ団長だ。

手伝わない組を護る二人を除いた近衛騎士たち全員は、アルベール兄さまを囲んで護っている。
次の王様ですからね。他の弟妹と価値が違うのですよ。そういうものなのです。
なのに何故、怪我をしそうな馬車の上に行かせたのかと言うと、今の王さまがそういう人だからです。アルベール兄さまは間違いなくお父さまの子です。誰も疑ってないけど。

それと護衛騎士たちが手伝わないのは護衛に集中しているから。手伝うことで隙を作ってはいけませんからね。


「ゼルドラ魔導士長は、ルエ団長との賭けに負けたのですよね。何を賭けたのですか?」

「あれが勝手に言っているだけです。気にかけてはいけませんぞ」

口をへの字に曲げるシブメンの言葉に、ベール兄さまは頷いた。

「ルエ団長の賭けに乗ってくるやつは誰もいないぞ。勝っても負けても自分の払いで呑みに連れて行くんだ。酒場が好きなんだよ」

じゃぁ、シブメンはルエ団長の奢りで今夜呑みに行くんだ。

「たまには付き合ってやりませんとな」

ちょっと笑ってる。シブメンも楽しみにしているようですね。





………続く
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